【10月18日マッチデープログラム】 KUFC MATCHDAY PROGRAM 2025 vol.17
鹿児島ユナイテッドFCのマッチデープログラム電子版。
今回は10月18日に行われる2025明治安田J3リーグ第32節、鹿児島ユナイテッドFC vs ガイナーレ鳥取のマッチデープログラムです。


2025明治安田J3リーグ第30節
vs 栃木シティ 会場:白波スタジアム(鹿児島県立鴨池陸上競技場)


2025明治安田J3リーグ第31節
vs ギラヴァンツ北九州 会場:ミクニワールドスタジアム北九州(福岡県北九州市)


相馬直樹 監督コメント(10月14日トレーニング後の取材より抜粋)

直近3試合で勝てていない状況について
良くない部分はあります。
ただ今日のトレーニングを見ていてもなんとしようというエネルギーは充分感じました。
また週末はホームで闘えるので、サポーターの皆さんと共に、と思います。
上手くいっていない部分
やはり全体的に言うと、どこか少し守りに入るというか、そういう部分はあると思います。
我々が1位2位と勝ち点をだいぶ離されたところから、必死に目の前の一戦一戦にチャレンジしてきてたものが、少し先が見えた時に、少しこう色々とばらけてしまったところが出てしまったと思っています。
ここから選手に要求すること
しっかりエネルギーを出すことです。
前の方向に、自分たちからボールを奪いにいく姿勢が必要だと思っています。
守備の面で選手に求めること
ボールを奪いにいく最初の選手を決めることと、質と迫力も必要です。
その前にフリーにさせるところがありました。
ここからデーゲームになりますが、労力を惜しんではいけません。
残り3試合で見せたい姿
状況としては本当にひとつも負けられないのは変わりません。
その中でネガティブな意味ではなくて、本当に自分たちから奪いにいって、チャレンジしにいって、勝ち点差は8つもありますけれども、そこのところをしっかりと自分たちが詰めていく、諦めずに闘い抜く。
そういうところをしっかりと見せられるようにしたいと思っています。
今日の練習で選手たちに伝えていたこと
たくさんの要素が攻撃でも守備でもあります。
もちろん北九州戦で感じていた課題感はあります。
そのなかでサポートであるとか、ゴールに向かうことであるとか、ある意味サッカーのベースをひとつひとつおろそかにしないことです。
がむしゃらさも必要ですけれども、その基本のところを抜かないことは大事な要素です。
これは北九州戦でどうだったか以上に、これまで積み重ねているものを出し切る意味で必要なところだったんじゃないかなとは思っています。
追加点を取るために必要なこと
先ほどの話ともかぶりますが、どこかで守りに入ることがないようにしなければなりません。
この前も早い時間に先制点を取れたことはいいことです。
けれど攻撃にせよ、守備にせよ、穴を空けないように意識する部分はありました。
2点目を取りにいく、3点目を取りにいく、そういう部分でも、リスクを負わなければなりません。
最終的に勝ち点3を取るには、ただリスクを負えばいいということではありませんが、リスクを負わないと、チャンスは出てこないと思いますし、奪えるものも奪えないと思います。
やはりその姿勢をどれぐらい出せるかです。
もちろん1点目を取りにいくことにしてもいっしょですが、それを90分貫き通せるかになってきます。
シーズン終盤に向けて大切なこと
シーズン終盤に向かっていくなかで色々なシチュエーションがあります。
ただやはり何かを懸けた状況でプレーできることにおいては、まちがいなく日々、一日一日の緊張感は試合でも私生活の中でも当然出てきます。
それは成長するチャンスでもあります。
自分が選手だった頃は、現役最後の頃は降格と残留争いがありましたが、ほとんどの期間はそれがない時代でした。
そうすると優勝争いをするチーム以外は残りの最後数ヶ月は刺激が少なく、要は消化試合のようであり、色々な人にとっても興味がわかないものになります。
選手たちにとって成長するという点でも、選手本人の意識だけでは限りがあります。
たまたま僕は勝って優勝争いをするチームにいましたが、そういう意味で選手にとって長い期間、同じ1年のなかで10ヶ月すべてをギリギリの精神状態で勝ちを求めてやっていくことは成長を促すものでもあると思っています。
こういう状況で今、上を目指して闘えていることは本当に感謝しつつ、その部分を少し楽しみつつ、その上でどこかで平常心をもてるようになるのが大事なのかなと思っています。
杉井颯 選手コメント(10月14日トレーニング後の取材より抜粋)

北九州戦を振り返って
上位陣に負けて、何としても勝たなければいけない試合で、開始早々で、点を取れたのは良かったです。
けれど、その後の試合の進め方や、簡単な失点の仕方を含めると、まだまだ上に行けるチームじゃないと感じました。
そういうところを変えていかないと、どんどん上とは勝ち点を離されていきますし、その後のことも考えるときつくなってきます。
そろそろ簡単な失点だったり、その後の試合の進め方は学んでいかなければいけません。
ピッチのなかでプレーして感じること
守備の時間が僕らは長いというか、その中でボールを取るところや、取った後で、ミスが多いところがあります。
どこかでボールを握れないことで、ずっと相手ペースのゲームになると、前節のような失点にもつながりかねないというところはあります。
自分たちで相手をコントロールする時間は大事かなとは思います。
対戦相手から感じるユナイテッド対策
もう相手も自分たちのやり方を分かっていると思いますし、その相手の予測を上回らないと苦しくなっていきます。
その苦しさがこの3試合で特に出ていると感じますし、その前から2回目の対戦で、やはりその2回目では対策もされているし、相手がラインを下げるタイミングも早くなっています。
最近は自分たちの良さもなかなか出せていないので、そこでもっと考えてプレーしなければいけないと思います。
相手の予想を超えるために必要なこと
前向きにプレーするのは当たり前なんですけど、その中でも、相手の背後狙いだけにならないというか、もう少し足元で受けて、それに対して別の選手が追い越していくようなことが大事です。
また、その仕事を自分が一番しなければならないと思っています。
背後だけじゃなくて、下がってきたFWの選手に対してボールをつけて、横を回っていくのは自分の強みでもあるので、それをもっともっと出さなければいけないと思います。
鳥取戦のポイント
相手の強みはボールを握ることで、それを引っ掛けて点が取れれば一番いいですけど、なかなかそういうことも少ないとは思います。
自分たちが相手をコントロールするというか、ボールを持ってのプレーもそうですし、守備の時間でも、相手がしたいようなプレーではなく、自分たちがしたいようなプレーをしていくことです。
プレッシャーをどんどんかけていってボール、ゴールを取れればベストですし、取ったボールをどれだけ前につけられるかが、鍵になってくると思います。
古巣戦で思うこと
鳥取にいたのがもう4年前ぐらいになりますし、僕がいっしょにやってた選手、スタッフも含めて、ほぼいなくて、(当時GMの)岡野さんもいなくなりました。
あまり意識せずに、今の自分たちが置かれているこの状況を、どうにかしたい気持ちでしかありません。
その中でもやはり点は取りたいと思いますし、いいゲームをしたいです。
もちろん内容もですけど、やはり結果が欲しいので、何としても勝ち点3を取りたいです。
ホーム残り3試合に向けて
もう残り3試合で早いなという気持ちはあります。
けれどやはり前節もそうですけど、あれだけ多くのお客さんが来てくれる中で勝てないこと、また栃木シティ戦で言えば、開始早々に失点したことは、あってはいけない姿を見せてると思います。
それを取り返すには、もう勝利しかありません。
みんなが観ていて楽しいゲームをしたいですし、僕らが躍動している姿をファンサポーターの人に見せることができれば、自然と鹿児島であればわいてくるので、後はもうその力を信じて勝ちたいです。
稲葉修土 選手コメント(10月14日トレーニング後の取材より抜粋)

今日のトレーニングを振り返って
残り7試合で、上を目指すしかない状況には変わりません。
そのなかでもう一度今年の鹿児島らしさを取り戻そうという雰囲気があふれていて、いいトレーニングができたんじゃないかなと思っています。
2位との勝ち点差が開いている状況について
直接対決を落としてしまうとこういう差になってしまうのは当然です。
ただ1試合1試合、まだほかチーム同士の直接対決も残っているので、自分たちが目の前の試合をひとつひとつ闘うことが大事なんじゃないかと思っています。
ここから必要になってくること
終盤になってきましたが、やはり毎日の練習にしか答えはないと思っています。
そこに意欲を持って取り組める選手がどれだけいるか次第で、まだまだ成長できるチャンスだととらえています。
そこに尽きるのかなと思ってます。
前節を踏まえて意識していること
前節は北九州さんにボールを持たれる展開が続いてしまいました。
そこでもう一度前への矢印をチーム全員で取り戻したい意図でした。
自分のところとしては、前の選手を気持ちよく守備に押し出していかせあげるっていうところが、自分の役割だと思い、そういうところを意識しました。
相手もプロなので相手の意図した形の時間が続く流れもあります。
その時間をいかに少なくして、自分たちの主導権を握るかが大事になってきます。
そういうところを次からは出していければいいかなと思っています。
次節に向けて
前回のホーム戦ではたくさんの方が来てくれたんですけど、内容結果ともに悔しいものになってしまいました。
今週は応援に応えられるようなアグレッシブな内容と、いい結果をもたらせられるように、準備していきたいと思います。
コラム「鹿児島をもっとひとつに。vol.54(Total vol.66)」
川﨑昭三さん(株式会社NEO「NEO Design Home」専務取締役)

NEOといえばすぐ頭に浮かんでくるのは広報隊長を務める「たくちゃん」こと野口たくおさん、という方は少なくないでしょう。
鹿児島を代表するローカルタレントと「まとめてNEOに決めもんそ!」の決めセリフはセットで頭に残りますし、そのセリフの通り株式会社NEOとはリフォームやリノベーション、新築に電気水道のインフラも含めた総合的な建設業であり、不動産や民泊を手がけていることもなんとなく理解していますが…。
そういえばNEOってどんな方が働いてらっしゃるのでしょうか?
指定された場所に向かうと、いつも多くの買い物客でにぎわっている東開町のイオンモール鹿児島。
まわりもお店や企業に囲まれた一帯、そのすぐ目の前にぱっと見ただけだときれいな一軒家にしか映らない建物が二棟ならんでいます。
駐車場に建てられたのぼりには「NEO Design Home」の文字が見えます。
モデルハウスの中に入り、応接室に姿を表したのは川﨑昭三さん。
2023シーズンから鹿児島ユナイテッドFCのユニフォーム左袖にロゴを掲出する「株式会社NEO」のなかでも、新築事業を担う部署「NEO Design Home」の責任者に今回はお話をうかがいました。
川﨑さんのルーツ
川﨑さんは高校まで鹿児島で生活し、公立高校で野球をしていました。
高校を卒業後は県外の専門学校で建築関係のことを学び、就職は鹿児島の建築関係。
さらに全国に展開する建築会社の鹿児島支店に転職すると、最初の方こそ営業成績を伸ばせない状況を経験しますが、そこからどんどん実績を重ねていき、鹿児島の支店長の先には単身赴任で全国を舞台にします。
競争の激しい業界にあって自分だけでなくまわりの人たちの力も引き出して、結果を出してきた川﨑さんはエリアマネージャー、そして本社の営業本部長まで務めます。
会社員生活として成功していましたが、ここで川﨑さんはキャリアの岐路に立っていました。
「10年くらい離れて生活していて、子どもも小学校の高学年になってきたし、家族のことも考えないといけないかなと。仕事だけじゃなくて、色々な事を考えて、鹿児島に帰ってこようと」
鹿児島に帰って同じように建築関係の仕事をするとしても、前職のような大手の鹿児島支店から地元の住宅メーカーまで、川﨑さんにはいくつもの選択肢がありました。
「自分で(会社を興して)しようかなと考えたこともありますし、別の会社からも誘われていたっていうのも、もちろんありますけど」
そんななかで川﨑さんが決めた新天地は、2005年に創業された赤﨑広久社長のもと、リフォームや不動産、民泊事業、電気・水道設備事業など住環境に関わる事業で成長を続けているNEOでした。

「赤﨑社長とお会いした時に“こういう家づくりをしたい、こういう事業をしたい”という話をした時に考えがマッチしたというか、いっしょにやっていこうということになりまして。
私からすればひとつ橋を作ってくれたというところです」
当時はNEOとしても新しい事業を模索している時期でしたし、そのなかで新築事業への参入も選択肢にありましたが、別の事業で実績ある人材を人事異動で登用してもうまく事業を軌道に乗せるのは難しいことが想定されます。
「そういうのでなかなか踏み出せない部分があったらしいんですけど、たまたま全国規模の住宅メーカーで営業本部長をしていた自分と出会って、それでやってみようかとなりました」
こうして2021年に新築事業部「NEO Design Home」が立ち上がります。
…と、今では忘れそうになりますが、2021年といえば世の中はコロナ禍の真っ只中で、まったく先が見通せず、今やっていることを手堅く継続するのが精一杯の状態。
そんななかで大手企業から転じた川﨑さんも、NEOとしても、新しい挑戦に踏み切りました。
「結構反対する人もいましたし、まあ“NEOが何やってんだろう”みたいな感じで冷ややかに見られていたのもありました。
けれど逆に私からすればコロナが収束してからスタートしてもある意味手遅れだと思ったんですよ。そのなかで、あえてコロナの中でスタートしてというひとつ逆転の発想ですね」

そこにはもちろん一代でNEOをここまで大きくしてきた赤﨑社長の決断もありました。
「社長の思い切りの良さというか豪快さというか。
普通であれば私は赤の他人じゃないですか、今まで取引をしていたわけでもないですし。
その中でまったく外部の人間がきて、“すぐにモデルハウスを作ってくれ”と。普通は作らないじゃないですか」
さらに前述の通り、どこの企業も新しいことは控えるような時代です。
いくら大手メーカーでの実績がある川﨑さんとはいえ…
「だけど私としては、こういう計画ですれば、2年後、3年後、4年後には、という5年計画で、こういう事業が作り上げられると思いますよと話をしてスタートしたのですが。
それを鹿児島でなんの実績も作らずに投資できるっていうのは見る目なのか分かりませんが、賭けだったのかもしれないです」
最初は少人数でスタートしたNEO Design Homeですが、4年を経た今では73名の社員がいて、鹿児島店の他に姶良店と川内店、霧島店、さらに熊本、宮崎と7つの拠点を構え、契約棟数は600棟、引渡棟数は427棟に至りました。
売上は株式会社NEOの約60%を占めるまでの成長ぶりで、NEO Design Homeは結果を示しています。
川﨑さんの手腕、家づくりに関する話も興味深いのですが、ちょうどコロナ禍が収束しつつあったころに、株式会社NEOが鹿児島ユナイテッドFCのスポンサー企業となっていきますので、一旦そちらの話に移ります。
地域の一員として応援する
株式会社NEOが鹿児島ユナイテッドFCのオフィシャルトップパートナー契約を結んだのは、2023シーズンのことでした。
ユニフォームにロゴを掲出するような大型の契約となると、普通に考えれば優勝や昇格などがきっかけになることが考えられますが、この時のユナイテッドはJ2からJ3に降格して4シーズン目を迎えようとしているタイミングでした。

「やっぱり地域の支えがあって、今の会社がある。だからその中で地域貢献をしていきたいっていうところでスポンサーの話があったとは聞いています。
やっぱりうちの社長が言う通り地域のお陰で、この時でいえば17年目のNEOがあるっていうのはうちの社長が感じている部分だと思うんです。
その中で自社の利益だけを考えるのではなく、地域を活性化することにつながっていければいいっていうところですね。
別にNEOのブランドを高めるというよりは、どちらかというと今まで支えてくれた地域への恩返しと聞いています」
地域への貢献のために選んだのがスポーツであり、鹿児島ユナイテッドFCであり、後にはバスケの鹿児島レブナイスでした。
「ただうちの社長、スポーツは基本しないはずなんですよ」
なんとも不思議な話ですが笑、クラブにとって、この時期にスポンサーとなってくださるのはクラブにとって本当にありがたいかぎりでした。
高校球児だった川﨑さんにとってもプロサッカーとの関わりははじめてのこと。
家庭向けの新築事業という仕事の性質上、どうしても土日が中心になるため、スタジアムで観戦できるのはスペシャルマッチなど限られますが、、、そんななかで初めて観戦したのが2023シーズンの開幕戦、FC大阪戦でした。
野球のように合間合間があるわけではなく、サッカーはほとんどプレーが止まることなく続いていきます。
当たり前といえば当たり前のことですが、川﨑さんにとっては新鮮なことでした。
「あの広いグラウンドで観客からすれば俯瞰というか鳥瞰的に見れるわけじゃないですか。それで“あそこに蹴れば”と見ていると、そこに蹴っていて“ああ、すごい、さすがだな”とこれは見ている側にすればおもしろいです」

そして試合は開始直後に先制されましたが、終了間際に広瀬健太選手と薩川淳貴選手(現大分トリニータ)のゴールで劇的な逆転勝利をおさめる感動的な展開がありました。
そして、、、川﨑さん以上にのめり込んでしまったのが社長の赤﨑さんでした。
このFC大阪戦の勝利を皮切りに、7月に行われたはじめてのスペシャルマッチでは福島ユナイテッドFCに3-1で見事に勝利。
その後も監督交代をはじめ何度も何度も訪れる苦しい状況を乗り越えて、J2昇格へ進んでいきました。
そして赤﨑社長にとってもっとも印象的な試合は、2023シーズン最終節でした。
「うちの社長は“鳥取”って言っていました。J2昇格した時にうちの社長は鳥取に行ってるから、車で」
仲間たちに誘われて片道8時間のドライブ。
決戦の地には鹿児島市長の下鶴隆央さん、長島研醸の代表取締役の長山正盛さん、GMOペパボ代表取締役社長の佐藤健太郎さん、そしてNEO代表取締役社長の赤﨑さんも。
赤崎さんはサポーターによる試合前の決起集会から。

VIPオブVIPな方々がそろいもそろって、サポーターの一員として観客席から応援し、鹿児島の失点とゴールに、そして昇格という結果に感情を爆発させ、昇格を勝ち取ったヒーローたちを無邪気に称揚します。
そして帰ってきた翌日はサポーターに向けたファン感謝の集いがあり、夜は法人サポート交流会でしたが、、、
「もうなんか風邪気味で、疲労感たっぷりでしたよ」
とはいえそれは幸せな疲労感だったことでしょう(勝手な言い草ですいません)!

しかしJ2で迎えた2024シーズン、鹿児島ユナイテッドFCは思うように勝ち点を重ねることができず、順位はJ3降格圏のあたりが続きます。
6月22日に行われたNEOのスペシャルマッチでは大分トリニータとの九州ダービーに、3-0で見事に勝利し、直近4試合で2勝2分と、浮上しようとしているかのように見えました。

ところがそこから11試合勝ちなし、さらに8連敗など下位から抜け出すことができないまま、2試合を残した段階で1シーズンでのJ3降格が決定しました。
試合結果を毎週受け取りながら、川﨑さんも徐々に厳しくなる情勢、そして降格という結果は受け止めていました。
それでも2025シーズンに向けて新監督就任の人事は川﨑さんに響きました。
「今回、相馬監督が来て、私からしたら日本代表で見ていた世代ですから。僕らにとってはゲームで出てくるやん、みたいな。フランスワールドカップの時のスターですもんね。僕もサッカーはしていないけど、ほぼその年代だったので」
それまでも色々と費用面とかで難しい部分はそれまでもあったと思うんですけど、今回これだけのネームバリュー、知名度のある方が監督をすることで本気でまた昇格を狙っているんだろうっていうのは感じましたよ」
会社としても株式会社NEOは引き続き、2025シーズンもオフィシャルトップパートナーの契約を継続します。
さらに新たな取り組みとして、ホームゲームにおける来場者が6,000名を超えるごとに支援金をクラブに贈呈する「まとめてNEOが出しもんそ!」企画もはじまりました。
興味深いのは、支援金というものが勝利や順位などに対して贈呈されることが多いなかで「来場者数に応じて」になっているところです。
「あれも後から聞いた話だと社長のノリですよね。やっぱりサポーターがそれだけ応援に駆けつけることに対して、会社としても支援することで相乗効果があるといいよねと。
もちろん勝ち負けも大事だけど運営の目線になれば来場者がどれだけ来てくれるか、どれだけグッズを買ってもらえるかというのも大事で、そうやってサポーターを増やしていくことでよりユナイテッドが盛り上がっていく、っていうことだと思うんですよ」
今シーズンは10,000人超えが1回で50万円、9,000人超えが2回で40万円×2、7,000人超えが3回で20万円×3、6,000名超えが5回で10万円×5、支援金はすでに240万円に至っています。
ちなみにユナイテッドの担当によると10,238名が来場した8月16日のSC相模原戦については「来場者にホッケーシャツ1万枚を配るのはずるい笑」というNEOとユナイテッドとのじゃれ合いがあったそうです笑。
カテゴリーが下がり、それこそ昨シーズンの大分のように2,000名もの相手サポーターが訪れる対戦カードが見込めない中で、1試合平均入場者数はここまでで6,643名で、J2だった6,596名を上回っています。
「そういうなかで、スポンサーの応援、サポーターの応援が増えることで会社としても支援金というか、ひとつ携われるっていうのはやっぱりうれしいものです」
降格してからの、ユナイテッドのクラブ内外の在り方にも評価をされています。
ところで川﨑さんご自身も約20年に渡って住宅メーカーの世界で生きてこられて、出来上がった家に不具合があった、というような信用に傷がつきかねない状況も経験されていると思いますが、川﨑さんはそんな時にどのように対応していたのでしょか?
「やっぱり信頼を取り戻す。誠実な対応ですよね」
先ほどまでは圧倒的な実績を叩き出してきた川﨑さんのキャリアの側面でしたが、ここからは逆にそのキャリアにおいて川﨑さんが直面してきた壁や考え方について聞いてみたいです。
逃げずに誠実に
「誠実な対応、言い訳しない。
その不具合がこちらの不手際というか原因がある場合は誠実に対応しないといけないし、原因がこちらじゃない部分だったら、それはちゃんと説明していかないといけません。
誠実に対応するっていうことは逃げずにっていうことですね。
住宅業界というのはある意味“クレーム産業”とも言われているわけですが、クレーム産業になるのは放置するからなんですよ、後回し、後回し、お客様は後回し、と。
そういうことがないようにするために、うちでは何かあったことに関しては記録に残して共有して、それで対応が終わったかどうかまできちんと管理するようにしています」
個人の意識に左右されないように、ある意味社員に負担がかかりすぎないような仕組み化がなされている一方で、組織として誠実に対応するという明確な意思がありました。

「スポーツもいっしょでもう応援やめようかなと思う人は思うかもしれない中で、誠実に次またJ2を目指してやっていくという意思が伝わっているのだと思います」
営業といえば「トーク力」「提案力」「気持ちの強さ」「明るさ」「元気良さ」などが浮かびやすいですが、川﨑さんは徹底して誠実さを重んじています。
また事業の急成長に伴い社員の採用も重要ですが、人材育成においても「最終的には誠実で、素直で、真面目にっていう人が伸びますね」と川﨑さんは見ています。
「うちの新築事業部は離職率も低いんです。今、73名ですけど、この4年で離職した人は10人に至っていないんですよね。それだけ働きやすい環境を整えながら成長していって業績をあげることに社員も誇りを持っていると思います。
中の人たちが育たなければ企業は成長しません。
目先だけの成長、売上を作ろうと思ったら作れるわけですよ。
それが継続、永続していくことを考えると人材が一番です」
管理職としても成果を出しているのだから当然と言えば当然かも知れませんが、川崎さんは同僚や取引先を活かす思考が軸になっています。
1人の営業マンとしても実績を残してきたであろう川﨑さんが、そのような思考をいつ身につけたのかをおたずねすると「前の会社で3ヶ月目にクビって言われたことがあって」という答えが返ってきました。
実際にクビ、解雇というわけではありませんが、序盤に大きな壁にぶち当たっていました。
「営業で入っていて、これだけ契約が取れていないんだからもう次はないよ、って言われて。
それで世の中の厳しさを知って、そこから意識、考え方が変わったというところです。
そうしたら、はじめての一棟の契約をしてくれた時に技術職の人たちからお祝いしてもらって、このお店の定例だと思っていたら今までそういうことしたことがないと聞いて、やっぱり人って大事だなって思いました。
このことがなければ、数字を上げて、自分の成績が良くなって天狗になって威張って、そうなっていたかもしれません。
結局まわりのサポートがあって結果が出て、支店長に任命されて、そこでお店のみんなが結果を出してくれて、次は地区のエリアマネージャーになって、会社全体の営業本部長になったと。
まわりのおかげであって、その単なる代表であって、その組織づくりをするのが僕の仕事だと思ってやってきているんです。
1人ではやっぱり仕事はできないし、まわりの人への感謝は忘れてはいけないですよ」

取材後にあらためて株式会社NEOのホームページを見ていると、代表メッセージとして赤﨑社長から「お客様に日々、感謝、感謝の毎日です。この場を借りて深く、御礼申し上げます。」という言葉がありました。
どちらもビジネスマンとしての実績があるお二人ですが、お客様をはじめとして、関わる人たちへの感謝の気持ちを忘れない方々でした。
NEO Design Homeを立ち上げてから4年間で大きな実績を出した川﨑さんですが、「今年創業20周年を迎えるNEOが築き上げてきたブランディングがあったからこそ」と、NEOをこれまで支えてこられた方々への想いも忘れません。
「社員にもよく5つの感謝の心を忘れないようにと伝えているんです。
お客様、仲間としての社員、家族、取引先、そして会社。
結局何もかもが当たり前の環境だと思っていたら間違えると思います。
不平はこの世の中あるでしょうけど。
たとえば結局は会社があってあなたたちは守られているし、会社としても福利厚生とか色々なことを含めてやっていて、それは当たり前のことではありません。
取引先が私たちを応援して支えてくれないと、我々の事業はありませんし、お客様から選ばれないといけないし、だから誠実な対応できちっとしなければならないし、感謝の気持ちを持ちなさいと事業部のみんなには伝えているんです」

ビジネスマンとして誠実さを重んじてきた川﨑さんだからこそ、赤﨑さんに合い通じるものがあったのかもしれません。
これからのNEOにどんな会社であって欲しいか?とたずねると、やはり社員への想いが最初にありました。
「よく経営者の人が言うかもしれませんけど、やっぱり“この会社に入ってよかったな”と思われる会社が一番いいですよね。結局会社って社員を守らないといけない、その社員には家族がいて、もちろん取引先もいます。
そして会社としては100億円企業を目指して。
ほんの4年5年前には20億円30億円の会社でしたが、100億円を超えられるような組織になってきましたので、そこを目指したいです。
会社が成長するだけでもだめだし、社員も会社もそれぞれが成長してWin-Winの関係になっていきたいですね」

それでは鹿児島ユナイテッドFCに対しては、どのようなクラブであって欲しいという願いがあるのでしょうか?
「やっぱり強くなって欲しいというのが一番になりますよね。
やっぱり応援する側からすれば強くなっていくごとにサポーターも増えていくでしょうし、それが鹿児島の地域もより活性化していくと思っています。
スタジアムの件にしても強くなければ作る意味ないじゃないかと、知らない人からすればそう言われると思います。
組織、事業部としても強くなることで認められてファンが増えていってというところはあると思うので、いっしょに成長できていければいいなと思います」
ふと気になりましたが、川﨑さんは「5つの感謝」を向ける先として「お客様」「仲間」「家族」「取引先」「会社」を挙げられました。
スポンサー企業という形で応援している鹿児島ユナイテッドFCは、このどれかに入るのでしょうか?
「そこは取引先の一部に入るんじゃないかなと思います」
クラブはお金をいただいている側ですが…。
「やっぱり鹿児島ユナイテッドFCの試合を観に行くことによって心が動かされるし、“自分もがんばらないとな”と思う社員も出てくるでしょうし。そういう何かしらのきっかけは、それぞれがどう感じる取れるかだから、色々なことに関心を持ってほしいですし。
そこで感謝の心のひとつに入りますよね」
クラブとスポンサーの関係性について新しい考え方をご提示いただきましたが、「取引先」としてプロサッカークラブは企業にひいては地域にどんな価値を示すことができるのか。
鹿児島ユナイテッドFCはこれからもこのテーマに向き合っていく必要があります。

さて明日は「まとめてNEOに決めもんそ!」スペシャルマッチですが…
過去2回、試合前のあいさつから始球式まで会場を盛り上げてくださった野口たくおさんは不在です。
あいさつをするのは川﨑さんで、始球式のキッカーを務めるNEO Design Homeの犬童さんも熱心にユナイテッドの試合に通ってらっしゃいます。
このスペシャルマッチをきっかけに、NEOの様々な方の想いに接していただけたら、とてもうれしいです!

会社概要
社名/株式会社NEO
代表者/代表取締役 赤﨑広久
創業/2005年11月
本社所在地/鹿児島市新栄町33-3
