【7月5日マッチデープログラム】 KUFC MATCHDAY PROGRAM 2025 vol.10
鹿児島ユナイテッドFCのマッチデープログラム電子版。
今回は7月5日に行われる2025明治安田J3リーグ第19節、鹿児島ユナイテッドFC vs 栃木SCのマッチデープログラムです。


2025明治安田J3リーグ第16節
vs ヴァンラーレ八戸 会場:白波スタジアム(鹿児島県立鴨池陸上競技場)


2025明治安田J3リーグ第17節
vs 松本山雅FC 会場:サンプロアルウィン(長野県松本市)


2025明治安田J3リーグ第18節
vs 栃木シティ 会場:白波スタジアム(鹿児島県立鴨池陸上競技場)


相馬直樹 監督コメント(7月2日トレーニング後の共同会見より)

トレーニングで1対1のメニューを組んだ意図
少し勝ちがなく、この前も4つ目の負けになってしまいました。
そういう中で、いろんな意味でもっと自信を持って欲しい、自信を持ってボール蹴る。
そういうところを出せるような意識づけも含めて行いました。
栃木シティ戦を振り返って
選手が1人退場になってしまったこともそうですけれども、色んな要素があります。
前半の立ち上がりこそは良かったんですけれども、自分たちが前に重心を置いた戦いを、前半11人の間にもう少し長い時間したかったな、というのが一番あります。
そこのところで、後手を踏んだゲームになったかなというのが正直なところです。
すごく悪いわけではないですけれど、ただ我々のゲームだったのは最初の10分、15分だけだったかなというのは思います。
そういう意味で言うと、もう少し自分たちの時間を作れるようにしたかったです。
その流れの中で、1人退場になってしまった。
ただその後の戦いの方がどちらかと言うと、前へ出ることであったりとか、我慢するところは我慢して、それでも前に出るということはよくできていたなとは思います。
だからこそ、なんとかドロー(引き分け)以上のものとは思ったんですけれども、少し最後のところでね、最後、勝ち点がこぼれる形になってしまいました。
けれどトータルでね、本当に粘り強く最後までファイトしてくれたことを、次にもまたこれをしっかりつなげるというものにしたいなとは思っています。
クロスからの失点の多さについて
クロス対応で中央でしっかり弾くところはトレーニングでもやってますけれども、もう一段必要だというところは当然あります。
ただ、かなりピンポイントに入った時には、弾くこと自体も正直簡単ではありません。
だからそこに関しては、そのクロスの数をどれくらい減らせるか、ということになります。
またもうひとつは、本当に11人がそろった時に、クロスであったり、そういう最後のゴール前に差し込むパスというのを入れさせないかです。
一番最後の段階で弾くのではなくて、我々としては、その前で相手に制限かけられるような戦いをしたり、前半からもそうなんですけども、もう少し前に重心を置いた戦いをしなきゃいけないかなとは思ってます。
敗戦した前節の中からポジティブな要素
本当にその10人の中で、しっかり闘えたこと、闘ってくれたこと。
要は勝ちに行くという意思を見せてくれたこと。
そこは素晴らしいことだったなとは思ってます。
ただ、さっきも話しましたけれども冷静に考えた時に、それでは11人の時にその姿勢をもうちょっと出せてたら、ああいう展開にもならなかったんじゃないか、という想いもあります。
11人の間に我々が先制しておける形を作れてたんじゃないか、というのは冷静に振り返ると、正直そういった部分はあるかなとは思っています。
得点数自体は多いなかで複数得点が多くないこと
やっぱり1試合で2点は欲しいというのは当然あります。
それは平均して取っていくという部分もあります。
当然1点で勝てるゲームもあるとは思うのですが、試合の中で言えば、この前の栃木戦のようにそれこそピンポイントに入ってしまうということも、当然あります。
本当に、事故のような失点は実際起こり得ます。
だから、そういうことを含めても、やっぱり、1点だと足りないというのは、要は勝ち点3を取るのにゴールがひとつということでは、そんな簡単に勝ちにつながらないというところです。
そこはきちんと認識しておかないといけません。
だからそういう意味で言うと、この前のゲームも2点目を取らなければ難しくなると思っていました。
記者会見でも話しましたけども、10人になって早い時間で10分、11分というところで、1点取れた。
1-0にすることが、先制することができた。
そこで少しこちらの足が止まってしまう部分もあったかなと思っています。
初めて迎える鹿児島の夏対策
やっぱり、食事と、休養ですよね。
一番は睡眠になりますけども、そこのところは大事になります。
結局トレーニングとは、要はオーバーロード(適度に現状より高めに負荷をかける)して、これを回復させないと、トレーニングの効果はでません。
けれども回復させるには、今言った食事であったり、休養であったりというのが大事です。
こういう時期だからこそ、よりトレーニングでの消耗がより激しくなると思います。
だからといって、そこの強度や基準を下げてしまうと、試合で使える状態にならなくなってしまうので、そこのあたりのバランスが大事かなと思います。
選手選考における考え方
基本はコンディションのいい選手を送り出します。
もちろんそうじゃない状況もあり、戦術的な要素であったりとか、相手との噛み合わせもありますし、自分たちの組み合わせのところもあります。
そういったところで、少しここは、多少目をつぶってでもということは当然あります。
けれども、ただある一定の水準をキープできないと、今日のサッカーではどうしても、自分たちの強度やコンパクトさであったりがすべて失われてしまいます。
その辺は、大事なところです。
だから、一番走れない選手に基準を合わせなきゃいけないとなると、そこが穴になってしまいます。
全体がある水準に達しないと難しいとは思っています。
栃木SCの印象
タイトにやってくるチームだな、という風に感じています。
それプラス、非常にここまでの終了間際であったり、そういうところのセットプレーも含めて最後奪い切るところ、そういうような力というのは、ここまでのゲームを観ていると、結構多いかなという風に感じています。
その辺のところもしっかりとゲームコントロールをどこまでできるか、というところも留意しながら準備していく必要があるかなと思っています。
サポーターに見せたい姿
たくさんのサポーターがアウェイにもですけれども、たくさん来ていただいています。
いっしょに喜べるところ、そこをしっかり作れるようにしなければなりません。
そのためにも、今日も話しましたけども、選手たちが自信を持ってプレーできるように、そういう状況に持っていけるようにして、その中でいっしょに喜べるようにしたいなと思っています。
福田望久斗 選手コメント(7月2日トレーニング後の共同会見より)

トレーニングでの1対1のメニューについて
今シーズン、シーズン中初めてあの練習をやりました。
まさかこの暑さで練習するとは思わなかったので、ちょっとびっくりしてます。
そのなかでも、やっぱりああいうところで強度を出していかないと、この間の終盤みたいに、やっぱりその強度が落ちる中で失点とかもすると思っています。
ああいうところでしっかり最後まで、粘り強く身体を張っていきたいなと思います。
夏の暑さに向けた対策
水分補給ですね。
とりあえずスポーツドリンクとか、塩分入っているものを結構飲んだりします。
前節の振り返り
栃木シティは自分たちより上の相手ですし、ここで勝って差を縮めたかったです。
試合の入りはすごくいい形で、自分たちのペースで入れて、いい入りだったんですけど、前半で一人少なくなりました。
その厳しい状況の中で先制点を取れて、そこで耐えられれば良かったですけど、やっぱりまだ自分たちの最後の甘さというのは出た試合かなと思います。
ここまでの18試合を振り返って
やっぱり得点数というのは、J3リーグの中では高い方だと思うんで、まず得点というのはそのまま後期にもつなげていきたいですし、逆に失点数というのがチームの課題です。
まず相手陣地でプレーしていたら、相手の攻撃も受けることはないと思うので、そこをしっかり意識してやっていきたいと思います。
自身の18試合を振り返って
スタメンで出させてもらっている中で、求められている部分というのは、もっと出せるはずでした。
ちょっと萎縮している部分があるとは自分で思っていますが、そこはもうちょっと自分の良さを出していきたいなと思います。
改善していく点
今チームでも設定しているように、まず相手陣地に自分たちが入ってプレーするというところを、もう少し意識すれば、おのずと攻撃の形はもっと出ると思います。
自分もこの間の試合でありましたけれど、打てるシーンで横パスするとかではなく、もっと積極性というのを出していけたらいいなと思います。
得点数自体が多い中での複数得点が取れないこと
ここ最近やっぱり1試合で1点しか取れてない中で、前節も先制点取った時に、やっぱりああやって勝ちきれない部分というのは、やっぱり追加点がなかったのが理由でもあります。
最近攻撃陣がなかなか、複数得点を取れないので、そこはもっと改善していかないといけません。
複数得点を取るために必要なこと
先ほども言いましたけど、やっぱりチャレンジしていかないと、点というのは入らないと思います。
意識しすぎず、ミスを恐れずに、やっぱり積極的に仕掛けたりというのは意識したいです。
5位という成績について
もう全然チームとしては満足してないですし、もちろん首位を狙っていきたいと思ってますけれど、ここまでの成績は終わってしまったことです。
近々首位のFC大阪戦もありますが、やっぱりその首位などに勝てればとは思います。
もちろん目の前の試合はまず勝つのは前提として、上位に勝つことでチームも乗ってくると思うので、そういうところでやっぱり勝っていきたいと思います。
栃木SC戦に向けて
栃木シティ戦はアウェーでしたけれど、すごくたくさんのサポーターが来てくれました。
そのなかでもやはりホームの試合は気持ちが入ります。
前回のホームでの八戸戦でも勝ちを届けられなかったので、またみんなで乾杯したいので、しっかり勝っていきたいです。
ヘナン選手コメント(7月2日トレーニング後の共同会見より)

暑い中でのトレーニングについて
毎日きつい練習をしていますが、やはり鹿児島の暑さという中でやるというのは結構厳しい状況です。
ブラジルも暑いのですが、一番違うのは湿気で、走ったり呼吸のところでだいぶ違いがあります。
13試合ぶりに復帰して感じること
長いリハビリ期間は難しい期間ではありましたが、トレーナーとかにもすごく助けてもらいました。
試合の時もまさかの状況で、(相馬)丞が退場するとは思っていなかったんですけど、そんな状況でしたが、試合に出れてとても嬉しいです。
外から見ている時に感じていたこと
結果として勝ち点がついてこなかったかもしれませんが、一人一人が全力を出して、自分のできることをやってくれたのかなとは思います。
これから見せたい姿
もちろん前線の選手にボールを渡したりとかもそうなんですけど、一番大事なのは失点しないことです。
その辺に努めたいと思います。
試合に出られないことで感じたこと
やっぱり一人のサッカー選手として一番落ち込むのは怪我をするということです。
その中で自分にやれることを精一杯やることは、外からでもできることです。
今はやっと戻ってこれたので、自分の全力を尽くしてチームの助けになれたらなと思っています。
次節に向けて
リーグ前半戦最後の試合で、勝ち点を取りに行きたいと思います。
コラム「鹿児島をもっとひとつに。vol.47(Total vol.59)」
森 和剛さん(日本システム株式会社)

鹿児島市荒田でひときわ存在感ある広大な鹿児島大学。
まわりには二十歳前後の大学生を中心に、多くの人たちが行き交う姿を見ることができます。
そんないわゆる学生街然とした通りの一角に、日本システムの本社があります。
出迎えてくれた腰の低い柔和な男性が差し出した名刺には「日本システム株式会社 ヘルスケアソリューション本部 ヘルスケア営業部 課長 森 和剛」。
さらに名刺には鹿児島ユナイテッドFCのエンブレムに加えて、森さんのお名前の隣にはゆないくーの画像まで添えられています笑
左手に握られているのはユニフォーム型ランドリーバッグの2019シーズン版。
今ではシーズンの定番アイテムのデビューバージョンであり、そこには背番号33が描かれています。
一見、いかにも課長らしい課長っぽい雰囲気ですが、、、明らかに濃いサポーターだと感じられます。
森さんは今シーズン11番のユニフォームを着て、スタジアムに通うサポーターでもあります。
今回はこちらの想定をはるかに超えて濃密だった森さんの想いにふれて下さい。
森さんのサッカー観戦歴

もともとサッカー経験者ではない森さんですが、日本代表の試合や高校サッカーは1人のサッカーファンとして観戦してきました。
同年代には遠藤保仁、松井大輔、那須大亮、田原豊たちがいて、下の年代では、岩下敬輔や赤尾公たちを擁する鹿児島実業高校が全国制覇を成し遂げ、永畑祐樹や五領淳樹を擁する神村学園高等部が初出場からあれよあれよと全国ベスト4に残り、大迫勇也を擁する鹿児島城西高校が決勝に残り、、、
そんな高校時代から知る赤尾公、永畑祐樹、五領淳樹たちが時を経て大人になり、集結した鹿児島のクラブが2016シーズンからJリーグ入りする!
森さんはまだ幼稚園児だった息子さんといっしょに鴨池陸上競技場のメインスタンドから、鹿児島ユナイテッドFCの試合を追いかけ始めました。
印象的だったのはやはりJ1を知る大分トリニータを迎えたホーム戦で、大分サポーターにジャックされてしまったこと。

そしていつも試合途中からピッチに投入されるたびに会場から待ってましたと大声援が送られる田上裕選手と、とにかく点を取って取って取りまくる藤本憲明選手たちの存在感。
こうして1年目にしてユナイテッドにハマった森さんは「ユニフォーム欲しいよね」となり、2017シーズンから田上選手が背負う背番号33のユニフォームを身にまとい、サポーターとしての生活を本格的にスタートさせました。
試合はもちろん、当時トレーニング場としてひんぱんに利用していた中山のふれあいスポーツランドや県立サッカー・ラグビー場にもおとずれます。
初のJ2となる2019シーズンの直前には練習場で、家族でMBCの人気番組「てゲてゲ」の取材を受けて、「熱く語ったんですけど、私はカットされて息子だけ放送されて笑」。
残留争いのむずかしい試合が続いた最終戦、博多で行われたアビスパ福岡との一戦は、一家みんなで車を走らせてゴール裏に馳せ参じます。

お昼を食べたラーメン屋さんでは昇格も降格もなくJ2残留という結果が確定していた福岡のサポーターたちから「勝ってもいいよ」「引き分けで残留決めてね」とエールを贈られます。
早い時間帯に先制を許し、目の前で同点のPKが決まり、終盤、、、目の前でコーナーキックから勝ち越しゴールが決まるところを目の当たりにします。
「厳しい世界だ」ということを痛感しながらゆっくり安全運転を徹底しながら帰りました。
その後に田上選手が現役引退を表明します。
2年前には藤本選手はJ2の大分、そしてJ1昇格、さらにヴィッセル神戸へとステップアップしていきます。
大好きだった選手たちの退団や引退はありましたが、森さんのなかでは「鹿児島ユナイテッドFCが好きだ」という気持ちが何よりでした。
コロナ禍という応援する側にとっても本当に心身ともにきびしい時期も折れることなく「クラブが存続してくれることが何より」と応援を続けていた森さん。
奥さまや2人のお子さんも含めてサポーターだった森さんと鹿児島ユナイテッドFCとの関係に大きな変化が生じたのは2022シーズンでした。
森さんが勤務する日本システム株式会社が、鹿児島ユナイテッドFCのオフィシャルスポンサーとして、スタジアムに横断幕を掲出することになったのです。
日本システム株式会社とは
社会人としての森さんのキャリアを見ていくと、別の会社で一般家庭を回るルート営業が最初の就職でした。
そのなかでも「もっとスケールの大きなビジネスをしてみたい」という想いを抱くようになっていった森さんは、日本システム株式会社へ転職して、もう20年になります。
「ヘルスケア業界は電子カルテとかで何百万、何千万、大きくなると億単位の仕事ができるということで、そういう野望を持ちながら入ったんですけど、現実はなかなか最初からはうまくいかず苦労はしました。でも今はおかげさまで順調ですね」
20代なかばから約20年の時間を日本システムで過ごし、その間に森さんはご結婚して、2人のお子様に恵まれ、公私ともに充実した日々を送ることができています。

森さんが所属するヘルスケアソリューション本部はまさに医療機関における電子カルテやソフトウェアやパソコンやプリンタなど機器の導入、院内ネットワーク工事など様々な角度からのIT化のサポートや、専門器具の導入などを行っている部署です。
そのなかで森さんは新規と既存を問わず医療機関をまわりながらの営業を担当されてきました。
そのスタイルは「基本は飛び込みで、それで情報をつかんできます。どのメーカーの機器を何年使っているとか」。
当然のようにニコニコとご説明しているあたりに、胆力と人当たりの良さを兼ね備えていることがうかがえます。
「新規開拓はいちばん大変な部分ですけど、開拓できた時はなんとも言えない喜びがあります。
それから一番はシステムを導入して“本当に良かった、ありがとう”とおっしゃっていただいたのが嬉しいですよね。手作業でやっていた時間が浮いて、“本来の医療ができる。患者さんにもっと多くの時間が割けるようになった”と」
森さんの担当は医療機関ですが、日本システム自体としては業種を問わず業務管理システムの販売と導入、さらに運用サポートを行っている企業です。
ホームページを拝見すると「タクシー」「水産加工」「酒販管理」「牛乳宅配」「建設業」「接客業」という具合に、「これもできるんですか?」と言いたくなる幅広さです。
従業員は100名を超えて、東京支社のほかには熊本県と宮崎県にも展開しています。

そんな企業を恥ずかしながら存じ上げていませんでしたが、それは同時に「BtoB=Business to Business=一般消費者(Customer)ではなく法人が顧客となる」企業の典型であり、企業として「しっかり」していることは疑いようもありません。
ただ同時に「どう知ってもらうか」も、大なり小なりこの業種に共通する課題感と言えます。
たとえば焼酎や自動車などの企業が様々なメディアでCMを流すことで、私たち一般消費者に向けて自社製品と自社ブランドの認知や好感度を高めて、販売拡大を狙うのは理解しやすいところです。
その点で日本システムのようなBtoB企業がCMを流しても、一般家庭が商品を購入することはありません。
それは承知で「採用に向けた学生たちの知名度向上」のためという目的を持つ例はありますが、BtoC企業に比べると費用対効果で劣るのは否めません。
そういった背景を踏まえて、日本システムとしてどのようなPR施策が考えられるか管理職の間で話が出てきて、、、
「私の方で“鹿児島ユナイテッドFCのスポンサーとかどうでしょう?”と」
ちょっとこわごわ、しかし信念をもって森さんは自分の考えを切り出しました。
日本システムと鹿児島ユナイテッドFC

「鹿児島でスポーツを使ったPRとして、鹿児島ユナイテッドFCでしょう、と。それで“いくらくらいするのだろう?”と思って問い合わせをしたら、営業部の方がすぐに資料を持ってきて、この建物に建て変わる前でした」
その資料を踏まえて管理職にプレゼンをして理解を得て、今度は社長をはじめとする役員に向けても説明をして、「やりたいならやりなさい」というGOサインが出て、、、次はどのランクから?という話になります。
年額税込み55,000円からのクラブサポーターから、名刺やホームページなどの非商用物についてはクラブのロゴやエンブレムの画像を添えて「(法人名)は鹿児島ユナイテッドFCを応援しています」と掲載することなど、様々な権利が特典としてあります。
「最初だし私は下のランクからという話をしたんですけど、それぞれの違いを説明していく中で“やっぱりオフィシャルスポンサーがいいです”と私から話をしていって、会社の方も“やるからには”となっていって」
こうして2022シーズンから森さんが勤務する日本システムは、スタジアムのバックスタンド側に横断幕を掲出する「オフィシャルスポンサー」となりました。

自分が愛情を持って仕事をしている我が社が、同じく愛情を持って応援しているクラブのスポンサー企業になるというのは特別な体験でした。
勝ち点1の差で昇格を逃し、それでもオフィシャルスポンサーと横断幕掲出を維持して迎えた2023シーズンは、原点の1人である藤本憲明選手がヴィッセル神戸からの完全移籍という形で鹿児島に帰還して、「もう涙が出ました」。
そして悲願の、二度目のJ2昇格。
「社長の方から“昇格したお祝いじゃないけど”ということで、昨シーズンはゴール裏看板にさせていただいて。
看板を見ながら試合を見るっていうのは社員としても嬉しいです。
“ニュースでも出てたね”っていう声ももらったりしてですね」
スタジアムでの存在感もですが、ゴール裏の看板は、ニュース映像で最も映える「ゴール前での攻防」に伴う露出があります。

社内の反応も気になるところです。
「最初は“スタジアムに来ている人だけしか分からないでしょう”とか色々な声があったんですけど、“一度来てもらえませんか”と社内に周知してもらいながら見てもらって」
さらに経営者同士のつながりから新しい展開もありました。
「社長や役員も一緒に観戦した際に経営者同士のつながりでマッチスポンサーをしている社長さんから“冠試合したほうがいいよ”っていう風に言われて、それで社長も“いいね”っていうことになって。
本来はJ2に残留したら来シーズンはね、というところではあったんです」
2024シーズンの結末は誰もが御存知の通り、J3降格。
長崎のスタジアムで森さんもその光景を見届けました。
さらにシーズン終了後には、引退後も応援リーダーとして活動してきた田上裕さんが退職をみずから発表して、藤本選手もシーズン最終戦を前に契約満了が発表されました。

それでも森さんから田上さんへの想いが途切れることはありませんし、藤本選手が今シーズン所属するいわてグルージャ盛岡の試合も映像で追いかけていますし、クラブへの想いが揺らぐこともありません。
それでも会社には会社の判断があります。
昇格したお祝いで2024シーズンはゴール裏看板というランクアップがあり、残留したらマッチスポンサーとして冠試合をする、という話でした。
降格したのだからスポンサーは継続するにしても横断幕のランクに戻り、冠試合は立ち消えとなるのは然るべき話でした。
法人サポート交流会からの逆転劇
シーズンが終わったばかりのタイミングで、スポンサー企業の経営者や社員をお招きして、監督やスタッフ、そして選手と交流する「法人サポート交流会」が行われました。
森さんはたまたまの席のめぐり合わせで福田望久斗選手と話をすることができました。
負傷離脱をしていた時期はありますが、上位相手にも果敢に挑み突破する福田選手のドリブルには爽快感があり、この交流会の後の年末に発表された他の選手たちのようにJ2クラブへ移籍していくんだろうな、と予感しながらのお話でした。
そんななかで気持ちが変わっていきました。

「西原商会の社長さんが締めのあいさつで“こういう時だからこそ、より支援していきましょう”という熱い言葉があって、その想いを社長に伝えさせていただきました。
そうするとまず横断幕に戻すのではなく、ゴール裏看板を継続しようとなって。
さらに“社員が喜ぶんだったら一度冠試合をやってみようか”ということになり、どの日程が空いているのかを聞いて、土曜の夜だったらできるなということで今回開催させていただくことになりました」
会社員としての鹿児島ユナイテッドFCとの窓口を担当する森さんにとっての大逆転劇です。
西原一将さんのあいさつが発火点だとしても、それをここまで持ってきたのは森さんの情熱と、そこに理解がある経営陣の想いとしか言いようがありません。
さらに法人サポート交流会での「逆転劇」には、もうひとつ祝砲ともいうべき「追加点」がありました。
「これが最後だろうな」と思いながら話をしてしていっしょに写真を撮ってもらった福田選手が、契約を更新したのです!
さらにチーム最古参であり顔でもあった五領淳樹選手の背番号11を受け継いでプレーすることになりました。
その瞬間に、森さんは背番号11のユニフォームを購入することを決めました。

J3からの再出発となり、思い入れある人たちが離れていったなかでしたが、森さんは希望に燃えて新しいシーズンに臨むことになりました。
2025シーズンのユナイテッドも楽しい!
今年の鹿児島ユナイテッドFCは相馬直樹GM兼監督のもと、とにかく選手たちが走り続けています。
いつもすべての力を出し尽くしている選手たちの姿があり、森さんは一つ一つの試合を楽しみ、満足しています。
「河村選手ずっと走り続けていて本当にすごいですよね」
「でも青木選手もがんばっているし、杉井選手も、、、」
「千布選手はセンターバックで本当によくやっていますよね」
「広瀬選手もそろそろ来てほしいし、山崎選手も早く一度見たいし」
「望久斗選手ももっと彼はできると思うし、守備能力が上がっているし」
新加入選手も昨シーズンからいる選手も、1人1人全員が、森さんは大好きです。
1人の名前を挙げたら連鎖的に別の選手が出てきて、、、これもサポーターあるあるですね笑。

そのなかでも高校サッカー選手権で、それぞれ静岡学園と山梨学院大学附属高校で優勝を果たし、大学4年間でさらにレベルアップしているはずの井堀二昭選手と熊倉匠選手がなかなか出場機会を得られていない状況には、それだけプロがレベルの高い選手で成り立ち競争が激しいのだろうなと感じています。

恒例となった九州内アウェイ遠征としてテゲバジャーロ宮崎戦は宮崎市内に一泊して応援に行きましたし、「さすがに沖縄は苦笑」でしたが10月の北九州戦も行くつもりです。
そして何より明日はついに訪れる日本システムがマッチスポンサーを務める一戦が待っています。
今回のスペシャルマッチには100名を軽々と超える従業員やその家族たちが観戦します。
他のマッチスポンサーのように場外でのPRブースを出すことはありませんが、だからこそ森さんとしては土曜の夜に「せんべろ」や「水より安い焼酎」や「ユナマルシェ」など場外の美味を家族や同僚といっしょに楽しんで欲しいところです。
そしてゴールが決まった瞬間のスタジアムの歓喜を共にしたいと願っています。
「やっぱりチームを応援することが会社のちょっとした活性化というか、そういうものにつながって欲しいですし地域貢献でもあると思っていますので。
やはりサッカーを観に来たことのない人たちにJ3だけどこんなに面白いんだって思ってほしいし、ゴールが決まった瞬間の歓声を聞いて欲しいし、そういう生で観る面白さも伝えたいですよね。
それから若い人たちには将来的にうちの会社に入ってもらいたいです。
そのうえで会社がこういったスポンサーをやっていることは魅力のひとつだし、スポンサーをやっていることがきっかけでうちの会社に入りたいって思ってくれればうれしいです。
でも、、、もう一番はクラブが存続することです。
もうユナイテッドがなくなったら私はどうなるんでしょう?
多分だめ人間になりそうですね笑」
森さんの想いは限りがありません笑
はじめて鴨池陸上競技場に観戦に行った頃は幼稚園児だった長男はサッカークラブに所属して、昨年は鹿児島ユナイテッドFC U-15に勝利するゴールを決めていて、高校生になった今もサッカーを続けていて、アカデミーと対戦するという形での縁もあります。

日常からユナイテッドは森さんの日常に大きく影響する存在です。
「勝ったら最高の1週間で、負けた後の2日間くらいのテンションの落ち込みと。
だけど“もう次の試合が楽しみだな”っていういいサイクルが回っていて。
本当に選手みんなハードワークしていて、だから負けることはあるけど、試合後にあんなに倒れられたら何も言えないですよね。
座って応援していても暑い中なのですから。
だから、まだここからやってやるぞ、の気持ちです。
クラブに望むのはとにかく存続することです。
あとは選手のためにもクラブハウスや練習場ができていっているし、“鹿児島ユナイテッドFCに行きたい”って思ってもらえるようなクラブになっていって欲しいですね。
もちろんビッグクラブになっていったらもちろんうれしいですけど、存続さえしてくれればカテゴリーとか関係なく、ずっと応援し続けていきたいなと思っています」
テレビの前だとひとつひとつのプレーに対して感情がかなり露わになってしまうそうで、やはりこの前の栃木シティに敗れたのは悔しい気持ちでいっぱいです。

そして奇しくも今回は同じ栃木県の栃木SCと対戦します。
「(栃木SCには)昨シーズン、終了間際にPK取られて負けましたから。
2度続けて“栃木”にアディショナルタイムで敗れているから、もうSCもシティも関係なく、もう負けるわけにはいきません。
今回は勝ちたいです」
今シーズンのベストゲームを聞かれた森さんは、先制され、山口卓己選手のゴール追いつき、引き離されたところからンドカ チャールス選手のゴールで追いつき、そして河村選手のボレーシュートで逆転勝利したFC岐阜戦を挙げました。
「最近はシーズンパスでバックスタンドの立ち見推奨エリアの近くで応援しているんです。
そこでは勝った後にコールリーダーの方がいっしょに“へべれけ”やりましょうと言ってくれたことがうれしかったです。
でもとにかく次の試合は劇的な試合はいりません。
粛々とでも1-0でもいいので勝ってくれればいいんです」
そして最近サポーターが掲げるゲートフラッグで話題になった言葉を引用しました。
「勝ち点3さえ取れればもうすべて解決するんですよね」


会社概要
会社名/日本システム株式会社
本社住所/鹿児島市荒田2丁目56番10号
代表取締役社長/西田 秀利
設立/1978年10月2日
従業員数/141名(男性: 120名 / 女性: 21名)
※2025年7月4日、会社ホームページより
https://www.jpsys.co.jp/about/