【4月13日マッチデープログラム】 KUFC MATCHDAY PROGRAM 2025 vol.05
鹿児島ユナイテッドFCのマッチデープログラム電子版。
今回は4月13日に行われる2025明治安田J3リーグ第9節、鹿児島ユナイテッドFC vs アスルクラロ沼津のマッチデープログラムです。


2025JリーグYBCルヴァンカップ1stラウンド1回戦
vs モンテディオ山形 会場:鹿児島県立鴨池陸上競技場(白波スタジアム)

監督・選手コメント
2025明治安田J3リーグ第7節
vs テゲバジャーロ宮崎 会場:いちご宮崎新富サッカー場(宮崎県児湯郡新富町)


2025明治安田J3リーグ第8節
vs AC長野パルセイロ 会場:長野Uスタジアム(長野県長野市)


相馬直樹 監督コメント(4月9日トレーニング後の共同会見より抜粋)

ミニゲームでの選手たちの勝ちへの姿勢
勝ちにこだわるって色々な意味で難しいです。
やはり真剣になればなるほど感情が動く部分があって、ゲームの流れが出てくるのが見えました。
こだわる部分は、だからこそうまく出してくれていたかなと思います。
ただ勝ちにこだわるからこそ、少しイライラが出てきたりすることがあります。
でも試合ではそうなってはいけないので、そういう時こそ冷静にチームの力が上がることも必要です。
どのシーズンもそうですが、いい時ばかりではありません。
良くない時でもでも勝ちにこだわることは、今日も出してくれていたと思っています。
チームの雰囲気
勝つゲームがある程度作れていることもですし、怪我などを含めて多少選手が入れ替わることも含めて、そういうなかで、今日はいい競争が出ていると思っていました。
シーズンずっと良いまま行くわけではないので、だからこそ今の時期にしっかりと勝ち点を積み重ねていきたいです。
河村選手をFWに起用した前節の意図
あんまりたくさんは(言いがたい)とは思いますが。
そこまでのゲームを見ていた時に、もうひとつモビリティ(機動性・流動性)やダイナミズム(活力)が欲しい。
そういう振り返りがあり、一番前に、よりダイナミックさを出せる形にすることにしました。
前節の変更で良かった点ハマった点
狙った通りの部分は出せかなと思います。
ただ前半は少し単調になった部分はありました。
そのへんは少しハーフタイムの修正を含めて、うまくいった部分もありました。
前節復帰したキャプテン稲葉選手に期待すること
見ての通り、チームの勝利のためにすべてを出してくれる選手です。
もちろんピッチに立つには競争があります。
ただその競争をより激しいものにしてくれることで、チームにエネルギーは出てくるのではないかなと思っています。
アスルクラロ沼津の印象
失点得点ともに少ないとは思っています。
ただ堅いゲームをしているのではないかと思っていて、少し見て、意外というわけではありませんが、非常にアグレッシブなところもありました。
そのへんのところは細かく見ていきたいとは思っていますが、少し厄介な相手になりそうだと思っています。
アウェイ2試合を挟んでのホーム戦に向けて
またホームに戻ってこれます。
ピッチで躍動する、チャレンジする姿をお見せできるように、そして終わった時にいっしょに喜べるようにと思っています。
日本代表でいっしょにプレーした沼津の中山雅史監督について
この前も秋田(豊)さんの時も同じことを聞かれましたが、秋田さんはこれまでも対戦したことがありましたが、中山さんは今回はじめて監督として対戦します。
それは認識としてあります。
しかし、いつも言いますがピッチの上で闘うのは選手です。
僕がいくら力を入れても、と思っています。
選手たちがしっかりと闘ってくれたらと思っています。
自身の代表選手としての経験が今に活きているもの
あまりそうやって整理して考えたことがなかったので、どうということはありません。
ただ当時で言えば、なかなか日本人で経験したことのないところを経験してきた。
そういうものは自負というわけではありませんが、そういう想いはどこかに持っていたと思っています。
ただ今はもう海外でプレーする選手、チャンピオンズリーグに出る選手もいます。
我々はW杯に出ただけで決勝トーナメントには進めませんでしたが、それを知っているメンバーもいます。
より積み重なっていると思います。
あの当時で言えば、ひとつ壁をくぐり抜けたことは、中山さんがどう思ってらっしゃるかは分かりませんが、自負はあったと思います。
福田望久斗 選手コメント(4月9日トレーニング後の共同会見より抜粋)

前節の初ゴール
正直ホッとしています。
全然点を取れていないので焦っていましたが、継続していけばゴールは決められると思っていました。
それで初ゴールできたので良かったです。
チームの雰囲気
すごくみんな笑顔でいいトレーニングができています。
雰囲気はとても良いと思います。
(最後のミニゲームで)僕たちは最下位でしたが、ああいうところで勝っていかないといけません。
常に勝利できるようにこだわっていきたいです。
もともと得意な左と右を比べて
正直、全部違います。
左はドリブルでのカットインがあったりしますが、右サイドだとなかなか自分の良さが出せなかったです。
ただシュートのバリエーションは増えました。
今は左足のシュート練習をしていて、この間はそれを出せたと思います。
右サイドでの経験が活きただから、とはあまり思いませんが、単純に練習していたことが活きたと思います。
右サイドでのプレー
正直自分の中では全然違いますが、プロとして複数ポジションできなければなりません。
左でもまだまだですが、右で出た時は最低でも左くらいのプレーをしたいです。
ドリブルで相手を抜きやすいのは左サイドで、自信も左のほうがあります。
そこは自信の要素がだいぶ大きいと思います。
率直に言うと右は左よりも難しいと感じました。
そのなかで試合を重ねていくごとに慣れた感じはありました。
ボールの持ち方など、そういうものは学べました。
欲を言えば10ゴールくらいいきたいですし、アシストも5くらいしたいです。
沼津戦に向けて
今チームとして6試合負けなし、波に乗っているのでしっかり2連勝できるようにチームで勝って、無失点で終われたらなおいいかなと思います。
稲葉修土 選手コメント(4/9トレーニング後の共同会見より抜粋)

現在のコンディション
この間の長野戦で30分出られたので、コンディションは上がってきています。
ここからもっともっとベストパフォーマンスに近づけていけるかなと感じています。
久しぶりの出場を振り返って
開幕から約2ヶ月ほど離脱してしまって、本当にチームに迷惑をかけました。
そして復帰するにあたって多くの方々にサポートしていただいたので、その感謝があります。
3-0という状況で、少しプレッシャーのかかりにくいシチュエーションを仲間が作ってくれていたので、思い切って楽に入ることができました。
ピッチの外から見ていたチーム
開幕して2、3試合くらいは少し攻守において噛み合わないところがあったり、バランスが良くない場面はありました。
それでも徐々に監督が目指すサッカーが見えてきて、そこに選手がハードワークしているので、去年とは違った鹿児島の良さが出せていると思いながら観ていました。
現在ボランチで出ている山口選手と渡邉選手について
山口選手のところでいうと、ボールコントロールに優れた選手ですし、どんどんどんどん前のFWと関わるタイミングや出ていくタイミングがいいと思います。
去年よりもゴールに関わる回数は増えていますし、それをもっともっと増やして数字にこだわってもらいたいです。
渡邊選手については、後ろのバランスと、ボールを奪ったあとの配球のところでは、鋭い縦パスを出せている場面が多くありました。
その2人の良さを出せている時はチームもいい時だと思っています。
ミニゲームでの勝ちへのこだわり
それこそ本当に開幕当初よりかは一歩にこだわる姿勢が出てきていて、ひとつ球際のところのバトルで勝てる画面が増えてきています。
そういう部分は良くなってきていますが、まだまだ自分たちの目標とするところと比べると60%70%くらいだと思います。
これからどんどん求め合いながら高めていければと思っています。
60%70%からより高めるために必要なもの
監督やスタッフから準備されたものに対して、自分たちがどう向き合って、立ち向かっていくかです。
そこは選手の受け取り方次第のところがあります。
いいものがあってもするほうがそれを感じられなかったら意味がありません。
スタッフの熱量と選手のやってやる熱量が噛み合って、しっかり高め合いながらやっていくことが大事だと思います。
ただいい緊張感が生まれていますので、それを継続していきたいです。
ベテランとしてするべきこと
若い選手が多いので、成長曲線でいうと若いほうが伸びはあるかもしれません。
自分は慢心することなく、ここにいても学べることがありますし、還元できることもあります。
この立ち位置を自分の中で見つけていきながら、自分の経験を毎日毎日ワンプレーワンプレー出していくことが刺激になると思うので、忘れずにやっていきたいです。
自身がチームに貢献できること
まずここまで見た時に試合数に対しての失点が多いと思っています。
本当に昇格するチームは試合数よりも失点が少ない、試合数×0.いくつだと思います。
守備の安定感は自分が高められるところだと思いますので、そこをしっかりとチームに植え付けながら貢献できればと思っています。
ホームゲームに向けて
まずはチームの調子がいいので、自分の立ち位置を確保するところからです。
ピッチに立つことができたら、あのサポーターの中でプレーできるのは幸せなことなので、自分の良さを存分に発揮できるようにしたいです。
コラム「鹿児島をもっとひとつに。vol.42(Total vol.54)」
山之口毅 さん(南国殖産株式会社)

南国殖産株式会社は鹿児島の誰もがご承知の通り、とても大きな総合商社です。
私たちになじみある名前を挙げるだけでも「かごっまふるさと屋台村」「こしき海洋深層水」「フェスティバロ」「知覧カントリークラブ」「Li-Ka19・20」などがあり、さらにドコモショップも鹿児島どころか九州各地で展開していて、さらには電力会社があり、道路を運転していると、あちこちに「南国殖産」の看板が立つサービスステーションがあります。
そんな南国殖産の本社がある鹿児島中央駅前の「南国センタービル」の5階まで上がると、今回取材に応じてくださる山之口毅さんが、応接室にご案内してくださいました。
アウェイで勝利した長野戦の話をしながら、さっそく山之口さんの推し選手についてたずねてみると、少し思案して「チーム全体として応援している」というお答えが返ってきます。
大人な回答の奥には、こちらの想像以上に深いユナイテッドへの想いがありました。
話の冒頭に差し出されたのは、事前にお送りしていた大まかな質問項目に対する回答が記されたA4用紙2枚。
名刺には「需給物流事業部 需給課 物流課 課長」の肩書き。
今回は丁寧な仕事ぶりと穏やかな笑顔と語り口が印象的な山之口さんの、大人なユナイテッドと南国殖産への想いにふれてください。
ユナイテッドとの出会い
南国殖産株式会社が鹿児島ユナイテッドFCのオフィシャルパートナー契約を締結したのは、クラブが発足した2014年すぐのタイミング。
鹿児島を代表する企業がスポンサーについたことでクラブの認知度、信頼度は大きく向上し、デビューシーズンから優勝争いに食い込む躍進ぶりで「いよいよ鹿児島にJリーグクラブが誕生する」機運が高まることになっていくのです。
そのころの山之口さんは、、、別に観戦に行くようなことはなく、むしろハマっていたのはご両親でした。
そして2015シーズン、当時は鹿児島市郊外にある中山の鹿児島県立サッカー・ラグビー場で行われていたリーグ戦を観戦することになったのも、ご両親がきっかけでした。
「なぜか両親は私よりも前から応援に行ってて、“おもしろい、おもしろい”って話は聞いていたんですけど。それで“お弁当作ってくるから試合にいっしょに来ないね。子どもたちはお弁当を食べていればいいから”って言われたのがきっかけで。その時はほとんど試合は見ていなくてピクニックに行ったみたいな感じです」

メインスタンド以外は芝生席で、子どもたちが自由に走り回るのを、親御さんはまわりの迷惑にならないように注意しながら見守りながら試合の方も気になって笑
「隣ではすごい応援がされていて、そっちのほうがすごいなっていう想いがあったんですけどね。それで何回かそういう感じで観に行って、Jリーグに入ってからもうずっと行っています。Jリーグに入ってから緊張感がある試合形式に変わっていきましたよね」
南国殖産にはスポンサー特典としてチケットが贈られていますが…
「最初はいただいたチケットで観に行っていましたけど、その時にせめてグッズくらいは買わんとと思ってグッズを買ったりして。そのうちにチケットも自分で買うようになって、シーズンパスの会員になって笑」
奥さまや娘さんも含めてどっぷり浸かってらっしゃいます。
さらに2018年に発足した鹿児島ユナイテッドFCのチアダンススクールに2人の娘さんが通うようになり「文字通りのユナイテッドファミリーです」と笑います。

また娘さんがかけもちでスイミングスクールに通っていたスポーツクラブでは、保護者の観覧場所の隣にトレーニングジムがあり、そこではユナイテッドの選手たちがトレーニングする姿を見かけることもありました。
あいさつをした時の受け答えなどで西岡謙太、冨成慎司、川森有真といった選手たちに好感を抱くようになっていき、ますますユナイテッドへハマっていきます。
その2018シーズンのホーム最終戦、11月25日のアスルクラロ沼津戦で選手入場の際、メインスタンドでご覧になっていた山之口さんの視界の中には「UP to J2」のコレオグラフィーがバックスタンドで鮮やかに描かれ、鳥肌が立つほどの感動がありました。
そしてJ2昇格の瞬間も。

…しかし、その翌シーズン、はじめてのJ2では苦しい闘いが続き、最終節でJ3降格が決定します。追い打ちをかけるように、クラブ創世期を支えた功労選手たちが次々と退団し、西岡・冨成もまた現役引退を表明していきます。
山之口さんも、ほかの誰もが辛い想いを抱えている時です。
そんな時にこれはクラブスタッフが明かした話ですが、スポンサー契約の更新でも各社難しい状況があった中で、逆に南国殖産は「ここで支えなければならない」と大幅に増額して2020シーズンの契約を更新したのです。
正社員だけでも1,000名を超え、鹿児島県だけでなく九州各地でも事業を展開する企業の地元への愛情と侠気を見る想いです。
ここまで話してくるとやはり南国殖産という企業の話も避けることはできません。
南国殖産と山之口さん
と大上段に構えつつですが…やはり南国殖産は子会社や関連会社を含めると50社を超える規模にあり、ジャンルも幅広すぎるので、とりあえず南国殖産株式会社に話を絞ります。
就職活動を控えている大学生、短大生、専門学校生、高校生、転職を考えている社会人の方は…そうでない方も参考までに採用ページをぜひご覧ください。

南国殖産株式会社としては大きく分けて5つの部門が事業を展開しています。
- 建設資材事業本部→建物を作るのに必要なセメントや生コンクリートのような資材全般の取り扱いと、施工までを行います。
- 機械設備事業本部→空調や水道設備など様々な機械の販売設置を行います。
- 情報通信事業本部→鹿児島を中心にドコモショップを展開しています。
- エネルギー事業本部→九州全域でサービスステーションを運営しています。
- 再生可能エネルギー・電力事業本部→太陽光発電システムの販売と設置をしています。
これも山之口さんが事前にご用意されたメモからの転載です笑
山之口さんはこのなかで入社以来、ずっとエネルギー事業本部一本のキャリアです。
若い頃は1年半とか長くても2年半とかで変わる各地のサービスステーション(SS=エスエスと呼んでらっしゃいます)で勤務。
南国殖産のなかでも、特に消費者と接する機会が多い部門です。
その後、2011年からは現在に至るまで、現在の部署で石油の仕入れと物流を担当されています。
「石油製品は大きく分けると個人向けのSSで販売する燃料油と、あとは工場などの産業用の燃料油というものがございます。
両面ある中で一番目立つのはSSで、これはENEOSだったり出光興産だったり太陽石油の看板でうちはやっていますが。
産業用はそういうものにとらわれない部分もあり、各元売や商社さんなどから仕入れを行ったりする窓口の仕事ですね
この部署に来た2011年が東日本大震災で、鹿児島中央駅が開業するタイミングでこの時は大変でした。ただ、うちは自社で油槽所を保有していたり、輸送会社もグループでありますので、そうした経営資源があることの強みをその時、感じました」

今の世界情勢を見ると、石油の仕入れは重要かつ難度の高い仕事だとすぐに分かります。
同時に企業規模からすると少し意外な気もしますが、現場のSSや仕入れや物流担当の若い部下の方からは「もっとこうしたい、こうしたほうがいいんじゃないのか」という声がどんどん上がってくるそうです。
「そう(トップダウン)じゃないとは言い切れませんが、やる気があって思いがあるんだったらちょっとやってみようという雰囲気はありますよね」
もうひとつ気になるのは人事異動です。
山之口さんたちにおたずねするのが適切かどうかは分かりませんが、5つの部門からまったく違う畑への異動などは自分の希望でもできるものなのでしょうか?
あくまで人事担当ではない前提で、丁寧にお答えいただきました。
「キャリアの途中途中で社員の想いを会社というか人事に色々と伝えることができる場面があるんです。あとは経営陣が適正を見ているところもあるんですけど。
エネルギー部に関しては特に鹿児島県外への異動もあるわけです。それで東京や大阪の大学に進学していて就職で鹿児島に帰って来るとなったのに、また出ていくということもあるので、その辺の希望は色々とあると思います」
それでは1,000名を超える社員を擁して、様々な事業を展開する南国殖産において、どういう人材が求められているのでしょう?
「“人こそ財産”を企業理念に、社員の“やる気”を大切にする会社です。
“強いやる気”を持っている方であれば知識やスキルは入ってからしっかり学んでいただけるので大丈夫ですよ」

やる気という言葉を聞いていて気になるのは、もう10年以上も石油の仕入れという業務に携わっている山之口さんは、どのようなところにやりがいを見出してらっしゃるのでしょうか?
「色々な影響を受けるし、石油っておもしろい商材だと私は思っているんです。
最近では時代遅れとか悪者あつかいされることも多いんですけど、結局この石油がないとどうなるのか?と、そういう話を最近も取引先とする機会があって。やっぱり石油って必要なものだと思うことが多いですね。
私はこの物流とか仕入れの担当なので特に大きい出来事だったのですが、一昨年の夏に(台風の影響で)鹿児島からガソリンがなくなるってニュースでがんがんやっていたのを覚えてらっしゃいませんか?
あの時とかもうすごく大変だったんですよ。
産業燃料の営業部隊はどんどん販売したいし、SSでは販売するものの確保も必要だし。
それが入ってこないってどういうことなのとすごく責められるというか、辛い時期でもあったんですけど、そんな時にやっぱり石油の大切さって感じたところでもあります。
実際、大きい地震とか災害の時って困った時はやっぱり石油の出番だなって、大切なものを扱っているなという風に思っているんです」
特に鹿児島の場合は喜入にENEOSの備蓄基地があるため「なぜ鹿児島に石油がない?!なんでこんなに高いんだ?!」と言われがちなところがありますが、喜入の基地にあるのは精製前の原油です。
喜入から輸送される日本各地の精製工場での工程を経て、はじめてガソリンとして使えるようになります。
「(喜入備蓄基地のことは)お客さまからも言われましたよ」と山之口さんは苦笑いします。

車社会の鹿児島にとって切実なことにガソリン価格はどんどん高騰していますが、やはり世界情勢の影響が大きいようです。
「生活に必要なものですが、石油に関しては投機的側面があるので、景気が良くなるぞとなったら価格も上がっていくし、やっぱり景気がちょっと良くないんじゃないかとなったら下がっていきます。
20年くらい前に安かったのは景気に加えて投機的な要素があったことと、アメリカが今までになかった採掘方法でシェールガスやシェールオイルをがんがん掘っていって価格が下がっていって、そういう仕組があります。
需要と供給のバランスがあって今は高くなっているんですね」
再生可能エネルギーに期待する声が大きくなっている今日ですが、山之口さんは業務用家庭用の両面で生活に欠かせない石油をお届けする仕事に誇りを抱いてらっしゃいます。
そして「今では半々というか県外のほうがむしろ多くなりつつある」というように南国殖産のSSは九州各地にあります。
アビスパ福岡のベスト電器スタジアムの近くにはENEOS金隈給油所とENEOS桜丘給油所
V・ファーレン長崎のPEACE STADIUMの近くにはENEOS南国殖産 茂里町給油所
ロアッソ熊本のえがお健康スタジアムの近くにはENEOS熊本インター給油所
テゲバジャーロ宮崎のいちご宮崎新富サッカー場の近くには出光興産新富給油所
いずれも車で10分以内の近場にありますし、
ギラヴァンツ北九州のミクニワールドスタジアム北九州からは約30分離れますがENEOS Dr.Driveセルフ黒崎SSがあります。
大分市と鳥栖市にはさすがないか、、、と思いきや、これは土地勘がある人にはすぐに飲み込める話ですが、鳥栖市の駅前不動産スタジアムから約15分の福岡県久留米市にはENEOS久留米インターSS。
カップ戦などで対戦する時も含めて、遠征から帰る際も「鹿児島の南国殖産」で給油はバッチリです!

と、ちょっと強引にサッカーの話に引き戻したところで、今度は2020シーズン以降の山之口さんのユナイテッド生活の話に戻ります。
推しは引退したあとの鹿児島ユナイテッドFCで
2019シーズンが終わりお気に入りの選手は引退しても、山之口さんのスタジアム通いも、娘さんのチアダンスも、南国殖産のスポンサードも続きます。
2020シーズン、山之口さんにとって特別に大きな思い出になっているのが南国殖産スペシャルマッチで始球式のキッカーを務めたことです。
当時はコロナ禍で鳴りものも、旗を振ることも、声を出しての応援もできないご時世。
許されるのは拍手だけで、それでも試合を観られることで良しとするしかないご時世。

「最初に始球式を誰がしようって社内でなって、“じゃあお前やれ”みたいな感じで。
あの時は選手とも動線を分けていたし、マスクもしていますもん。
お客さんは多くなかったけど、でも良かったです。嬉しかったですよね。
去年始球式をした上司は“もうやみつきになりそうだ”って言っていました」
娘さんは変わることなくチアダンスを続け、長女さんはスクールを卒業した今もホームゲーム会場でパフォーマンスを披露する一員です。
それをメインスタンドから親としてどのように見てらっしゃるのか気になりますが、ニコニコと「もう別にどうってことないですよ」と笑顔を浮かべるばかりです。

最近地味にうれしかったのは指定席が導入されたこと。
「あのころは最優先入場ができるといっても昼の試合だったら朝6時くらいにはスタジアムに行って、”並んでいいですよ”って言われてから場所取りをして、っていうことをしていたんですけど、今はもう席が決まっていますから、これがすごくいいんですよ。
それこそGMOペパボの鹿児島支社がオープンするときに徳重さんといっしょになることがあってそこで”早く指定席にして欲しい、なんなら名前を入れさせて欲しい笑”って伝えたくらいなので。
今シーズン、SS指定席は2シーズン目なんですけど席も含めて自動継続だったんで最初の”早押し”をしないで良かったので、分かってるなーって思いました。本当はベストの場所ではなくてもうちょっと中心部のほうが良かったんですけど、まあいいやここでって」
なんだかんだでコロナ禍を含む5シーズン、家族みんなで鹿児島ユナイテッドFCのある生活を楽しんでらっしゃいます。
それでもやはり1シーズンでの降格となった昨シーズンは辛いシーズンだったのではないでしょうか。
「辛かったですね」
山之口さんは大きく表情は変えることなく、それでも率直に認められました。
「辛かったんですけど。
もちろん熱くなりますし勝てば1週間が楽しいし、負ければ1週間は気分が良くないっていうのは過去にはありましたけど、最近はそこまではないかもしれないですね。
ある意味醒めた見方かもしれませんが、”そういう時もあるよ”という感じですかね。
顔見知りの選手がいなくなったこともあるのかもしれませんが。
でも地元のプロチームですから存在そのものが宝だと思っています。
勝つ時もあれば負ける時もある勝負の世界で、鹿児島のためにがんばる選手たちを見て元気をもらっているんですよ」

今の山之口さんに推し選手は特にいないというのは前述のとおりですが、娘さんたちは10代女子らしく福田望久斗選手推し。それから外国籍の選手たちがお気に入りなのだそうです。
「写真も残しているんですけど、次女が4歳5歳のころはキリノが大好きで、会った時にキリノに抱っこしてって頼んで写真を撮らせてもらって。小さい子たちはみんなキリノ好きでしたもんね。
それにルカオは今やJ1で活躍していますもんね。
今も”アンジェロッティかっこいい””ヘナンかっこいい”って言っていますよ」

山之口さんはホームゲームだけでなく北九州にも2回行きましたし、先日のテゲバジャーロ宮崎戦も家族みんなを車で乗せて新富までドライブしました。
「宮崎は感動しましたね。ホームではメインスタンドの前の方にいるんですけど、アウェイに行く時はゴール裏で比較的サポーター団体から近すぎない離れすぎないくらいのところにいるんです。
それがもうすごい密集で、そもそもなかなかスタジアム内にも入れずにすごく後ろの方になんとか入って空いているところに陣取ったらすぐ隣にサポーター団体の方々がいるところで。
若者たちのすぐ隣で”あ、ここいいのかな”って思っていたんですけど、若者たちからこうグータッチされて、もう選手たちが入ってきたらそっから僕もいっしょにずっと跳んでました笑!
しかもめっちゃ大きな声で、娘もびっくりしていましたもんね。
あの雰囲気もまたいいもんですね。また機会があればあの団体の近くでやってみたいなとは思いました」

山之口さん49歳にして新しい世界への挑戦でした笑
そして0-1で迎えた後半アディショナルタイム。
セットプレーから武星弥選手が2回のヘディングでつないだボールを近藤慶一選手がワントラップからのオーバーヘッドキック!
密集の中にいた山之口さんの視界でもばっちりとその瞬間瞬間がとらえられました。
「いや、なんかこう興奮して声に、言葉にならないっていうか…」
その熱気のまま試合が終わり、会場をあとにすると顔見知りのフロントスタッフたちがいて、試合のことをお話して、反芻しながらの帰路です。
もうひとつ山之口さんにとってこの試合前後、スタジアム内外の時間を過ごす中で感じられたのは、逆に鴨池で行われる鹿児島ユナイテッドFCのホームゲームがいかに組織的に安定して運営されているかということでした。
Jリーグ10年目を迎え、国体開催などの影響はある中でも同じスタジアムで運営し続け、1シーズンでの降格とはいえ2度のJ2を経験して、1,000名2,000名ものアウェイサポーターを迎え入れ続け、耳目を引く10,000人超えの経験は4回、安定して5,000名以上が来場し、7,000名8,000名の試合でも目立った混乱は見受けられない。
山之口さんは鹿児島ユナイテッドFCの試合運営を率直に評価されています。
そしてその運営の中心を担っているのが、現役時代から見てきた冨成慎司です。

「僕はいつもそういった意味では、スタッフの動きをよく見てるんです。
たとえるとおかしいんですけど、会社のなかでは営業がサッカーで言う選手だとすると仕入れや物流の自分は完全に裏方なので、そっちに目が行くところはあります。
冨成さんって岐阜のご出身ですよね。
それで引退してからも鹿児島にずっと残ってくれていて、嬉しいなと思いますよね」
今はジュビロ磐田でアカデミーのスカウトをしている西岡謙太さんにしてもですが、陽気で外交的というわけではありませんが、1人の社会人として大人として「ちゃんとしている」2人がお気に入りという趣向にはどこか組織人らしさがあるように見受けられます。
その山之口さんが働く南国殖産は創立80年を迎えています。
「やっぱり地域に愛される企業として100年を迎えて欲しいです。
それから今は県外のウエイトも大きいんですよとお話しましたけど、やはりベースは鹿児島でっていうのがあります。
ユナイテッドもそうでしょうけど、鹿児島で愛されるのが絶対条件だろうと思いますよね」
それに比べれば創設12年目、Jリーグ10年目の鹿児島ユナイテッドFCはまだまだ歴史の浅い存在ですが、どのような期待をお持ちなのでしょうか?
「今後20年30年、それ以上に続いていって欲しいですし、今シーズンはJ3優勝してJ2復帰を果たしていただいて、J2に定着していただきたい。
そしてスタジアム整備もできるだけ早期に決着して、いつかJ1で闘っている姿を見たいです。
でも、やっぱり続いてもらうことが前提です。
その前提で、専用のスタジアムが欲しいですよね、本当に。
あの候補地で挙がっているところが比較的、自宅が近いところばかりなので早くあそこらへんにできないかなって思っているんです。
それで定年退職したあとは妻とアウェイまでずっと毎回追いかけて行こうかなと思っているので。
だからホームのスタジアムは歩いていける範囲のところにあると、非常にうれしいなと思っています」

山之口さんは経営者ではなく、スタジアムで注目を集めることをするわけでもなく、SNSをされている形跡もなく、実は今回の取材はもっとも事前情報がないなかで迎えたものでした。
約1時間お話をしていて感じられたのは、若い頃から組織の中でしっかりとした教育を受け、同時に様々な喜怒哀楽を味わいながら石油を軸にした仕事に真正面から向き合い続けてこられた山之口さんのお人柄。
穏やかだけれど信念と誇りがあり、会社員として100%裏表なしはありえないとしても、真摯に率直にご自身の想いを丁寧に語ってくださいました。
そんな(比喩的表現を含めて)声が大きいわけでも、目立つわけでもない大人なサポーターの山之口さんが語られる南国殖産株式会社と鹿児島ユナイテッドFCは、とても味わい深いものがありました。
お話が終わり、中央駅界隈を見下ろすフロアをいっしょに歩いていると南国殖産の製品が展示してありました。
駐車場などのシャッターを補強する、読んで字のごとく「シャッターガード」です。
「私の実家も買いました。台風とか盗難の心配がなくなるのでこれ、おすすめですよ」
嘘偽りのない自信に裏打ちされた素直な愛社精神がそこには込められていました。

南国殖産株式会社 企業概要
社号/南国殖産株式会社
設立/1945年3月1日
本社所在地/鹿児島市中央町18番地1
社員/1,122名(2024年9月)
(2025年4月12日、公式ホームページより抜粋)
https://www.nangoku.co.jp/