【4月16日マッチデープログラム】 KUFC MATCHDAY PROGRAM 2023 vol.04
鹿児島ユナイテッドFCのマッチデープログラム電子版。
今回は4月16日に行われる2023明治安田生命J3リーグ第7節、鹿児島ユナイテッドFC vs テゲバジャーロ宮崎のマッチデープログラムです。
日程表・順位表・テキスト速報
前回までの振り返り
2023年3月26日(日)2023明治安田生命J3リーグ第4節
vs SC相模原 会場:白波スタジアム(鹿児島県立鴨池陸上競技場)
アウェイ岐阜戦を0-1で落として迎えた第4節はホーム鴨池でSC相模原と対戦。
すっきりしない天気だが、それでも4,000名を超えるサポーターがスタジアムに足を運び、声援を送る。
10分、鈴木翔大の粘り強い守備からルーズボールを左サイドで収めた中原秀人から、薩川淳貴を経由してペナルティエリア内の山本駿亮へ。
山本は反転するとファーサイドへのシュートを放つ。
12分、こぼれ球を回収した広瀬健太から右サイドの星広太へ。
星がゴール前に入れたクロスボールを、逆サイドで待つ山本がワントラップから逆サイドへ浮かせたシュートを打つがバーに当たる。
「今シーズン、ワントップから左サイドに行っても、点を取ることを意識して練習してきました。出場して、手応えはあるけれど得点は取れていないですし、逆サイドで(五領)淳樹さんがタメを作ってくれたので、そこは任せて最後のところを仕留めようと狙っていました(山本駿亮)」
25分、相模原は細かいパス回しからシュートまでいくが、対面する星や岡本將成たちによってコースは限定していて、GK大内一生がボールをキャッチする。
30分、中原のクロスが浮いたところを収めた鈴木の落としから、木村祐志がミドルシュートを打ち、さらに五領がつめるが、GKがキャッチする。
33分、相模原陣内で中央に入った星が、逆サイドの山本へ。
ペナルティエリア左側山本は2人を前にボールをキープする。
薩川が山本を追い越して1人がつられる。
山本は逆サイドから近くに来ていた五領へ落とす。
五領の左足のシュートはGKの守備をすり抜けて、4試合目にしてはじめての先制点が決まる。
山本は五領に力いっぱい抱きつく。
「カットインで打とうと思ったけどスカウティングした相手はシュートコースを切りに来ることが分かっていました。ちょうど(薩川)淳貴さんがオーバーラップして食いついてきたところで、なぜか右サイドハーフの五領がいたので“シュートを打って”と左足に落としました。今シーズンからサイドハーフになって、淳樹さんにプレーで分からないことを相談に乗ってもらっていたので、2人でゴールを決められたのが嬉しかったです(山本)」
42分、相模原が速攻からゴール前へボールを送るが、懸命に戻った薩川がクリアする。
後半、相模原がチャンスを作る。
54分、左サイドからクロスを送り、ゴール正面でヘディングで合わされるが、大内が弾き出す。
「(大内)一生があのヘディングを止めた場面、あれを決められていたらどうなっていたら、というところで、大事な場面でのビッグセーブで勢いをもたらせたと思います(山本)」
「ああいうシチュエーションはトレーニングからやっているので、その成果が出ました。でもそれが僕の仕事なので、そこだけ見れば上手く仕事ができたようですが、ああいうプレーがあって得点につながりました(大内)」
56分、右サイドで五領がボールを浮かせて、ヘディンで返されたボールを五領がみずから回収する。
中へひとつふたつボールを運ぶ。
左足を振り抜く。
相模原の守備陣をすり抜けて、鈴木もさわると思わせてのスルーで、相手を幻惑し、逆サイドのネットにボールが包まれる。
「正直1人目しか見えていなかったんですけど。決まった後に(鈴木)翔大がこっち寄ってきて“俺のおかげ、俺のスクリーン”って言うんですよ(五領)」
2点をリードした鹿児島は70分、75分と選手を2人ずつ交代する。
83分、広瀬のロングフィードを受けた武星弥が左サイドから持ち込んでシュートを打つ。
84分、左サイドから相模原に裏を取られ、そのままゴール前にボールを送られ、1点を返される。
89分、山本が交代で退く。
「実際は60分で足がぴきっと来たんですけど、長く出たかったのもあって、チャンスをもらっている立場なので足つって代わりたくはないので、うまくごまかしながらやっていました(山本)」
そのまま2-1で鹿児島が勝利をおさめた。
「選手たちのちょっとしたところ、ひとつひとつのプレーにおける集中は高かったと思います。そこに関しては選手のすばらしいプレーに感謝したいですし、これを続けて次の試合にも良い準備をして、サポーターのためにも頑張っていきたいです(大嶽直人監督)」
ここからアウェイでの試合が続く。
2023年4月2日(日)2023明治安田生命J3リーグ第5節
vs カマタマーレ讃岐 会場:Pikaraスタジアム(香川県丸亀市)
香川県で行われたカマタマーレ讃岐戦。
四国の地でも飛行機や車で馳せ参じたサポーターが大きな声援を送り、選手たちを鼓舞する。
序盤は鹿児島がいい形を作る。
17分、セットプレーの流れから五領の入れたボールを、センターバックの戸根一誓がヘディングするが枠の上を通りすぎる。
28分、木村祐志のフリーキックから、クリアボールをペナルティエリア外で待つ薩川が左足で振り抜くが、わずかに枠の外へ外れる。
しかし34分、讃岐はコーナーキックからのボールを拾うと、ペナルティエリア外から思い切って打ったシュートがそのままゴール隅に刺さってゴールを奪う。
「最後の質、精度のところでどうしてもシュートを打てず、そういう意識の強さが足りなかったですし、1点でも主導権を握っている時に取れていればこういう結果にならなかったと思います(大嶽直人監督)」
ここから讃岐が主導権を握り、鹿児島陣内でのプレー時間が増えていく。
「入りは悪くなかったと思いますし、しっかりとゴールに向かいながら主導権を握れていたと思います。攻めている時のリスク管理やスキで失点したと思います。あの攻めている時間で先制点を取りたかったですし、先制点を取れればもっとゲーム展開が変わったと思います(薩川淳貴)」
「立ち上がりいい形で入れましたが、讃岐の一発すごいシュートで先制されました。そこで自分も含めて声を出して、盛り返す雰囲気を作れなかったことが反省点です(鈴木)」
後半も讃岐が押し気味のなか、55分、広瀬健太から左サイドでボールを受けた薩川が一気にドリブルでペナルティエリアへ進みながら強烈なシュートを打つが、わずかに枠を外れる。
69分、讃岐はコーナーキックからヘディングで追加点を決める。
2点を追う鹿児島は攻め続ける。
74分、右サイドから河辺駿太郎が持ち運び、ゴール前へ送ったボールが讃岐守備陣に遮られたところを、薩川が詰めてシュートするがGKがキャッチする。
80分、左サイドの薩川が中へボールを運び、千布一輝、鈴木翔大とボールを回してゴールエリア周辺での混戦から端戸仁、薩川、中原秀人がシュートを狙うが決まらない。
81分、端戸仁が右サイドからボールを運び、左足でシュートを打つが、GKがさわって防がれる。
82分、コーナーキックから何度もシュートを打つが、ゴール前を固める讃岐の壁に跳ね返される。
最後は広瀬が打ったシュートは、わずかに枠の上を通り過ぎる。
スコアは動かず0-2で敗戦。
「選手たちは最後まで諦めず1点でも多く取りにいく姿勢を見せたのはすばらしいと思いますし、最後まで集中を切らせませんでした。ただほんのちょっとの大胆さ、勇敢さがなかったと思います(大嶽直人監督)」
「1人1人が、チームの問題や個人の問題とか関係なく、どれだけ球際や五分五分のボールに対して自分のボールにできるのかの意識をもっと持たなければなりません。昨年の順位だけで決まるのがサッカーではないし、横綱相撲できるチームでもありません。目の前の1試合1試合を死にものぐるいでやって、ようやく勝ちを拾えるか拾えないかという試合が続くので、危機感をもって試合に臨んでいきたいです(鈴木翔大)」
2023年4月8日(土)2023明治安田生命J3リーグ第6節
vs Y.S.C.C.横浜 会場:ニッパツ三ツ沢球技場(神奈川県横浜市)
ニッパツ三ツ沢球技場の鹿児島側ゴール裏には鹿児島から訪れるサポーターだけでなく、関東をはじめとして全国各地のサポーターが集う。
ホームであるかのように盛り上がっていた。
8分、YS横浜コーナーキックからキャッチした大内一生がボールを星広太へ送り、星は一気にYS横浜ゴール前までドリブルで運んでシュートを打つ。
14分、鹿児島のコーナーキックからYS横浜がカウンターで攻め込み、最後は2021シーズンまで鹿児島でプレーしていたFW萱沼優聖がミドルシュートを打つ。
33分、サイドバックの裏へボールを送ったYS横浜は、そのままゴール前にクロスを入れる。
星、山口卓己、五領淳樹たちが固める。
至近距離でシュートを打たれるが、大内が反応してボールを止める。
前半終了間際もYSが細かいパスワークからチャンスを作る。
「シンプルにYS横浜が良いサッカーをしていて、なんでこの順位なんだろうというくらいで、やられてもおかしくないゲームでした。とにかく自分が出た時には間でボールを受けろと言われていました(端戸仁)」
57分、左サイドからドリブルで前進する薩川淳貴が、途中出場の端戸仁にボールを預けてそのまま駆ける。
端戸はさらに前方のタッチライン際を走る山本駿亮にボールを送る。
山本はゴール前にクロスを入れる。
ニアサイドで初スタメンの武星弥が頭で合わせるが、わずかにポストを外れる。
「前半はピッチ状況もあったし、自分たちがボールを保持できない中で、監督やコーチから分析のところで修正は加わりました。戦術的なところで言えばもっとボールを大事にして、3ボランチの脇が開いているということでしたので、僕と両サイドバックで3ボランチを揺さぶろうとしました(薩川)」
74分、YS横浜は左サイドから早めのクロスを入れてヘディングするが、手前でワンバウンドしたボールを大内が弾き出す。
79分、左サイドからボールを回し、ペナルティエリア右側にフリーで入り込んだ渡邉英祐がゴール前にボールを入れるが、中央の有田光希、逆サイドの福田望久斗はわずかに合わない。
85分、中盤から中原秀人が絶妙な浮き球を左サイドの薩川へ送る。
薩川はフリーで突き進み、しっかりと中をうかがう。
ニアサイドに有田が走り込む。
「ボールを持った時に最初アリくん(有田光希)がニアサイドに向けてすごくいい動き出しをしてくれて、アリくんに入れようと思ったのですが、ディフェンスがつられていくのが見えました(薩川)」
薩川は中央に空いたスペースへクロスを入れる。
フリーで飛び込んだ端戸が頭で合わせて鹿児島が先制する。
「今週の練習で(薩川)淳貴と同じシーンが練習であって、その時はGKとDFの間にグラウンダーのボールを入れて合わなかったのですが、ああいう時にはロブ気味に入れてくれと言っていました。ちゃんと練習の成果があり、たまたまではなく合わせてくれたゴールでした(端戸)」
大挙して訪れたサポーターの前で端戸を中心にした歓喜の塊になる。
終盤、鹿児島はセンターバックを増やして守りを固める。
YS横浜の攻撃を懸命に跳ね返す。
95分、YS横浜はロングボールを鹿児島陣内に送る。
競ったボールをYS横浜が拾い、シュートする。
大内が止める。
こぼれたボールをYS横浜が押し込み、同点。
同時に主審が笛を吹き、試合終了。
寸前で勝ち点3を逃した。
「1人1人がしっかりした立ち位置を取って、ボールが入った選手にサポートにいく意識を持たなければなりません。ただ相手陣地に蹴ってまた相手からの攻撃でスタートするというのでは、これから厳しくなるので、残り時間の戦い方は課題です(端戸仁)」
「あそこで勝ち点3取れなかったことは1人1人責任を感じています。もちろんみんな落ち込んでいるとは思いますが、そこはプロです。切り替えて、次勝てるために何ができるかを考えるべきだと思いますし、そのようにチームを持っていきたいです(薩川)」
ゴールを決めた端戸も、ゲームキャプテンとしてキャプテンマークを巻いた薩川も、結果と課題を受け止めながら、これからの試合に視線を向けている。
「受け身ではなく守り切ることはチームとして意識として持ち、それでもやられたことはありますが、負けずに終わったことは大きなことです。選手は悔しいと思いますが、次につながるゲームです。いいパフォーマンスをして、これを維持できるように次のゲームにしっかりと準備することが大切だと思います(大嶽直人監督)」
今節はホームでテゲバジャーロ宮崎と対戦する。
過去1勝1分2敗と負け越している難敵だが、過去の対戦成績も、現在の順位も関係ない。
鹿児島の持てる力を発揮できるように、勝ち点3を取れるように、チームとサポーターが気持ちをひとつに戦い続ける。
最後の最後に主審がホイッスルを鳴らすその瞬間まで。
コラム鹿児島をもっとひとつに。vol.04(total vol.16):
家族、焼酎、鹿児島ユナイテッドFC
ユナイテッドのホームゲームが行われる週末、スタジアムには多種多様な方々が足を運びます。
場外のユナマルシェには多種多様なグルメと、100円で飲める焼酎「さつま島美人」。
けれど、りかさんはなかなか飲むことができません。
いつも鹿児島市郊外から車で、3人の子どもたちといっしょに観戦しに来ているから。
りかさんが生きる楽しみ「家族」「焼酎」「鹿児島ユナイテッドFC」がそろった舞台ですが、今のところ「画竜点睛を欠く」といったところです笑
りかさんは鹿児島市の公立高校を卒業後は量販店に就職しました。
そこから関東へ転勤になり、鹿児島時代の同僚と結婚して鹿児島に帰ってくることに。
そして長男が誕生。
3年後に長女が誕生。
2年後に次男が誕生。
現在小学6年生、3年生、1年生。
この12年、妊娠出産育児が混じり合うハードな日々でしたが、りかさんに愚痴っぽさはなく、なんだかんだ楽しそうです。
授乳している間は焼酎も飲めませんでしたが泣笑
今では毎晩授乳中の分も飲んでいます笑
すらりとした体型からは意外ですが、りかさんは「お酒好き。中でもとにかく一番焼酎が好き」なのです。
夏はビールも飲むけれど、最初の一杯だけでやっぱり主力は焼酎。
水割り、お湯割り、ロック。
自宅には色々な焼酎が収められた棚があり、その棚を眺めながら飲むのが楽しみだそうです。
りかさんのサッカー人生の扉が半分開いたのは2015年頃、家族みんなで大分県に旅行に行ったときのこと。
人気スポットに足を運んだところ、サインと握手と写真撮影を求める地元民に囲まれた、オーラいっぱいの男性がいました。
りかさんもこわごわ写真撮影をお願いしたところ、快く応じてもらいます。
大分トリニータ育ちで、当時はドイツで活躍する清武弘嗣選手(現セレッソ大阪)でした。
りかさんは以来、セレッソ大阪の宮崎キャンプのたびに観に行くようになります。
さらに知人きっかけで大久保嘉人さん(元セレッソ大阪ほか)も応援するようになります。
とはいえ、子ども3人を抱えるりかさんが大阪まで試合を観に行くのは難しかったわけですが、今でも車にはセレッソ大阪のグッズが、鹿児島ユナイテッドFCのグッズと同居しています。
そして2017年、りかさんのサッカー人生の扉は全開になります。
とある週末、「暇すぎて」家族みんなで遊びに行けるイベントとかないかなーとスマホで色々調べていたりかさんが目をつけたのは「鹿児島ユナイテッドFCのホームゲーム」でした。
どこが対戦相手とかは憶えていませんが、大切なことは、家族みんなで楽しい時間を過ごせたこと、以来ユナイテッドにドはまりしたこと、そして「応援するなら推し選手がいるでしょ」と選手一覧を物色した結果選んだのが谷口功選手だったことです。
試合が終わった後、当時はできていたバス待ちで谷口選手に声をかけると、とてもやさしく親しく写真撮影などに応じてくれて「ユナイテッドにハマったのは功くんのおかげですよ」と振り返ります。
そして長男は田上裕選手にハマり、家族でユナイテッドのサポーターになりました。
しかし、ご主人は土日こそ勝負の量販店勤務。
りかさんは幼児2人の手を引き、赤ちゃんを抱っこ紐で抱えての鴨池通い。
当時使われていたゴール裏から遠くのピッチでプレーする選手たちを応援したり、子どもたちはその辺で走り回ったり、ぐずるのを一所懸命にあやしたり、友達と美味しいものを食べたり。
サッカーそのものについては「オフサイドは分かります。3バックがどうとかはわからないけど、選手たちが一生懸命プレーしているのを応援してゴールが決まったら喜べるじゃないですか」。
そして雨が降っても子どもたちにカッパを着せて、やっぱり末っ子は抱えて応援して。
子ども3人連れが珍しいからか、時々テレビクルーに声をかけられたり。
「今思うと観たい想いと根性で良くやったな」と笑っています。
ただ、りかさんは「あの試合がああだった」とか細かく記憶している方ではありません。
良いことは記憶の代わりに「楽しかった!」の感情を心身にどんどん蓄積していって、嫌なことは記憶も感情も洗い流していって、そうやって今と前だけに視線を向けながら鹿児島ユナイテッドFCがある日々を過ごしています。
さらに週末のホームゲームだけでなく、子どもを連れて平日の練習場にも通うようになります。
そこでも毎回欠かさないのは谷口選手との写真撮影。
「毎回毎回しつこいくらい写真撮っていて」明るい人格者谷口選手から「僕はいいんですけど、まだ撮ります?」と笑われながらも「もちろん!」いっしょにカシャカシャ。
写真は溜まっていく一方。
そして練習場にはユナイテッドカフェの店主田仲さんも開店前の時間を利用して見学に来ていて、仲良くなったりかさんはカフェにも通うようになりました。
さらにしょっちゅう鹿児島まで遊びに来ていた人懐っこい香港人とも仲良くなってしまうのです。
高校時代、比較的得意だった英語力を呼び起こしながらの国際交流まで、サポーター活動についてきました笑
ちなみにその香港人は、りかさんが後に推し選手のメモリアルマグカップを注文し忘れた時、さりげなく香港から注文してプレゼントしてくれたというブラボーな友人です。
「そのマグカップで毎朝コーヒーを飲んでいます」
ここは焼酎ではなかったです。
2019シーズン、鹿児島は福岡で行われた最終節でアビスパ福岡に1-2で敗戦。
この時は友達といっしょにゴール裏まで応援に行ったりかさんも、号泣しながら帰りました。
そして2019シーズンが終わり、谷口選手は現役を引退しました。
最後まで明るい笑顔をサポーターに届けながら。
推しの退団とともに別の推しを探したり、サポーター活動を終えていく人も多くいますが、りかさんはこれといった推しを見つけることもないまま、それでも「ユナイテッド自体が好きになっていて」ホームゲームへ通い続けます。
りかさんの支えになったのは、コロナ禍でも制限されなかったホームゲームの空間で味わえる楽しさ。
それに加えて、谷口功さんが「応援副リーダー」として田上裕応援リーダーといっしょにクラブ公式YouTubeに出演して、現役時代から変わらない明るさ楽しさをファンに届けてくれていたことでした。
「あれがなかったら自分もどうなっていたか分からないですよね」
3人の子どもたちといっしょにホームゲームへ通う日々は続きます。
2020シーズン、2021シーズンは清武弘嗣選手の元チームメイト、酒本憲幸選手の20番。
そして2022シーズン開幕戦、もうユニフォームも買っていなかったりかさんですが、ついに新しい推しを見つけました。
星広太。
プレー、顔、雰囲気、もう全部がいい!
さらにシーズン前の全選手を紹介するYouTubeを観て予感は確信へと変わり、購入したユニフォームには「17 KOTA」がプリントされました。
そして秋口、ホームゲーム前に行われるUSM会員限定のサイン会に当選したら、この日ゲストとして参加したのはウェズレイ選手とともに星広太選手!
シーズン終了後や年初のキャンプで行われたサイン会などでは、ニコニコおとなしめキャラと思いきや、意外とフレンドリーに色々と話してくれて、さらに星沼へとハマりこんでしまうことになりました。
星選手は昨年9月に第一子が生まれて、夜のお世話とか大変かもなーと子育ての大先輩としてちょっと気にかけたりしています。
と言っても、りかさんのベースにあるのは「ユナイテッドが好き」。
だから星選手が試合で活躍することも大切ですが、他の選手たちが活躍することも、何より試合に勝ってくれることも大切なことなのです。
「功くんとは全然タイプが違うので、“あなたの好みが分からん”ってまわりには言われているんですけどね笑」
今シーズンから練習見学も解禁されたので、タイミングが合うたびに喜入のユニータへ通うようにもなりました。
まだサインや写真撮影などは再開しておらず、遠くから眺めるしかできませんが、それでも星選手たちの姿を見られる喜びは他に代えがたいようです。
そして冒頭でもお話した通り、夜になると我が家で、時には友達と街なかで、さつま島美人生活です。
(大きな声では言えないけれど他の焼酎もストックしてありますが笑)5月末までキャンペーンをやっているので、20度の焼酎とかを飲んでいる場合じゃありません!
すでに5通応募しているそうです。
900mlではなく1800ml紙パックのほうで。
数年前から長男が鹿児島ユナイテッドFCが運営するサッカースクールに通うようになり、送迎生活もはじまりました。
「長男は食べても食べても太らないし、水泳で体力はついてきたけど、前通っていたスクールはやめたんですけど、そうしたら“ユナイテッドがスクールやってるよね”って体験に行って、そこからずっとです」
長女も「サッカーしたい!サッカーしたい!サッカーしたい!」と毎日のように言い続け、その意志が堅いことを確認できたので、お兄ちゃんといっしょのスクールに通っています。
2人が通っているスクールは高学年も低学年も同じ時間で行うため、送迎がしやすいのも大事なポイントです。
長男はまじめなヒロコーチこと山之内大晃コーチ推し、長女はおもしろいヤマちゃんコーチこと山田裕也コーチ推し。
現役時代の山田選手を知る人たちからすると「嘘でしょ?!」と言いたくなるかもしれませんが、35歳になったヤマちゃんコーチは女子に楽しんでもらうのが得意なのだそうです。
子ども2人ともチームには所属しておらず、試合といえばスクール内の地区対抗戦「デーリィpresentsユナスク杯」くらいですが、毎週ボールを蹴る日々を楽しんでいます。
やさしい長男、自分を持っている長女、末っ子らしい奔放な次男。
有田光希&藤本憲明推しな長男、岡本將成推しな長女、まだこれといった推しはいない次男。
そしてりかさんたち4人の家族をおだやかに見守ってくれるご主人。
家族のことを話すりかさんは、とても嬉しそうです。
ホームゲームの日、りかさんファミリーは、選手たちがバスでスタジアム入りする30分くらい前に鴨池に到着します。
グッズ売り場でガチャガチャを回して、家庭内ガチャ交換をしたりして、スタジアム入りする選手たちをお迎えして、スタグルを食べて、開幕戦の時だけは友達が運転してくれたから念願のさつま島美人をぐいぐいぐいぐいと飲み、友達とスタグルを食べて、ゆないくーと写真撮影をして、応援仲間と前回ホームゲーム以来の再会のあいさつをして、子どもたちはスクールブースでコーチたちと楽しくボールを蹴って。
そうやってふと時計に目をやると。
「毎回キックオフ間近になっちゃうんです。本当はアップから観たいんですけど、いつも間に合わなくて。本当に何に時間使っているのかわからないんですけど笑」
試合中はバックスタンド大旗エリアの近くで、選手たちを全力で後押ししようとシマビハリセンを叩いています。
先のこともありますが、試合になるとりかさんファミリーはシンプルに目の前の1試合を勝つことに全力を注いでいます。
そして試合が終わった後、りかさんのSNSには「勝った喜び」「負けた悔しさ」「ユナイテッドを応援する気持ち」「ユナイテッドがある週末の楽しみ」に満ち満ちています。
アウェイ戦もDAZNでしっかりと見守りますが、やはりホームゲームの雰囲気には代えがたい魅力があります。
Y.S.C.C.横浜戦、最後の最後で同点に追いつかれる悔しい思いをした分、テゲバジャーロ宮崎と対戦する第7節への気合もいっぱいです。
応援仲間も増えたし、さらに今シーズンは夏休み期間に行われる宮崎と北九州のアウェイ戦には行きたいと密かに狙っているそうです。
6年前、たまたまの暇つぶしのつもりで出かけたのが、ある意味運命の出会いになりました。
「ユナイテッドと焼酎のない生活は考えられない」とまで仰っています。
そこには当然、「家族」が先頭に割って入ることは言うまでもありません。
やさしい長男が成人して運転してくれて、心置きなくホームゲームでさつま島美人飲めるようになったらいいですね、とこちらが言うと「あと6年、長いなー」とりかさんは苦笑いしました。
うん、長いですね笑
いつかそんな日が来るかもしれないし、その時に鹿児島ユナイテッドFCを取り巻く環境がどうなっているかなんて簡単には想像できません。
それはともかく。
故郷のデパートで焼きそばを食べたこととか、大した目的もなくショッピングモール内を歩き回ったこととか、動物園でキリンやコアラにワクワクしたこととか、水族館の暗闇で心躍らせたこととか、フェリーでうどんをかきこんだこととか。
何気ない幸せな時間は、その人にとって末永く心に残り続けるもの。
ひょっとしたら鹿児島ユナイテッドFCとは、そんな記憶にとどまり続ける幸せなひと時を提供できる、そんな存在になろうとしているのかもしれません。