【5月5日マッチデープログラム】
KUFC MATCHDAY PROGRAM 2022 vol.05
鹿児島ユナイテッドFCのマッチデープログラム電子版。
今回は5月5日に行われる2022明治安田生命J3リーグ第8節、鹿児島ユナイテッドFC vs カターレ富山 のマッチデープログラムです。

日程表・順位表・テキスト速報
監督・選手インタビュー
大嶽直人 監督(5月1日の共同記者会見にて)

前節、本当に寒い中アウェイ長野まで駆けつけてくれたサポーターには感謝しています。
熱い応援をいただいて、ありがとうございました。
結果は出ませんでしたが、選手は最後まで点を取りに行く姿勢、自分たちのやるサッカーの姿勢を見せたと思いますし、すごく良かったと思います。
次はホームゲームでなんとか勝点をあげられるようにしたいと思います。
今日の練習に関してはしっかりと次に向けての準備と、それに対する自分たちのいいストロング(長所)を出せるように確認しました。
選手は良いモチベーションで、それと同時にいいパフォーマンスで試合に臨めると思います。
富山戦もまず自分たちが最初からアクションを起こして、支配できるサッカーをしたいと思っています。
長野戦の難しい状況を振り返って
色々なことが重なっている場合もありますし、思うようにならない場合もあります。
それでも我々は自分たちのサッカーを通したと思いますし、これから精神的にもタフに強くなっていく時だと思います。
非常に意味のある敗戦だと思いますし、うちにとって次の財産になると思っています。
選手たちは前向きにやってくれていますし、自分たちは厳しい状況でフットボールをしたことが良かったと思いますし、選手が高いレベルを保とうとしているプレーでした。
色々な中で精神面も強くならないといけないと感じた、次に活かせる試合です。
非常に、自分たちは良かったと思いますし、上に行くために良いきっかけ、勉強になりました。
序盤の負傷などのアクシデントについて
本当に私たちは選手を守らなければならない立場で、ああいうゲームになりました。
守れなかったことは本当に申し訳なかったです。
そのなかでも選手たちは立ち向かって、荒れる状況、劣勢な状況、逆境にあっても、同点に追いつくそして逆転するチャンスは作れました。
交代する選手を含めて全員が自分たちのサッカーを体現できた部分も大きかったので、ポジティブにとらえていますし、選手たちも自信を持っていると感じていますので、最終的にプラスになることだと思います。
プレーの面で出た課題
セカンドボールの支配と、マイボールでもう少し相手陣内で時間をかけて攻撃する、ゴール前でチャンスを作ることが大事です。
また集中力だと思います。
ただ、私たちは前に進まなければならなりません。
長野戦は過去のことなので、我々が次にどう勝ち点3を取るのかが大事です。
応援してくださるサポーターと我々が、いっしょになって選手を守って、そういう雰囲気を作っていただけたらと思います。
ここまで出場機会が少ない選手のプレーについて
全選手がいっしょの統一した中でやっているので、誰が出ても不安はありませんし、やれると思っています。
彼らに期待していますし、それがエネルギーになって、チーム内での競争とポジション争いがまたすごく加熱するので、そのエネルギーをピッチで出してもらえたらと思います。
すごく楽しみです。
選手みんなコンディション良く、次に向けても目線が上になっているので、ありがたいです。
そこは選手たちを信じているので大丈夫です。
長野戦の状況で改めて思うことについて
普段どおり、いつも通りの自分たちのサッカーをやろうとして、それは出せました。
激しく厳しく、ちゃんとプロフェッショナルなプレーをするなかで、向こうは我々に対して厳しいチャージをしてきましたが、それでも我々は臆することなく、選手たちは前を向いて、後半もどんな状況であれ自分たちのサッカーを貫くことができました。
しっかりと自分たちはやるべきことを見失わず90分できたことは素晴らしいと思いますし、選手が気持ちを切らさずにどんな状況であれ、選手が代わっても、チームワークを保ってハードワークして、その役割、仕事をできたことは良かったと思います。
選手たちには感謝していますし、次につなげて欲しいとすごく思っています。
選手たちは前向きにとらえてくれていますし、次はホームなので、すごく気持ちも入っています。
そのエネルギーをまた皆さまといっしょに出したいですし、我々もそれを引き出す努力をしたいです。
富山戦と中2日で迎える県選手権決勝に向けて
もちろん勝利することが大事で、サポーターの前で自分たちのサッカーを続けて出せるかが大事です。
勝ちを取りに行くサッカーをします。
今シーズン初の敗戦を活かすために必要なこと
普通に考えれば連敗しないことがひとつですが、この敗戦を自分たちは次に学んで活かすことが大事です。
それと同時に自分たちのサッカーを見失わないことが大事です。
試合には負けることがあるし、勝ち続けるには相当なエネルギー、集中力が必要です。
ここで敗戦したことで、自分たちの立ち位置を見直して、しっかりできる準備だと思います。
選手たちはポジティブです。
ネガティブにならずしっかりと続けること、継続が大事になってきます。
そこを色々なアクシデントのなかで、チームとして逆境をどう乗り越えていくかは大人でもあるので、上に行くためにはここはひとつ我々にとってどれだけのパワーを出せるかどうかであり、皆さまに見せられるかです。
言い換えれば、鹿児島の皆さまにその姿勢を見てもらって、もう1回鹿児島を熱くする。
次に、上に向かって行けるところを皆さまといっしょにやっていければと思います。
私たちには、選手たちを見守って欲しいということがすごくあります。
それができれば選手たちはよりエネルギーとパワー、プレーが向上すると期待しています。

渡邉英祐 選手(5月1日の共同記者会見にて)

長野戦は久しぶりのスタメン出場でしたが、本来の自分の力をまず発揮することができなくて、すごく悔いの残る試合でした。
日頃から準備をしていましたが、もっと自分自身日々の取り組みとか、もう一度見直さないといけないと強く感じました。
今日はチーム全体として敗戦をしっかりと受け入れて、次につなげるという部分でいいトレーニングができたと思います。
次は富山と対戦しますが、昇格を目指すにあたって連敗は絶対に避けないといけません。
ホームなので、勝ちにこだわって、ひとつひとつのプレーにこだわって、やっていきたいと思います。
久しぶりのスタメン出場で感じたこと
これまでも試合に途中から入るシーンはありましたが、またスタメンからの出場とはちょっと違った状況でした。
それに対しての対応の仕方、メンタルのとらえ方をもっと変えていかないといけないと感じました。
スタメンと途中出場の違い
途中からになると役割ははっきりしていて、チームが負けている状態であれば点を取りに行くし、勝っていればリスクを負わず失点ゼロで抑えることが役割として与えられます。
スタメンだとそうではなく、時間帯によって考え方を変えていかないといけないです。
そういった部分で途中出場よりスタメンのほうが難しいと思います。
自身の得意なポジションとスタメン出場への想い
ボランチとかサイドバックとか、どちらで出場するかはチーム状況によって違います。
まずは与えられたポジションでスタメンを獲得すること、チームに貢献することを大事にしていきたいです。
そこで日々の取り組みから変えていけたらと思います。
チーム状況について感じること
敗戦はしましたが、このチームはもっとやれると強く思っているので、次の試合に向けての不安は全然ありません。
負けたことは決していいことではありませんが、負けに対する価値をつけていくことは勝つことでしかありません。
それは絶対にチーム全員が感じていることだと思います。
次のカターレ富山戦に取り組む姿勢は、1人1人、前の時よりもっと強くなっていると思います。
次の試合は絶対に勝つぞという気持ちで、一体となっています。
ホームでの富山戦に向けて
相手がおそらく3バックで来ると予想されるので、サイドにスペースがなかったりすると思うので、中央をうまく使いながら、相手を揺さぶって崩していければと思います。
前節は初の黒星だったので、これを勝てるか勝てないかでまたチームの雰囲気、勢いも変わってきます。
次の一戦を大事にして、全員で勝ちを目指してがんばりたいです。

井原伸太郎 選手(5月1日の共同記者会見にて)

長野戦は色々なアクシデントがありました。
それでもチームがひとつになって戦えたとは思いますが、残念な結果に終わってしまいました。
次の富山戦は連敗しないようにやることを意識して、今日のトレーニングはしっかりみんな切り替えていいトレーニングができたと思います。
次の富山戦は勝点3を取れるのではないかなと思います。
今シーズン初の敗戦について
負けなしでここまで来ていて、長野戦は負けてはしまったのですが、そこでもう1回チームがひとつになってまたやっていこうという気持ちになれました。
だから良いということではありませんが、勝ち続けていることであまり気にしなくなることもあると思います。
そういうところを改めて、大事なものは何かを再確認できました。
また次の富山戦が大事になってくるのでがんばります。
失点の場面を振り返って
そこの守備の部分は絶対やらせない気持ちで入っていたのですが、自分のところでやられてしまいました。
チームに申し訳ない気持ちと自分の力不足を痛感したので、トレーニングから同じミスをしないように意識してやっていきたいです。
敗戦で認識した課題
最後のゴール前の粘りだったり、リードされている状況で決定的なチャンスを決められないところだったり、勝っているとなかなか流されるというか、結果OKみたいなところもあります。
そういうところが、ゴール前で粘らないと失点するよねとか、決めきらないと勝てないよねということがチームの中で再確認できました。
それが1人1人の自覚につながっていくと思いますし、トレーニングに向かう姿勢も変わっていくと思います。

前回までの振り返りコラム(4/16鳥取戦、4/29長野戦)
~どんな時でも鹿児島は勇猛果敢に戦う~
鹿児島ユナイテッドFCがキックオフ約30分前に行うビジターチーム紹介は、スタジアムDJの耳やさしい声で選手名が読み上げられる。
鹿児島弁特有の上がって下がってのイントネーションに、特に外国人選手の紹介時に発揮されるクセの強さに、ビジターサポーターは笑顔を浮かべる名物だ。
スタメンの11人、そしてサブメンバーと続く。
4月16日のガイナーレ鳥取のチーム紹介、最後のサブメンバーが読み上げられた後、スタジアムDJはかなりの間を空けて、あくまでボリュームは変えずにアナウンスした。
「監督、キン、、、、、、、、ジョンソン」
メインスタンド、バックスタンド、北側、南側、中央、スタジアム内のあらゆる場所から拍手が長く、長く響く。
2019-20シーズン、勇猛果敢に主導権を握り続けるサッカースタイルを構築するために、そして鹿児島に勝利の歓喜をもたらすために尽くした元監督、金鍾成。
金鍾成の「金」は「キム」と発音されることが多いが、よりネイティブに近いのは「キン」だという自身の見解に基づく、キンの発音も変わらない。
なかなか結果が出ずに苦しんだ2年間、それでも変わることなく真摯にサッカーと鹿児島に向き合ってきた元監督に対する、鹿児島の人たちの変わらぬ想いが拍手には込められていた。

2週連続となったホームゲーム。
前節の藤枝MYFC戦に続いての勝利をめざす鹿児島だが、序盤は前節3-0で勝利して鹿児島に乗り込んだ鳥取が、2トップを中心に鹿児島ゴールを脅かす。
3分、左サイドを突破され、ペナルティエリア内に運ばれた場面では岡本將成がブロックし、こぼれたボールに対しても今シーズン初スタメンとなる野嶽寛也がすばやい反応で、コーナーキックに逃れる。
直後のCKからのシュートも白坂楓馬が落ち着いて防ぐ。
16分も鳥取右サイドのクロスから決定的な場面を作られるが、守備陣が懸命に身体を寄せ、シュートは枠の上に外れる。
この試合の鹿児島は、これまで5試合トップ下で先発したロメロ フランクに代わって、野嶽をボランチに先発起用し、ボランチだった中原秀人をトップ下に配置した。
「誰が入ってもできるように準備していたので、迷いなくスタッフとも一致して野嶽を入れました。ボランチには木村祐志がいるのでそこに合わせて若い選手が入って伸びていくこともひとつですし、自信をもってもらうこともひとつです。期待を込めて入れました(大嶽直人監督)」

18分、左サイドでボールを持った米澤令衣がトップ下の中原秀人とのパス交換から前線へドリブルを始める。
鳥取守備網を前にスピードダウンした米澤はサポートに来た中原へ戻す。
中原の右前では野嶽、右後方には木村がボールを受けられる体制を作り、その2人を見極めた上で中原は左から追い越してきた薩川淳貴にあずける。
薩川は再び鳥取のマークを外した米澤が、駆け出そうとしていた前方にパスを通す。
ペナルティエリアの左側に入った米澤は右足に持ち替えて中に切れ込むかと思いきや、いきなり利き足ではない左足でゴール前にグラウンダーのボールを入れる。
「シンプルに僕だったら(利き足ではない)右足でクロスを入れる、令衣だったら左足でダイレクトに入れる、その練習をしていたので意識できていました(五領淳樹)」
常に相手との駆け引きを繰り返していた上で、そのタイミングで入ってくることを予測していた有田光希がいち早く反応する。
有田は軽くボールをさわって背後のゴール前に流す。
そこに飛び込んできたのは、五領淳樹だった。
滑り込みながら右足でボールに合わせてゴールに流し込む。

「ゴラッソ」と呼ばれる鮮やかなゴールが代名詞のように言われる五領の、身体を張って押し込んだ今シーズン初ゴールにチームメイトが駆け寄り、スタンドが沸く。
「正直今年1発目のゴールがああいう形だったのがうれしいです。今シーズンは結構ゴール前に入っていくことを意識していて、松本戦や藤枝戦では自分が入ったことで生まれたスペースでゴール(松本戦での米澤のヘディング、藤枝戦での有田のボレー)が決まっていました。ボールが来なくても続けてきたあの動きに対してボールが来て、あの決め方ができたことがうれしいです(五領淳樹)」
一進一退の試合は続く。
25分、中盤でボールを奪った鳥取はすばやく最前線のFWへボールを送り、GK白坂との1対1を迎えようとする。
そこへ岡本が「キャリアでもっとも速いスピードだった」と振り返る猛追からのスライディングタックルでボールを外へ蹴り出す。
脚力に加えて予知能力、責任感、集中力が発揮された守備にスタンドから安堵の拍手が送られる。

徐々に鹿児島は落ち着いてゲームをコントロールする。
「相手がボールを持ったときの立ち位置だったり、前向きに守備をしていこうという部分が統一されています。相手のセットプレーだったり相手にボールを持たれる時間があっても自分たちのやることが整理できているので、そこで失点を減らして、攻撃に移った時も自分たちがやることを整理できています(中原秀人)」
約1年ぶりにスタメン出場した野嶽もしっかりと自分のプレーを続ける。
「(ロメロ)フランクさんがいなくて、中盤が秀人さん祐志さんとだったので、できる役割が違うと思っていました。間で受けたり、動きで違いを見せられればと思っていた中で、中盤でうまく3人で連携しながらできたのでそこは良かったです(野嶽)」

後半も鳥取に攻め込まれる場面は作られるが、鹿児島はリードを守りながら野嶽と五領を相次いで牛之濵拓と圓道将良に替える。
78分、その圓道と牛之濵のパス交換から、最後は圓道がカーブのかかったシュートをファーサイドに打つがわずかに外れる場面を作り、観衆が沸く。
82分、左サイドから米澤がドリブルで中に入り込んでシュートを打つ。
追加点は決まらないが、シュートやクロスで攻撃を終わらせることで、鳥取の攻撃に備えて守備を整える時間を作る。
攻め込まれてもゴールは割らせない。
「相手の時間のほうが長かったと思います。それでもみんなポジティブで、ネガティブになる選手が1人もいない。自分たちではない時間帯でも、最後やられなければいいという気持ちでやれている(五領)」
大人の戦い方をしながら、1-0で勝利した。

試合後、鳥取の金鍾成監督は旧知のスタッフや選手たちとあいさつをかわしていた。
五領は「”ここで決めなくていいのに”と言われました」と笑顔を浮かべた。
サッカーでは試合になると、敵味方に分かれてお互いに死力を尽くして戦い、勝ち負けが決まる。
それでもどんな時でもどんな結果でも変わらぬサッカーのすばらしさが、試合前の拍手からはじまるこの日の光景には凝縮されていた。
すべての歴史を忘れることなく、鹿児島は前を向いて未来へと進む。
次は2週間後にアウェイでAC長野パルセイロと対戦する。
2週間が空いたゴールデンウィークの4月29日、鹿児島はアウェイ長野に乗り込んでAC長野パルセイロ戦を迎えようとしていた。
体調不良者が出て、ベンチ入りのメンバーは通常より2人少ない5人。
ただならぬ雰囲気がただようが、監督や選手は試合のことに集中していた。
「シーズン通して決して良い時ばかりではないですし、絶対にアクシデントは起こりうることです。監督もしっかりポジティブにプレーしていこうと話していました。選手たちもそれを理解して、やることは特に変えることなく、自分たちが練習してきた成果や、これまでの試合で結果を残してきたことをしっかり出そうと、みんなで言い合いながら試合に臨みました(白坂楓馬)」

かなり強い雨が降り注ぐ中で試合がはじまる。
8分、これまでの6試合で奮迅の働きをしてきた左サイドバック薩川淳貴が、アクシデントでセンターバックを本職とする井原伸太郎と交代する。
2節以来の先発となった右サイドバック渡邉英祐含めて、ここまでは「リードした終盤に投入され、そのままリードを保つ」狙いで入ることの多かった2人が左右のサイドバックに入る。
スクランブル体制にも、センターバックの広瀬健太、岡本將成を含めてチーム全体で集中したプレーを見せる。

19分、GK白坂から岡本、井原、岡本から中原秀人へパスが入り、背後から襲う長野守備をいなすようにダイレクトで右サイドへ、渡邉が持ち上がり、タッチライン際の五領淳樹へ。
相手を引き付けて五領が内側を追い越す渡邉へ戻すと、渡邉はスルー。
有田が受け、有田は前方のロメロではなく左サイドからぽっかり空いた中央へ上がってきた井原へ横パス。
井原もダイレクトで左サイドでフリーになった米澤令衣へパスを出すと、そのまま長野ゴールめがけてへ走り込む。
フリーでボールを受けた米澤はじっくり中を確認すると、右足でゴール前へクロスボールを送る。
ゴール前で空いたポジションに入っていたロメロ フランクがゴール逆サイドへヘディングを決める。
両サイドバックがともに絡む形で、鹿児島が先制する。

ホームの長野が攻勢を強めるが、鹿児島もカウンターの機会をうかがう。
52分、五領が相手守備の背後に送ったボールに米澤が抜けてチャンスを迎えるがシュートは外れる。
直後の53分、長野は右サイドからクロスを入れる。
鹿児島守備陣の頭上を超え、逆サイドからもう一度ゴール前にボールが送られる。
ペナルティエリア内の守備が間に合わず、ボレーで合わせられ、同点に追いつかれる。
59分、今度は左サイドからドリブルで突破され、ゴール前に入ったクロスを頭で合わせられ、ゴール前へ足を飛ばしながら飛び込む広瀬も間に合わず、逆転される。
「前半からビルドアップの部分で長野さんのプレッシャーがすごくハマっていて、その相手のリズムでしたが、持たせておいても大丈夫という雰囲気は中ではあったので前半プラン通りでした。しかし、後半サイドからやられたときにマークの受け渡しなどにズレがあり、やられました(広瀬健太)」
多くのアクシデントに見舞われる中、逆転を許した。
それでも鹿児島の選手たちは、長野まで駆けつけてくれたサポーターの応援を受けて、彼らが陣取るゴールをめざして戦い続ける。
「やられるつもりでやっている選手はいないですし、負けたくないという気持ちは強いですし、今日のアウェイの試合でもそうですし、雨のなかでもサポーターも来てくださっています(白坂楓馬)」

69分、最前線に上がっていたロメロからのパスを右サイドで受けた途中出場の牛之濵拓が、ゴール前に入れたボールは米澤に合うが長野守備に遮られる。
直後のCKに木村祐志が蹴った正確なボールに、競り勝った岡本が頭で合わせるが、わずかにゴールを外れる。

72分、中盤まで前進してボールを奪った広瀬からのパスを受けた圓道は、するするとドリブルで持ち上がり、ペナルティエリア内まで侵入してシュートを打つが、わずかに右に外れる。
78分、自陣内で岡本がカットしたボールをトップ下に入る圓道将良へパス。
圓道は粘り強いドリブルで持ち上がり、ロメロへのスルーパス。
GKとの1対1を迎えるが、ロメロのシュートはGKに弾かれ、こぼれたボールをさらに反転しながらシュートするも外れ、地面を叩く。

82分、木村がゴール前に送ったボールに渡邉が折り返すがわずかに牛之濵に合わない。
90分、追加点を許さず1点を追う鹿児島は身体の強さとヘディングの高さを備える、今シーズン初出場となるセンターバックのウェズレイをFWの位置へ送り込む。
95分、相手との接触プレーでロメロが2枚目のイエローカードで退場する。
そしてタイムアップ。
今シーズン初の敗戦となった。

雨の長野まで応援に駆けつけてくれたサポーターに頭を下げ、戻っていく選手たち。
様々な状況はあったが、時間が戻ることはなく、残されたのはこの日得た勝点が0という現実であり、誰もがそのことを理解していた。
試合を通して熱い気持ちと冷静な思考でチームを牽引した広瀬は「自分たちの試合に持っていけなかったことがすべて」と、敗因を自分たちに求めた。
大嶽監督も「次に向けていい準備をしてチームパフォーマンスを上げることがまず重要なので修正をしっかりとしてホームに向けての準備をしていきたいです。連敗をしないことは当たり前ですが、その前にチームのパフォーマンスを上げることを努力して、しっかりと次に向けて準備したいと思います」と次の試合に向けて、自分たちのプレーを向上させることに目を向けていた。
そして1週間とたたない5月5日、ホーム鴨池にカターレ富山を迎える。
難しい状況は続く。
それでも鹿児島ユナイテッドFCは勇猛果敢に戦う。
この試合に出場する選手だけでなく、出場できない選手だけでなく、すべてのスタッフだけでもなく、ファンサポーターも含めて、ONE TEAMになって戦う。
J3優勝、J2昇格という目標に向かって、この試合で応援してくれるすべての人たちと笑顔で喜びを分かち合うために、ONE GAMEを戦い抜き、この難局を乗り越える。
絶対に。

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