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2025.03.25 お知らせ

【3月26日マッチデープログラム】 KUFC MATCHDAY PROGRAM 2025 vol.SP01

鹿児島ユナイテッドFCのマッチデープログラム電子版。
今回は3月26日に行われる2025JリーグYBCルヴァンカップ1stラウンド1回戦、鹿児島ユナイテッドFC vs モンテディオ山形のマッチデープログラムです。

ハマダデンキ スペシャルマッチ 2025JリーグYBCルヴァンカップ1stラウンド1回戦

2025明治安田J3リーグ第6節
vs ギラヴァンツ北九州 会場:鹿児島県立鴨池陸上競技場(白波スタジアム)

2025明治安田J3リーグ第6節 監督・選手コメント

藤嶋栄介 選手コメント(3/23北九州戦後の記者会見より抜粋)

前回の高知戦では自分のミスで勝点を落としてしまったので、今回は無失点で抑えるという強い気持ちで入れたことはすごく良かったです。
僕自身ではなくセンターバックの2人ががんばってくれたおかげ、他の選手が身体を張ってがんばってくれたおかげで無失点での勝利につながったと思っています。

試合終盤の押された展開で意識したこと

近くの選手にしっかり声をかけて、チャンレジするのかカバーするのかをはっきりさせられたことで無失点につながったと思います。

笛が鳴ってできた喜びの輪

本当になかなかチャンスがなかった選手たちが活躍したことを含めて、最近無失点がなかったことも含めて全員で勝てた試合でした。
それで自然と輪になっていました。

連戦に向けて

中二日で迎えるルヴァン杯の山形戦に向けて全員で調整して連勝できるようにしたいです。
また、それをリーグ戦につなげられるように一体感をもっていきたいです。

千布一輝 選手コメント(3/23北九州戦後の記者会見より抜粋)

センターバックでスタメンで出ることが初めてだったので、無失点で勝利に貢献できてホッとしました。

センターバックとしての持ち味

センターバックとしてやることとして、カバーリングや背後への配球は、練習からやっていて自信をもってやれることです。
そこはほかのセンターバックとは違う良いところを出していければと思います。

自身のプレーを振り返って

自分的には満足はしていますが、まだまだチームのためにやれることはいっぱいあると思います。
鹿児島が今後J2に戻るにはチーム内で切磋琢磨しなければならないので練習から取り組みたいです。

前後半の入りを振り返って

前半からコーナーキックを獲得するなど、相手を畳み掛けるような入りができたことは良かったです。
ただ高知戦では後半の入りで2失点したので、リスクを冒さず前に行こうと意図して入れたことも良かったです。

ここまでの手応え

試合の反省をスタッフ陣含めて分析してくれて、それを練習で1人1人やれていることが試合にもつながっています。
勝ちながら修正することを続けていきたいです。

ルヴァン杯と古巣の宮崎戦へ向けて

3連戦でチームみんなの力が大事ですし、また九州ダービーですし、1試合も負けられないので全員で力を合わせてがんばりたいです。
宮崎戦は古巣ということもあって気持ちも入ります。
絶対に負けたくないので、鹿児島のためにチームのために全力で闘いたいです。

青木義孝 選手コメント(3/23北九州戦後の記者会見より抜粋)

今日は勝てて最高です。
ロッカールームから出てアップ前にスタンドを見た時に、いつも迫力がありますが、いつも以上の圧をファンサポーターから感じて緊張もありつつ、より一層身が引き締まった気がしました。

無得点の前半を踏まえての後半

ハーフタイムに今日は負ける試合ではなく勝ち切る試合だと伝えて入りました。
得点のシーンに関してはアンジェの首の強さがすごいと思いました。
アンジェに感謝しています
クロスを上げる予定はありませんでしたが、相手が思った以上に開いていたのでクロスのコースが空いて、落ち着いてクロスを上げることができました。

勝利時にできた歓喜の輪

事前に分かっている方が多いと思いますが、人が変わった中で勝ちきったことがあります。
また久しぶりに失点ゼロで抑えられたことで心の底から嬉しい気持ちが湧いてきて、ああいう形になりました。

ルヴァン杯と宮崎戦に向けて

試合に出ている選手も出ていない選手も非常にモチベーション高くやっています。
誰が出ても遜色なくプレーできるので、この3連戦はチームの総力戦であり、3つすべて勝ちをものにしたいです。

相馬直樹 監督コメント(3/24トレーニング後の共同会見より抜粋)

北九州戦を経て迎えるルヴァン杯

今回はJ2の山形さんが相手ということで、相手が格上だということは当然分かっています。
ただそういった中で天皇杯のような大会もですが、自分たちのホームで迎え撃つ形になります。
しっかりとまずは自分たちがチャレンジしていくことを出せるようにしたいです。

現役時代の経験を踏まえてカップ戦の印象

僕にとっては初めてのノックアウト形式になってからのルヴァン杯です。
そういう意味では少し新鮮な部分も当然ありますし、今の我々のJ3にいる立場を含めてみると本当にチャレンジの場でもあります。
そういう意味でこのゲームをチャレンジとともに、これだけ我々が闘えるという姿を見せられる試合にしたいと思っています。
天皇杯などもですが、これまでも当然上手く行かない形として、逆に自分たちが格上でやる時の難しさも分かっています。
そういった意味では山形さんも難しいゲームになると思って来られるでしょう。
先週あった木曜日のゲームにおいては北九州だけしかアップセット(番狂わせ)できませんでしたが、そういうゲームであると思っていますので、チーム全員で準備して臨みたいです。

リーグ戦との兼ね合い

リーグ戦の合間にあることも含めて難しさは当然あります。
ただそこでリーグにつなげる意味でもそうですし、我々が今ここまで闘ってきたものを格上相手にもしっかりとチャレンジし続けなければなりません。
ホームでそういう姿をお見せして、いっしょに勝利をつかみ取れるように、時間は短いですが準備していきたいです。

武星弥 選手コメント(3/24トレーニング後の共同会見より抜粋)

北九州戦を振り返って

自分が出た時間帯は押し込まれている時間帯で、そんなに攻めている時間帯はありませんでした。
それでも前半からゲームを見ていて、チームとして背後の徹底や前への意識はチームの共通認識としてできていたので、それが必然的に相手のシュート本数の少なさにつながったと思います。

山形の印象

やっぱり去年J1昇格プレーオフまで行っているチームですし、チームとして共通認識を持ついいチームだと思っています。

山形戦の闘い方

自分たちは今シーズン始動してからチームとして前に前にという意識を常に持っています。
攻撃的なサッカーが鹿児島のサッカーなので、それを出していければ自然と勝ちにつながると思います。

FWとしての抱負

自分はいつチャンスをもらっても結果を出せるようにという準備はできています。
出るチャンスがあれば、得点という目に見える結果でアピールしていきたいです。

今週末の宮崎戦に向けて

宮崎はチームとしては相性がいい印象はありませんが、僕は個人的にはJ初ゴールを決めた相手なので、個人的には相性はいいと思っています。
鹿児島のサポーターが宮崎まで来てくれるので、勝ち点3を届けることは絶対にやらないといけないことだと思います。
昨日勝つことができて、この前の高知戦の引き分けを価値あるものにするためにも、今週末も勝たなければなりません。

小島凛士郎 選手コメント(3/24トレーニング後の共同会見より抜粋)

練習を振り返って

今日は北九州戦で出場時間の短かった選手と出ていなかった選手で、山形戦に向けて強度の高いトレーニングを行いました。

中二日で迎えるルヴァン杯に向けて

すぐに試合が来ますし、ここまで試合に出ていない選手にもチャンスがあるかもしれないので、全員が良い雰囲気でやれていると思います。

今の心境

試合には出られていませんが、ベンチに入る中で自分が必要となる状況は必ずあると思っています。
少しずつ相馬さんに信頼してもらっている部分もあるので、自分は練習で100%を出して、いつ出ても相馬さんのサッカーを体現できるように準備しています。
常にポジティブな状態でやれていると思います。
やることはブレずにやってきているので、チャンスが来たらいつでもやれると思っています。

山形戦に向けて

一番は技術がしっかりしているチームだと思います。
J3にはないJ2レベルの個のクオリティーを感じる試合になるので、そこで自分たちのサッカーをどう徹底して勝ちに持っていけるかは常に考えています。
僕たちはシーズンはじまってから常に強度の高い練習を積み上げています。
試合終盤まで強度を落とさないことは武器だと思いますし、背後への意識、前への意識は上回っていけると思っています。

今週末の宮崎戦に向けて

まずはこの3連戦、過密日程の中で全部勝っていくことをチーム一丸でやらなければなりません。
とにかく今は山形戦に向けて勝つという強い気持ちだけでやっています。

2025JリーグYBCルヴァンカップ 大会を通じて最も活躍が顕著だった若手選手1名を 「ニューヒーロー賞」として表彰

【2025JリーグYBCルヴァンカップ ニューヒーロー賞 表彰概要】
◇対象選手
・当該シーズンの12月31日において満年齢21歳以下の選手
・第2種トップ可登録選手およびJFA・Jリーグ特別指定選手も対象
※ただし、過去に同賞を受賞している選手は対象外とする

◇選出方法
1stラウンド(1回戦)~準決勝までの各試合会場における報道関係者の投票をもとに、Jリーグにて今年度のニューヒーロー賞を選出

参照:【公式】大会を通じて最も活躍が顕著だった若手選手1名を「ニューヒーロー賞」として表彰【2025JリーグYBCルヴァンカップ】:Jリーグ公式サイト(J.LEAGUE.jp)

◇鹿児島ユナイテッドFCの対象選手
背番号23.小島凛士郎 選手
背番号46.武星弥 選手
背番号34.丸山哲新 選手(2種登録、鹿児島ユナイテッドFC U-18所属)
背番号35.岡別府陽輝 選手(2種登録、鹿児島ユナイテッドFC U-18所属)
背番号37.木下海斗 選手(2種登録、鹿児島ユナイテッドFC U-18所属)

コラム「鹿児島をもっとひとつに。vol.41(Total vol.53)」
濵田茂臣 さん(株式会社ハマダデンキ 代表取締役)

応接室に通されるとまず目に入るのは棚。
最上段にはエヴァンゲリオンのフィギュア、これは社長の趣味なのでしょうか?
下の段に行くとスポンサーやUSMの特典でお送りしている焼酎瓶が並び、ルヴァンカップでのみ使用するボールに選手のサイン、左側には木村祐志さんをはじめ谷口功さんや田上裕さんのユニフォームが飾られ、スポンサーさんらしさがうかがえます。
しかし棚をさらに見ると、ラバーキーホルダーやカンバッヂやカード、いわゆるガチャガチャの商品がたくさん。同じ番号が3つ並んでいたりするあたり、コンプめざして回しまくった形跡がうかがえます。
すごいサポーターのような熱量だなーと思いながら見ていると、代表取締役の濵田茂臣さんがいらっしゃいました。
すらっとした体型に上に着るのは「ハマダデンキ」のロゴが入ったポロシャツやGジャン。
2年連続でルヴァンカップのスペシャルマッチスポンサーをされるハマダデンキさんはどんな企業で、どんな方が代表なのでしょうか?

ハマダデンキの創業

濵田さんはいわゆる「就職氷河期」「お前の代わりはいくらでもいる」の世代。
頴娃に生まれ、高校を卒業してからはパティシエを皮切りに工場や新聞配達や営業など、色々な仕事を転々としてきました。
そんななかで知り合いから紹介してもらったのが「エアコンの設置」という仕事です。
そもそも独立を前提にした世界で、3ヶ月間の研修を経たらもう独り立ち。
エアコンの販売店などを通じて依頼が来て、お客さんの家に直接お邪魔して、エアコンを取り付けていく仕事です。
色々な仕事を経た中で、なぜこの仕事が天職になったのでしょうか?
「この仕事ってお客さんからの反響というか“ありがとう”って言われて、自分の作品ではないけど、エアコンを付けたらそれが動いて皆さんのために役に立っている。それがお給料としていただけるっていうのがすごく認められた感があるんですね。
今まではあんまり認められた感がなかったので。
で、それからですね、休みいらないっていうくらい働きましたね。
個人でいくらでも働いて稼いで、お客さんが喜んでっていう、それでハマっていきました」

これまでの社会人生活ではなかなか得られなかった充足感で濵田さんはどんどんこの仕事にのめり込んでいきます。
この業界は独立した個人の設置業者であり続ける人も少なくないなか、アルバイトを雇うようになり、弟さんが構える事務所の一角を間借りして。
だんだんと人も物も増えていったので、真砂の空き物件に事務所を移して、さらに現在の南栄に移ったころからはエアコン取り付け以外にオール電化、さらに付随してエコキュートも手掛けるようになり、現在のハマダデンキの姿になっていきます。

ユナイテッドとのはじまり

濵田さんの事務所には、事業が軌道に乗ってきた証とある意味で言えるのでしょうか、営業マンがたずねてきては「うちに協賛してくれませんか?」「ここに広告を出しませんか?」という提案が相次ぐようになってきます。
なめらかなセールストークをしょっちゅう聞かされる中、、、鹿児島ユナイテッドFCというサッカークラブから満留芳顕という営業マンがなんのつてもなく、飛び込みでたずねてきました。
明らかに新人で説明はぎこちなく、こちらが尋ねることへの回答もあいまい。
濵田さんといっしょに対応したプロジェクトマネージャーの永田さんは「正直に言って“大丈夫?この人?”っていう。フレッシュでがんばっている感じは印象的だったけど、うちがスポンサーするとは思わなかった」そうです。

現在はアカデミーの指導者と営業部を兼任する満留芳顕

ところが、濵田さんはクラブサポーターブロンズで契約して、永田さんは「え”?なんで?」とびっくりです。
「鹿児島ユナイテッドFCに名前を出せる、それが3万円台(当時)なら安いし、それならできるかなっていうのと、あとは鹿児島出身の選手もいたし」と濵田さん。
経営がうまくいきはじめたハマダデンキ、鹿児島ユナイテッドFCの新人営業の全力熱量でクラブサポーターブロンズで契約!でアクセルが一気に全開になるかと思いきや、、、のんびりムードです。
もともと濵田さんにとってサッカーと言えば日本代表の試合をテレビで観るくらいでした。
はじめて鹿児島ユナイテッドFCの試合を観に行ったのは、2018シーズンのホーム最終戦。
昇格しそうだということで「せっかくチケットがあるから行ってみようかな」くらいの初観戦でした。
沼津戦に勝利して鹿児島は初のJ2昇格を果たします。

「それでも“ああ良かった良かったくらい。その時は前の試合とかを見ていなくてそこまでの道のりがわからないから、僕は“あ、昇格っていうのがあるんだ、盛り上がってるな”くらいで」
J2になり、J3に降格して、コロナ禍になって、そんな3年間で濵田さんは特にユナイテッドにハマっていくようなことはありませんでした。
すべてが変わったのが2022シーズン。
そのきっかけはかなり珍しいものでした。

きっかけは対戦相手から

2022シーズンの開幕戦は少し特殊な光景がありました。
通常、報道のカメラマンたちはビジター側のゴール裏に、つまりホームチームの攻撃そしてゴールシーンを撮りやすい位置にいるのですが、この日は鹿児島のゴール裏にも、ビジターチームの得点を撮ろうとするカメラマンたちが反対側に劣らず多く構えていました。
相手方に優勝昇格がかかっているならともかく、開幕戦としてはかなり異例のことでした。
その対戦相手は、いわきFC。
東日本大震災の被災地であるいわき市に創立されたクラブがJリーグに参戦し、3.11の2日後にJリーグの初陣を迎えることで報道面で注目されていました。
いわきFCの取り組みは全国ネットのテレビでも特集されていて、特徴的なフィジカルトレーニングの様子が流されていました。

「特集観ながら“ここは絶対行くな”って直感的に思ったんですよね。なんかめちゃめちゃ強いわって、それで鹿児島ホームで開幕戦がいわき戦で。
だから自分が予想したことがどうなのか見てみたくて、それがきっかけなんです。べつにいわきFCが好きになったというわけでもなく、ただそこで見ただけで」

開始直後にいわきが先制して、前半終了間際に有田光希選手のヘディングで追いつき、そのまま1-1の引き分けで終了。
「この時はすごく楽しいって気持ちになって、それからもう時間があったら(ユナイテッドの)試合を観に行こうって決めて、それから従業員を巻き込んで観に行こうってなっていったんですよ」
このシーズンのユナイテッドはそのいわきFCとともに昇格戦線を牽引するシーズンでしたが、試合結果以上に雰囲気が楽しかったと振り返ります。
当時はまだ声を出しての応援ができなかった時代、濵田さんは従業員を連れてメインスタンドでアルコール片手の観戦スタイルでした。
「そこから選手を覚えはじめたら色々なものが見えはじめて、もっと応援したくなって。それで僕がこれだけハマるサッカーっていう魅力を皆さまに伝えて、いっしょにいきたいという想いでしたよね」
わずかのところで昇格を逃した2022シーズンを経て、2023シーズンからは横断幕を掲出するオフィシャルスポンサーとなりました。

武星弥選手の左拳のあたりがハマダデンキの横断幕

2023シーズンは監督交代などがありながらも鹿児島は粘り強く勝ち点を積み重ねていき、シーズン最終戦、アウェイのガイナーレ鳥取戦に引き分ければほぼ確実にJ2昇格という状況にたどり着きました。
ユナイテッドにハマっていた濵田さんは会社の一角に大きなスクリーンを設置して、従業員みんなでDAZNで決戦を観ていました。
後半先制されて、追いついて、スコアはそのまま動かず1-1の引き分けでJ2昇格!
「5年前はただ“ああ上がったんだ、J2っていうカテゴリーがあるんだ”くらいだったんですけど、今回は感動的でしたね。みんなでいっしょに観ることによって一体感が生まれますしね」
その場で観ていた5年前よりもDAZNで観ていた2度目の昇格のほうが、思い入れの分、より感動も深まりました。
社内で今ハマっているのは濵田さん含めて5人が中心で、ホームゲームに行ってはガチャガチャを回してコンプリートを目指しています。
試合になったらメインスタンドで、従業員の皆さんはシーズンシートパスを持っていて、濵田さんの観戦場所は思案のしどころです。
スポンサーさんには招待券をお送りしていますが、、、
「足りないです、足りないっていうかイベントとかの時にプレゼントに使う方に回せばいいかなって。すごくもっともっと広げていきたい気持ちがあるんです」

もっともっとユナイテッドの輪が大きくなっていって欲しい濵田さんです。
それにしても気になることとして、濱田さんのような個人が1代で興して10年くらいの企業がこういうスポンサーをすることにメリットはあるのでしょうか?
「直接的にメリットはないです」
最初に明確な結論から来ました。
「ただ一番感じたのが、ユナイテッドさんをスポンサードしたときに周りが認知してくれたというか、反響があったのを感じています。
“ユナイテッドに出しているよね”って知らない方に声をかけていただりとか、それが仕事につながっている実感はないんですけど、認知されるとか、その辺を考えたら意味があるなと自分は感じますね」

こうして2024シーズンは横断幕に加えて、スペシャルマッチのスポンサーもすることになりました。

ルヴァンカップと故郷と

そのカードは、JリーグYBCルヴァンカップ2回戦の東京ヴェルディ戦。
そして今シーズンも1回戦のモンテディオ山形戦のスペシャルマッチスポンサーをされます。
「スペシャルマッチでは始球式をしたり、ブースを出したりして楽しいです。
ルヴァンカップはカテゴリーが違うところが争うところがすごくおもしろいですよね。もちろんリーグ戦もおもしろいんですけど、一発勝負でカテゴリーが上のところと1回戦でいきなり対戦できるのがすごく素晴らしいじゃないですか。
特に今回は田中渉選手と野嶽寛也選手(ともに元鹿児島、現山形)がもしかしたら来るかもしれない、来てくれたらすごく嬉しいなっていう楽しみも増えて。
あと実は来年、頴娃町を盛り上げる取り組みをしていきたいんですけど、それにつなげることもしていきたいって思っているんです。
だからエスコートキッズはFC頴娃の子どもたちで、頴娃高校サッカー部も全員招待しますし」
ルヴァンカップはまだ肌寒い平日夜に行われる関係でどうしても集客などに難しいところがありますが、濵田さんはただユナイテッドが好きという気持ちにとどまらず、ビジネスマンとしてもしっかり色々な角度から意義を見出しています。

釜蓋神社やタツノオトシゴハウスが有名な頴娃町

そして濵田さん個人として、故郷である頴娃への想いも深いものがありました。
「南九州市は川辺、知覧、頴娃ってあってそれぞれ仲が悪いとかじゃないんですけど、地方あるあるだと思うんですけど、もともとは別だったので。
頴娃自体が喜入とか山川とか開聞とかといっしょの揖宿郡のほうで、川辺や知覧とは別だったんですけどそれが南九州市になって。
それで地元に行ってみたら頴娃町だけは何も発展していないっていう声があったりするので、それで僕の中では頴娃町を盛り上げていきたいっていう想いなんです」

濵田さんとお話していて感じるのは、やさしく穏やかそうな雰囲気に反して、現状に飽き足らず「もっともっと」の意欲にあふれているところ。
そもそもエアコン設置の業界が個人事業主として続けていく人も多いなかで、濵田さんは2年目にしてアルバイトを雇用したのを皮切りに、どんどん経営の範囲を広げていっています。
「個人でやっていた時はきちんとした保険に入るとかもやっていなかったし、僕自身最初の3ヶ月はきちんとした給料をもらえなくて、でもそのくらい厳しいものだよというところからはじめたので。
そこから会社にすることで少しずつ社員の気持ちも分かってきたというか。
休みも必要だし、給料もちゃんとあげないといけないし、保険もつけないといけない、そういう福利厚生を重視し始めたのが会社にし始めてからですね。
やっぱり人を雇うっていったらものすごく労力と気も使うし」

ご自身は仕事が楽しくて休みなんていらないというタイプでしたが、大半はそうではないですし、時代も違います。
それでも濵田さんは、従業員たちの生活に責任を持つ経営者としての生き方を選び、事業を拡大していきました。
「もう本当に色々とやっていきたい、自分で色々なものに挑戦したいっていう気持ちです。
自分の生活が安定するところで止まる方もいるんですけど、僕は少しずつ、いきなりじゃないけどちょっとずつ自分がやりたい好きな新しい仕事を作っていって、とやってきて。
でも本当に向上心しかなくて、何も考えずにとりあえず走っていましたね。
多分どうにかなるだろうって、それくらいで自然と今みたいになっていった感じで。
もう仕事の量が1人では無理でしたし、でも楽しかった。楽しいが一番ですね」

従業員から見た社長とユナイテッド

ここまでハマダデンキの創業経営者として濵田さんに色々とお話をうかがってきましたが、話がひと段落したタイミングで女性が1名、応接室に入ってこられました。
プロジェクトマネージャーとして、ハマダデンキの色々な企画を練ったり実行したり、それ以外にも会社の色々なところに顔を出しては業務を潤滑にするために動いてらっしゃる永田さんです。
濵田さんも「うちは職人肌の人が多くて、永田さんはちゃんと整理して色々やってくれる重要な役です。みんなが頼りにしている感じですね。イベント事とかも彼女は好きなので、色々と実行してくれるし僕も頼りにしているんですよね」と評する方です。
話を聞くと、応接室の最上段に飾っているエヴァンゲリオンのフィギュアは永田さんのもので「置くものがないから“社長ここに置いていいですか?”で“いいよ”って自由にさせてもらってあれもこれも飾ろうって」という言葉に、なんとなく永田さんとハマダデンキの雰囲気が伝わる気がします笑

率直な永田さんだから社長のユナイテッドへのハマり具合についても従業員の立場から忖度抜きにお話してくれるような気がしました。
「最初に満留さんが来た時にスポンサーになるって時は“なんで?”が強かったですよ。正直全然興味なかったし。最初は本当に風当たりが強かったですよ。スポンサー始めるっていう時もちょっと理解できないって」
従業員にとっては、スポンサーするなら給料とかボーナスに回して欲しいかもしれません。
「そうそうそうそうそう!そうなんですよ!まあ結果みんな巻き込んでサッカー行こうぜって好きになってもらったので良かったですけど笑
ただそれを伝えるのが上手じゃない社長なんで。
お客さんのところでエアコンを取り付けるとか仕事をしている時はいいんですけど、そういうのを離れた時に従業員に対してもあんまりうまく伝えられないタイプなので。
サッカーを応援するのもこっそり始めていて、多分みんな知らなくて始めたのをだんだんあれこれ増えてきてなにかやってるの?みたいな。
だったらお金をかけてどんどんやっていくんだったら従業員みんな知っていないといけないことだし」

創業経営者という立場には、従業員に余計な不安を生まないためにも1人で背負って何事もないかのように粛々と仕事をしているタイプが時々見られる気がします。
そういう意味では永田さんのように社長の意を汲んで、他の従業員との間に立てる人材は貴重なんだろうなと感じられます。

「もう今では社員もみんな社長に聞きますもん。次の対戦相手ってどうなんですか?って、それで社長が分析しているのを聞いて。すごい語りますよ笑。
去年入った子がサッカーをガッツリやっていたんですけど、正直やっぱりやっていた人は自分がやる側の意識が強くてあんまり観に行かないみたいな感じだったけど、今はもうすごハマって盛り上がっていますもん。
最初は一番懐疑的だったメンバーが今はいっしょにSS席の前のほうで、“ここ見やすいね”って」

そういえばハマダデンキはこの人手不足と言われる時代に、どのように採用をしているのか気になります。
「ここ何年かは大卒で採っていたんですけど、それまでは中途採用の人をアルバイトから正規雇用するみたいなことが多くて。あとは同じような仕事をしている人で、社員になりたいみたいな口コミで来る人が多いですね。
ただこの仕事もだんだん採用が難しくなっちゃっていて。
それで大学生っていうよりもっと若くて体力のある子のほうがいいかなって。
今年とかから、できれば高卒とか採りたいなっていう考えはあります。
本当に学歴とか関係ないなっていうのがすごく感じるところです。
しっかり高校生活がんばってました!っていうよりも、ちょっとやんちゃしてたり、学校でなじめなかった子が伸びていったりすることはありますね。
もうとりあえず身体を動かせば稼げる仕事なので。
“恥ずかしながら高校も卒業していません”みたいな子もいたりするけど、そういう子のほうが技術的に伸びて仕事がすごくできたりとか」

永田さんの話をうかがっていて、なんとなく濵田さんの人となりも浮かんでくる気がします。
社会は「普通」に高校を卒業して「普通」に大学短大専門学校を卒業して「普通」に就職することを前提に成り立っているところがありますが、当てはまらない人も多くいますし、就職してもすぐに離職せざるを得ない人もいます。
今の仕事と出合うまでに「人に認めてもらえていない」辛さを抱えながら生きてきた濵田さんだからこそ、気持ちがある限りどんな人にも可能性があることを深く理解しているし、その人の可能性を信じたいし、引き出したい思いがあるような気がします。
そしてその想いは前述の頴娃町への想いにも通じるものがあるような気もします。
と、なんかいい話になりそうなところでもう少しユナイテッドの話になってきました。

箱推し社長が最終的にめざすもの

永田さんたちはシーズンシートパスでメインスタンド観戦ですが、濵田さんはその都度購入ということで、今シーズンは立ち見推奨エリアで大旗隊にも参加しています。
「やってみると疲れるし寒いし。そして北九州戦は暑いし、逆の天候ですから。
もともと興味はあったんです。飛び跳ねたりしたいって、でもちょっとハードルがあったんですけど(濵田さん)」

今では社長1人でバックスタンドで大旗を振って、永田さんたち従業員はメインスタンドでお酒を飲みながらの観戦笑
「でも私は正直だから社長とか会社としてハマるまでは全然だったんですけど、主人もサッカー部出身なのでユナイテッドを応援しているし、中2の娘もハマって3年くらい前からバックスタンドのほうに2人で雨の日も風の日も行ってまして。
私はもう全然理解できなくて。
“雨じゃん、今日行くの?嘘でしょ?”みたいな。全然親子そんなに仲がいいっていうかいっしょに出かけるってないんですけど、サッカーだけは唯一、2人で行きますね(永田さん)」

それだけ会社ぐるみでハマっているユナイテッドですが、昨シーズンオフには多くの選手が退団する辛さがありました。
「気持ち的にすごく落ちました。僕個人的に意外と好きだったのが田中渉選手で、他の選手も好きなんですけど、田中選手はすごくプレーが好きで“すげえな”って。
田中選手が(期限付き移籍元の)山形に帰るのは“ああ帰るよね”って感じだったけど、野嶽選手も移籍ってなって、“それならいっしょに応援できるな”って。
もう山形の試合は全部観ていますし、知っている選手があちこちに行くので他の試合を観るようになって忙しくなりましたね。
すごくサッカーが面白くなって、(サガン鳥栖に移籍した)泉森選手も出てきましたし。
田中選手と野嶽選手はリーグ戦で出続けているし、ルヴァン杯で来るかは分かりませんけど、こっちがカテゴリーを上げていけば会えますしね(濵田さん)」

濵田さんが仕事中にスマホを横向きに持っているのを見つけた瞬間、永田さんの目が光ります。
「社長、サッカー観てません?」です笑
これだけユナイテッド愛が強い濵田さんですが、それではユナイテッドにはこれからどうなっていって欲しいという想いがあるのでしょうか?
「最終的な目標はJ1で、確かにカテゴリーを上げたりするのもいいと思うんですけど、僕はどっちかといえばファン、サポーター、スポンサーがもっとたくさん増えて欲しい。
カテゴリーがどこであれやっぱり毎試合8,000人とか集まる規模のクラブになって、10,000人が当たり前になっていって欲しいですね。
サッカーだけではなくて飲みながら食べながら観るのが好きっていう方がけっこう多くて、そういう見方でもいいと思いますし、あれはもうお祭りみたいなもので雰囲気も味わえるのが素晴らしいものですから。もっと広めたいなって思っています。
人気があるほど僕たちもより認知されるっていうメリットもありますので」

濵田さんを探せ(上級編)

もうひとつ、たとえば飲食店のように直接的にファンサポーター、チーム関係者と接する機会を作りづらい業種だからこそ、そういう機会を求めるところもありました。
それではハマダデンキという企業をどうしていきたいのかを聞いてみると…ちょっと考えてから濵田さんは口を開きました。
「正直なところ、僕の夢がいつかユニフォームにロゴを入れたい、そのくらいまで会社を大きくしたいですね。それがひとつのバロメーターじゃないですけど、夢です。
経営的に無理をしてロゴを出すとかじゃなくて、ちゃんと経営して、従業員や協力店やお客さんも良いふうになっていって」

個人でエアコン設置の仕事をはじめたころからは随分と遠いところまで来ていますし、傍目にはかなり成功していると移りますが、濵田さんとハマダデンキはまだまだ先を見て一日一日進んでいます。
こうして取材するべき内容はひと通りしましたが、やはりユナイテッドの話題は尽きる気配がありません。
話は自然と推し選手の話になっていきましたが、濵田さんはあえて推しを作らない主義です。
「みんなそれぞれの好きな選手の背番号ユニを買っていると思うんですけど、そうするとその選手を中心に応援しないといけないような気がして。
僕はもう箱で応援しています。どの選手を見ても、この選手はこのプレーが好き、あの選手はあのプレーが好きって、どの選手も好きなんですよ」

社長らしいバランス感覚です。
対する永田さんの推しは山口卓己選手で、顔から雰囲気からプレーから納得です。
そういえば濵田さんのなかでは、そもそもユナイテッドを応援する時の決め手のひとつが鹿児島出身の選手がたくさんいることでした。
現在は武星弥選手と小島凛士郎選手の2名。

ただ山口選手は出生は長崎県ですが、鹿屋市の西原台小学校出身ですし、鹿屋体育大学出身ですし、、、
「そうそう、もう鹿児島出身でいいじゃないですか!」と力強く同意してくれました。
人間には両面あるとしても、パッと見は繊細だけど意欲的な濵田さんと、元気で気遣い上手な永田さん。
組織はやっぱり異なる個性がうまく噛み合ってこそだと感じさせてくれますが、お二人に共通するのは「人を喜ばせたい」サービス精神。
BtoBに分類される企業ですが、サービス精神あふれるハマダデンキさんのユナイテッド愛にもご注目下さい!

会社概要
会社名/株式会社ハマダデンキ
創立年月日/平成27年1月5日(2015年)
代表取締役/濵田 茂臣
住所/鹿児島市南栄3丁目30-14
資格/第一種電気工事士、第二種電気工事士、給水装置工事主任技術者

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