【4月10日マッチデープログラム】KUFC MATCHDAY PROGRAM 2022 vol.03
鹿児島ユナイテッドFCのマッチデープログラム電子版。
今回は4月10日に行われる2022明治安田生命J3リーグ第5節、鹿児島ユナイテッドFC vs 藤枝MYFC のマッチデープログラムです。
日程表・順位表・テキスト速報
監督・選手インタビュー
大嶽直人 監督(4月6日の共同記者会見にて)
今日のトレーニングはこの2週連続アウェイ戦による移動の疲れや、トレーニングマッチというゲームの疲れを取ることを意識しました。
それと同時に、しっかりと藤枝戦に向けてのことを体より頭に入れておこうと思ったので、そういうメニューも取り入れました。
藤枝戦は、自分たちが優位に試合を進めてしっかりと先制点を取った後のゲームをもう少しコントロールしていきたいのと、2点目3点目を取れるように、そこのパワーを持っていきたいです。
選手たちのコンディションもいいですし、リラックスしたムードのなかでいいプレーはできています。
今日のトレーニングの意図
ひとつはホームで自分たちが優位に、ビルドアップのところをしっかりつなぐところです。
この前のゲームにおける反省と、今度の藤枝に対して示すところを先にプレーのところでイメージを作らせました。
相手が前からボールを取りに来ることもあるので、それをどうはがすかと、サイドからバイタルを使うこととかを、もう1回作っていきたいと思いました。
メニューは移動の疲れとか、コンディションとかを見て、コーチと相談して決めています。
もうひとつは逆算して次の週末のゲームに向けてのトレーニングを入れていくことです。
またいつものフィジカルだけのメニューとら変えてボールを使ったほうが、ボールを使わないきつい練習よりは動けるんじゃないかなと、色を変えたり、目的を持たせたりというふうに組んでいます。
宮崎戦を振り返って
ダービーであり、アウェイのところですが、鹿児島のファンが多く来てくれて選手も熱くなる、そういうゲームでした。
ゴール前を行き来するゲームで、どちらも点を取れる可能性があり、そういうスピーディーでゴール前に速い展開になるということは、レベルが上っていることですし、観ているサポーターも喜んでもらえるのではないかと思います。
選手たちが本当に勝ちたいという気持ちが見えたのでうれしく思いますが、そのなかで我々はもっとゴール前のところで質や量を増やせたら仕留められたと伝えました。
次はもっと2点目3点目を取れると感じています。
ロアッソ熊本とのトレーニングマッチについて
(宮崎戦の翌日に行われたトレーニングマッチでは)本当にうちの選手全員が同じ意識でやってくれて、熊本にも引けを取らずに先制して「うちのチームはできるな」と若手やサブメンバーは感じました。
彼らは移動がある中でも運動量と負けん気を持っていて、いいパフォーマンスを出してくれました。
これを続けていけばJ2で戦えると、選手たちはよくトレーニングをしていると感じました。
我々がやっている意図も統一できていましたし、個々人のところでも戦ってくれたので、今週のメンバー選びも大変だとつくづく思っています。
うちの選手は全員でやっているので誰でもチャンスはあります。
決められた時間はあるとしても、全員にあります。
これから累積警告や怪我人が出てくるので、代わる選手がいてくれないと困りますし、代わって出る選手が大事です。
そこに対して選手が貪欲にやってくれていると思います。
複数得点を取るために必要なこと
複数得点取れるのは大事ですが、守備も大事です。
まず良い守備から入ることが大事ですし、そこに加えて抜け目なくスキがあるところは行く、一気に行く。
前を向いてボールを持てるのであれば前を向く。
前に運べるのであれば持っていく。
これができれば優位に進みますし、ゴール、決定率は上がると思うのでそこに意識を持っていきたいです。
相手はうちに対して引いてくるところがあります。
ただ相手の前でボールを下げて回すのではなく、相手が食いついてきたらそこで一気に縦パスを出せるタイミングやシュートチャンスが出てくるので、そこのスキを見つけられるかがポイントです。
相手との間合いがあれば、スピードがあってドリブルで行ける選手が多いので、そこのチャンスを見出して欲しいです。
そこのためにビルドアップからつないで前を使っていきたいです。
判断力を向上させるために
サッカーは他の手でボールを扱うスポーツに比べると、どうしても頭から考えて足を使うまでに、時間がかかってしまいます。
頭で考えて足で蹴るまでに時間がかかるので、そこまでにどうするのか。
できるだけその判断の精度を高めること、また色々な種類のスピードが早ければどの相手に対しても自分たちの立ち位置だったら動かせるし、もっと点を取るチャンス、シチュエーションができると思っています。
トレーニングマッチでも対戦した藤枝MYFC戦について
開幕前とは選手を変えていて違う相手だと思いますし、それは自分たちもそうです。
どうなるかは本番になってみないと分かりません。
(開幕前に3-1で勝っていた)宮崎戦もそうですが、トレーニングマッチと同じように勝てるわけでもありません。
そのなかでも自分たちのサッカーを示せるかが大事で、この2試合自分たちがアウェイで先制できたことは自信になっています。
それは選手に伝えたことですが、2点目3点目を取ることの大切さです。
オープンなゲームになったところを自分たちが先に仕留められるようにしたい。
そういう自分の意図を選手たちは感じ取れています。
圓道将良 選手(4月6日の共同記者会見にて)
アウェイ戦に行ってトレーニングマッチもあったので疲労は残っていたのですが、試合に出てからの調整という意味では今日はいい練習ができました。
宮崎戦がデビュー戦だったのですが、自分が入る寸前で失点して緊迫した状況だったので、緊張はありましたが、自分の中では割とのびのびプレーできて、長所もある程度出せました。
あとは試合を勝たせられる選手、結果を出せる選手になりたいです。
公式戦デビューした宮崎戦を振り返って
失点して1-1になっていたので、やらなきゃなというのと、逆にここで点取ったり活躍したらスターになれるなとワクワクした感じもありました。
トップ下として試合に出て、途中から右サイドになって、そこからはゴールから離れた位置でのプレーが多くなりました。
もっとゴールの近くでプレーできていたら得点に絡めるチャンスも増えたと思います。
トップ下でプレーした時は手応えがあって、ボールを受ける場面もあって、自分はボールを受けてからのドリブルやパスが持ち味なので、もっともっとボールに絡んでいけたら、自分の持ち味が出せると思います。
チャンスメイクという意味では何回かできた部分がありますが、すごく息が上がってしまって、準備不足もあったと思います。
今は途中出場できるかというところですが、スタメンになってそこから活躍できるような選手になっていきたいです。
(米澤)令衣くんとか色々な人が点を決めていて、アウェイでもあれだけのお客さんの前でゴールを決めたらた気持ちも上がるだろうなと感じました。
自分も早く決めたいです。
スタメンで出るために必要なこと
今トップ下で出ている(ロメロ)フランクさんは素晴らしい選手ですが、タイプという部分ではサイズ感とか、プレーのスタイルは違います。
自分の長所として細かいドリブルやスピードはあるので、そういったところで監督に使いたいと思わせたいです。
トレーニングマッチ以来となる藤枝MYFC戦に向けて
藤枝戦は久しぶりのホームですが、まだホームでは出場していないので、少しでも多くの時間出場して勝たせられるようにがんばります。
(2月に対戦した)トレーニングマッチではゴールを決めた場面以外でも手応えがあっていいイメージが残っています。
そのイメージ通り、公式戦でもそれが出せるくらい準備して、結果を出したいです。
白坂楓馬 選手(4月6日の共同記者会見にて)
今日の練習は非常に明るい雰囲気でした。
アウェイの帰ってきた翌日のトレーニングマッチで熊本に行った選手たちについて、いいパフォーマンスだったと監督が言っていましたが、チームとしても引き締まった競争ができていると感じます。
今日のトレーニングもそういったところを感じながら、いい雰囲気、声かけ、質のところをできているので、そういったところを詰めながら準備していきたいです。
宮崎戦は、前半立て続けに攻められるシーンがありましたが、そこはチーム全体として耐える時間ということはみんな分かっていましたし、1人1人が意識して何をやらなければならないかを理解していました。
体を張ってディフェンスする、スライドしてお互いの距離感をタイトにすることなどをしっかりとすることで、攻められる時間帯もゼロにできました。
耐える時間を耐えきったことは良かったと思います。
後半は先制して、立ち上がりで1点取れたことはうちとしては良かったですが、その後の時間帯でだいぶ間延びして、追加点を取れず、耐えて耐えて耐えていたところが失点したのが、チームとしてはもったいないです。
次節は藤枝と対戦しますが、しっかりと複数得点を早い段階でものにすることがひとつ課題です。
また4試合連続1失点なので、ホームでクリーンシートで勝つことはGKとしても守備陣としても今後上に行くには絶対に必要だと思うので、そういったところも詰めていきたいです。
好セーブを披露した宮崎戦について
自分としては失点が続いていたなかで、なんとかクリーンシートで抑えたい気持ちが強くありました。
そのなかでGKとしては止めるのが一番の仕事なので、コーチングも含めて良い準備をして、体勢を作ることを意識していました。
またDFも寄せてコースを限定できていたので、シュート自体もそこまで難しくはありませんでした。
ただあれだけ止めても最後はああいうゴールで失点をしてしまっているところを見ると、結果1対1、あれだけ止めても意味がないとなってしまいます。
ああいうシュートが来ても、どういうシュートが来ても止められるGKが信頼されるので練習からやっていきたいです。
相手のスーパーゴールで失点すること
スーパーシュートかもしれませんが、絶対防ぐことはできると思います。
あと一歩、シュートを打たれる前に寄せることもありますし、自分からのコーチングで寄せてもらうこともできます。
チーム戦術というところでは、ボールを失わなければシュートを打たれません。
また簡単に相手にCK、FK、PKのチャンスを与えないことも、失点する確率を減らすことにつながります。
そういったところをチームで突き詰めていって、自分の声でも味方を助けられればと思います。
スタメン出場しているここまでを振り返って
去年は試合に絡めず非常に悔しいシーズンでした。
GKもフィールドプレーヤーもですが、試合での経験値が何より自分のレベルアップにつながるので、毎試合毎試合しっかり積み重ねることができています。
ただスタメンで出ていても、試合にどれだけ勝っても、自分のパフォーマンスが悪ければ他の選手がいるので、自分のプレーに向き合ってどんどん向上してチームを勝たせられるGKにならなければと思っています。
自分に厳しく突き詰めていきたいです。
去年と今年の雰囲気の違い
去年もすごく明るい雰囲気でした。
今年チームの雰囲気は締まった明るさで、よりもっともっと厳しく求め合うこともあります。
監督が現役時代にDFで、広瀬選手やや岡本選手たちは監督からのアドバイスが力になっていると言っていました。
DF陣と自分たちは「こういう守り方ができる」ということを代表経験者でもある監督から教えてもらうことはすごくプラスで、経験値です。
そういったところを試合や練習で選手1人1人が求めてやっている結果が、試合に出ているのかなと思います。
後ろから見ていて感じる去年との違い
自分も去年、多く出てはいませんのであまりピッチからは見ていないのですが、そんなには変わりません。
ただ鹿児島のために戦おう、チームのために戦おう、支えてくれる人たちのために戦おうという気持ちは強く見えます。
あと一歩がんばろう、走ろう、しゃべろう、いい雰囲気の声をかけようという選手は多く見えます。
前回までの振り返り(3/20八戸戦、3/26松本戦、4/3宮崎戦)
「鹿児島ってこんなにサポーターがいるんだ」
前週のいわきFC戦に続いてホーム鴨池にヴァンラーレ八戸を迎えた一戦。
コロナ禍で声が出せない中でもいくつもの大旗が振られ、太鼓やさつま島美人ハリセンの音が鳴り響くスタンドに、J1J2経験もあるロメロ フランクは感嘆の想いでいた。
試合は「自分たちを研究して引いてくる」と事前に大嶽直人監督が想定した通り、鹿児島がボールを回して攻める場面が多くなるが、前節に続いてアウェイチームに先制を許す。
16分、コーナーキックのこぼれ球を、ペナルティエリアの外から強烈なボレーが鹿児島ゴールに刺さって失点。
しかし前節に続いて早い時間帯に先行されたが、自分たちの守備が崩されたわけではない鮮やかすぎるシュートだったため「スーパーなゴールだったので、変わらず雰囲気はポジティブに、まだ時間はあると慌てることはなかった(ロメロ)」鹿児島は集中を切らず八戸ゴールを目指す。
21分、左右へのふり交わしから木村祐志がゴール前に入れたボールを、同じくボランチの中原秀人がヘディングで合わせる。わずかに外れるが主導権は鹿児島が握る。
37分、八戸守備陣が後ろからパスを回す。
「自分に気づいていなかったので、取れるかなと思っていた(米澤令衣)」
左サイドからダッシュした米澤令衣がボールを奪い、そのまま右斜へ俊足を活かしたドリブル。さらに交差するように左斜へ走る有田光希へのパスの可能性を見せたまま独走し、「思い切り振り抜くことだけを意識した」というシュートが八戸ゴールに決まる。
後半、鹿児島が八戸ゴールに迫る。
69分、左から薩川、米澤、中原、有田、五領とテンポよくパスが周り、最後はロメロが狙いすましたシュートはポストに阻まれる。
チャンスがあって決めきれない。
「観ているお客さまもハラハラしたかもしれない」それでも「本当に選手たちのメンタル的なところが強かった。攻撃しながら耐えるところ、リスク管理も非常によくできていた」と試合後の大嶽監督が称賛するように、鹿児島の選手たちは攻守の切り替えを早くし、1対1の奪い合いに負けず、やるべきことを続ける。
それでも、チャンスがありながらも決まらないなかで、入場者数が「4,000名」と発表された。
3,998名でも3,999名でもない、4,000名の到達に、会場の温度が上がる。
77分、左サイドから薩川が入れた低いボールを福田望久斗がワンタッチして、ロメロがトラップする。
右足を振りかぶると、眼の前の相手が右足を閉じて股間のシュートコースを消す。
それはロメロのフェイントだった。
相手の動きを見極めていたロメロはもう一度構え直し、コントロースされた威力あるシュートを、その閉じる前に右足があった空間へ放つ。
ボールは真っ直ぐな軌道で八戸ゴールに刺さる。
「やはりうれしいです。家族も喜んでいると思います」と試合後のロメロは笑顔を浮かべた。
八戸にシュートを打たれる場面を作られながらも、リードを守りきって勝利をつかんだ。
試合後のスタンドは、サポーターへのあいさつとして選手たちが行った「祝杯はさつま島美人で」のエア乾杯で、笑顔で包まれた。
良い雰囲気とともに、翌週は今シーズン初のアウェイ、松本山雅FC戦に挑む。
「この人たちのためにやろう」
雨風の強いスタジアム、ホームチームの緑色に囲まれたスタンドの一角で、負けず揺るがずチームを鼓舞する鹿児島サポーターの熱意に、星広太たち選手は気持ちを高めていた。
J1経験のある松本山雅FCとのアウェイ戦。
序盤、チャンスを作ったのは「1年でJ2復帰」を掲げる松本。
16分、18分と鹿児島陣内でのパス回しを奪い、そのまま一気にシュートまで持ち込む。
瞬時に訪れる非常事態にも広瀬健太たち守備陣はシュートコースを切り、GK白坂楓馬が足でシュートを弾き、横っ飛びでシュートコースを変えて、ピンチをしのぐ。
そして危うい場面はあっても試合の入りから鹿児島は「天候に惑わされずに自分たちのサッカーをする(星)」ことを心がけて、恐れずチャレンジを続け、ロメロ、中原、木村祐志の中盤やサイドに開いた五領淳樹を基点にゲームを組み立てる。
「もちろん苦しいところもありましたが、そこもしっかりコンパクトにできて、非常に集中して球際を寄せる、コースを切ることをできました。それが攻撃につながっていい形で、いい時間帯で得点することができました(大嶽監督)」
28分、中盤で星が右サイドいっぱいに開いた五領へパスを出すと同時にダッシュ。
呼応するように下がってきたロメロに松本守備陣が引き寄せられ、背後に空いたエリアへ星がそのまま走り続け、加速した星がそのまま止まらずボールを蹴れる場所へ五領から正確なパスが戻ってくる。
星がゴール前に速いクロスを入れる。
ニアサイドへ飛び込んだ有田をマークしていた松本選手の頭に当たってそのままオウンゴールで先制。
高揚感とともに前半をリードして折り返す。
後半、選手の配置を変えてきた松本の対応に鹿児島は苦慮する。
49分、中盤でボールをつないだ松本はそのまま鹿児島ペナルティエリアへ走る。
止めに入った岡本のファウルでPK。同点に追いつかれる。
ゴール裏で沸き立つ松本サポーターと選手たち。
そのタイミングでキャプテンの広瀬が選手たちを呼び寄せる。
「また自分たちのペースに持っていけるから、追加点を狙っていこう」
星もまた「相手に多少勢いはつくが5分ほどしのげば」という感覚を持っていた。
徐々に鹿児島が押し返す。
63分、右サイドでボールを持った星からエリア内に侵入したロメロへパスが出る。
ロメロがクロスボールを入れようとして、ボールがこぼれたところに改めて星が詰める。
速いボールを入れようとした星だが、視界に入った相手を見て狙いを変える。
ゴール正面に五領淳樹が詰めて、逆側にいた松本のDFが五領のマークに動く。
逆側には米澤がただ1人、待ち構えている形になる。
星がふわりと浮かせたボールは五領と松本DFとGKの頭上を超える。
米澤が飛び込むようなヘディングで松本GKの足元に叩きつけ、ボールが松本ゴールに転がる。
鹿児島サポーターに向かって米澤が高々と腕を掲げる。
雨風に打たれながら応援を続けてきたサポーターが最高に盛り上がる。
前線を厚くして、どんどんボールを送り込む松本に対して、鹿児島初出場となる井原伸太郎を最終ラインに投入する。
「ベンチにいる自分の役割は、勝っている状況でゲームを締めること」と想定していた井原を加えた鹿児島は落ち着いて松本の攻撃を跳ね返し、2-1で勝利をつかんだ。
そして松本の地でも、松本の地まで足を運んだサポーターたちと「祝杯はさつま島美人で」のエア祝杯の歓喜が広がった。
次もアウェイで、今度はテゲバジャーロ宮崎とのバトルオブ九州が待つ。
鹿児島から1,000人を超えるサポーターが宮崎県まで足を運び、ユニリーバスタジアム新富は、どちらのホームか分からないほどの熱気に満ちている。
「アップの段階からすごく盛り上がりを見せてくれて、声を出せない状況だけれど、ゴール裏にたくさんの人がいてくれて、選手としてうれしい。なかなかできる経験ではないので感謝したい(有田光希)」。
前半は宮崎がシュートまで持ち込む場面が作られる。
14分のCKは鹿児島ユナイテッドFC U-18出身の宮崎DF神野のシュートをGK白坂が身体に当てて防ぐ。
36分、裏に抜けて打たれたシュートは落ち着いてキャッチ。
38分、ゴール前から弾いたボールをつながれてゴール正面で打たれたシュートも白坂が片手で弾く。
「守勢に回る時間もあるのでそこをしっかり耐えること、粘り強く自分たちのバランスを崩さないこと、そこに選手は集中してくれた(大嶽監督)」。
「失点してもおかしくない時間もありましたが粘り強く、“ここは耐えるところだぞ”といい声をかけあって守れていました(薩川淳貴)」。
49分、カウンターに出た宮崎が裏に抜けるスルーパスを送る。
GKとの1対1になりかねないピンチを、広瀬が鋭い危機察知と正確なスライディングタックルで防ぎ、背後から応援する鹿児島ファンが陣取るスタンドが沸く。
50分、中盤右サイドでボールを奪った星がそのままタッチライン際をドリブルで駆け上がり、そのまま宮崎陣内へと攻め上がる。
近くにはロメロ フランク、逆サイドには米澤令衣、ゴール正面に走る有田光希には2人のDFがケアをしている。
星は迷うことなくゴール正面へ、宮崎DFとGKの間に速いボールを送る。
「(星)広太が抜け出したところで、ニアに入ることを決めていたので、良いボールをくれました」
速いボールの軌道に、有田が宮崎DFの死角から姿を表す。
右足で軽く合わせてコースを変え、ゴールに流し込む。
鹿児島の先制に、逆側に陣取る鹿児島サポーターが一気に盛り上がる。
一進一退が続く。
70分、中盤でこぼれたボールをつながれ左サイドから宮崎FWが右足を振り抜く。ゴール隅に強烈なシュートが決まり、1-1の同点。
同点に追いつかれたが「スピードアップを考えて、相手も前に来ていたけど、うちも引くのではなく攻撃的に」と大嶽監督はFW山本駿亮や初出場となるMF圓道将良、野嶽寛也を前線に送り込む。
熱気とゴールの予感が満ちるスタジアム。
熱を背にお互いにゴールを目指して走り続ける選手たち。
だが、必死の守備でゴールは生まれない。
93分、宮崎が跳ね返したボールを中原秀人が拾い、何度も何度も左サイドを前後に走り続けていた薩川に展開する。
左足でゴール前へ送ったボールが宮崎守備陣の網にかかったところで試合終了。
グラウンドに倒れ込んだ薩川は両腕で地面を叩いた。
「僕たちは優勝を目指しているので、こういう接戦を勝ちきらないと優勝は無理だと思います。まだまだ力不足です。最後の1秒まで点を取りに行っていましたし、引き分けでいいとは誰1人思っていなかったですが、ラストプレーでチャンスを潰してしまった」と試合後の会見で薩川は悔しさをにじませた。
そして前節の松本戦と合わせてアウェイ2連戦での1勝1分を最小限の結果と位置づけたチームは、次のホーム戦を見据える。
「アウェイでしたがホームかというくらいの雰囲気を作ってくれたのに勝てなかったのは申し訳ないです。次のホームで、サポーターと喜びを分かち合いたいと思います(薩川)」。
ホームでも、アウェイでも変わることなく熱く応援してくれるサポーターとともにONE TEAMになって戦う。
そして選手たちはこのサポーターのために、藤枝MYFC戦という目の前のONE GAMEに勝利することでお返しとして、そして何より共に喜ぶ瞬間を味わうために力を尽くして走り続ける。
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