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2022.06.17 試合情報

【6月18日マッチデープログラム】 KUFC MATCHDAY PROGRAM 2022 vol.07

鹿児島ユナイテッドFCのマッチデープログラム電子版。
今回は6月18日に行われる2022明治安田生命J3リーグ第13節、鹿児島ユナイテッドFC vs Y.S.C.C.横浜 のマッチデープログラムです。

日程表・順位表・テキスト速報

監督・選手インタビュー

大嶽直人 監督(6月15日の共同記者会見にて)

今日のトレーニングですが、今週のホームゲームに向けての準備と、しっかりとそれに向かってもう1回自分たちがパワーアップすること、そしてホームゲームなのでサポーターとともに戦いたいと伝えました。
この前の岐阜戦ですが、暑い中でたくさんの熱いサポーターが来てくださいました。
その中で自分たちのサッカーはできたと思いますが、最後のところでやっぱり2点目3点目を取れなかったところと、チームバランス的には疲れというか、間延びした部分があったところが、我々にとっては不運なところでした。
それ以外は修正できたり、後半から自分たちのペースでできたので、次につながるゲームだったと思います。
勝ち点3と2点目を取りにいける雰囲気があったので、我々の選手たちを信じて良かったと思います。
これを次のホームゲームで活かせるようにがんばっていきたいと選手たちに伝えました。

月間優秀監督賞の受賞について

これは本当に周りの方がサポートしてくれて、鹿児島を熱くしようという想いが乗った賞だと思います。
1人ではできないことで、周りの方の支援とサポートがあっての賞だと思います。
それをつないでいきたいという気持ちです。
すばらしい環境を作ってもらって、良いピッチで練習ができていますし、なおかつ怪我も少なくなっているので、本当にありがたいことで、スムーズに練習に集中できています。
あとはスタジアムに大勢の方が来てくれていることで、そのパワー、エネルギーが選手たちに伝わっていることをすごく感じます。
それに対して選手が集中して、強い気持ちになれることは私たちのストロング(強み)ですばらしく、選手がひたむきにやってくれていることが、この受賞する結果になっていると思います。

さらなる受賞への期待

できればいいですが、一戦一戦目の前のことをしっかりとやって、その結果です。
また皆さまといっしょに賞が取れればと思います。

トレーニングで重点を置いたところ

切り替えのところ、セカンドボールの支配、取ったボールをビルドアップにつなげることをしていて、攻撃のところも最後のアタッキングサードからペナルティエリアに入ることをもっと大胆に行って欲しいですし、できるだけシュートで終わる、コーナーキックまで取って終わって欲しいです。
その前の段階で、丁寧に行き過ぎて取られ方が良くないところがあったので、そこを最後のゲーム形式で注意して、しっかりと意識させました。

相手が対策してくることについて

まず相手はこちらをリスペクトしてくれていますし、攻撃的なところを分かっているので、ブロックを敷いて、要は我々がハイラインで攻撃する中で、背後にロングボールを使ってきます。
それは日頃からディフェンスラインに言っていることで、その対処法と、行くときはしっかり行って、怖がらずにやる必要があります。
コンパクトにラインを上げる必要があるのと、攻撃では我々はできるだけ突けるところは突いていかないといけないです。
苦しい試合でも、試合を通して流れがずっと同じわけではなく、セットプレーや流れを変えるチャンスはあるので、そういうチャンスを見出すようなことをしていきたいです。
ただ毎試合状況は変わってきます。
当日になったら生身の人間なので、当日のモチベーション、コンディションは変わりますし、天候が変わることもあるので、当たり前のことを90分やり通せるかが大事です。
選手たちは本当にそこに向かってくれているので、その高い目標に対してパワーとエネルギーを注ぎ、一番ベースとなるところを徹底することを毎試合続けられたらと思います。
そこをブレずにやっていきたいです。

岐阜戦後のチームの様子

次に向かって選手たちは切り替えてくれています。
過去のことをずるずる引きずってもしょうがないですし、我々がやることはしっかり次のゲームに勝つことです。
そこに対してどう向き合っていくかが大事です。
もちろん受け止めるところはしっかり試合の日に受け止めて、次の試合で連敗しないように、連勝は難しいので次の1試合を勝つことが大事です。
それが連勝になることだと思うので、まず一戦一戦、自分たちのサッカーができるかを、成長させながらすることが第一です。
選手たちは目線を前に向けてくれているので、そこはチームのいい雰囲気を作ってくれているのと同時に、1人1人責任感と使命感があるということを今日のトレーニングで感じました。

Y.S.C.C.横浜について

しっかりブロックしてきますが、どんな相手にもスペースと守れないゾーン、エリアのポケットはあります。
そこにどれだけ早いタイミングで、自分たちが優位なタイミングで行けるかが大事です。
またサイドの選手たちも出てくるので、間延びして奪われた時に、どれだけ人数をかけられるか、ショートカウンターを止められるかだと思います。
そこをしっかり注意して、自分たちができる準備をしたいと思います。

有田光希 選手コメント(6月15日の共同記者会見より)

今日の練習は前節の岐阜戦に負けたあとでしたが、サポーターも見に来てくれる中で、いい雰囲気で取り組めたと思います。
次の試合も相手どうこうというより、自分たちのやりたいサッカーをできるよう臨んで行きたいと思っています。

KONAMI月間MVPの受賞理由について

受賞理由も見ました。
鹿児島の巨砲というのを、最初はぶどう(巨峰)かと思いました笑。
あまり他の人からの評価を文で見ることがなかったので、そういうふうに見てもらって評価してもらえることがうれしかったです。
またデータのところでキープ率が高いことが、チームのためにプレーできていることを自分で見て分かったので嬉しかったです。

はじめての個人賞について

チームとしては神戸時代にJ2からJ1昇格はありますが、正直試合に絡んでいないシーズンだったので実感はありませんでした。
今シーズンのように試合に出させてもらいながら、結果を出せている中で受賞したのがプロになってからは初めてでした。

2回目の受賞に向けて

2回目の賞を取れるようにゴール、アシストでサポーターに喜んでもらいます。

岐阜戦でうまくいかなかったところ

相手がJ2っぽいというか、やっているサッカーが上のカテゴリーっぽいところがありました。
内容でも負けているとは思いませんが、守りを固められる時にどうするか、相手がボールを保持している時にどうするか、チームとして前半意思統一できず、うまくまとまれませんでした。
後半はある程度自分たちペースでしたが、そこで何回かあった決定機を決められず、相手は決められた、そこは質の差だと思うのでチーム全体でその差を埋めていきたいです。
前半に関して言えば、自分たちがうまくいかなかったのは、相手が割り切ったサッカーをしてきたことが大きいです。
風の影響もありましたが、向こうはシンプルにセカンドボールを拾って裏を狙うことを徹底して、自分たちが後手に回ったのは事実です。
そういう割り切り方とか、選手の特徴を活かすことは向こうのほうが上だと思いました。

事前の想定と違うときの対処について

僕たちも当然やりたいサッカーはありますが、いろいろな条件でできない時もあります。
そういうときでも勝ち切る力は大事だと思いますし、ここまで戦った中でそういう試合、勝ち切れた試合もありました。
一試合一試合、どんな状況でも勝ちを目指すことは変わりません。
内容はもちろんですが、それ以上に結果を求めたいということは強く思いました。

星広太 選手コメント(6月15日の共同記者会見より)

岐阜戦に関しては不甲斐ない結果になってしまいましたし、個人としても決定機を外したり、最後相手のシュートに寄せきれなかったりと反省する部分が多かったです。
それでも、引きずりすぎず、反省するところは反省して、次に活かしていけるようにとやっています。
次のY.S.C.C.横浜戦ですが、負けたあとの次の試合はすごく大事になってくるので、チームとしても個人としてもいい準備をして挑めたらと思います。

出場していない期間に感じたこと

外から見ていて、チームの雰囲気は良かったですし、状態も良かったので、そこにうまく入れればと思っていました。
岐阜戦の結果は良くなかったですが、決定機を決めていればとか、タラレバになりますが、そういうシーンもたくさん作れていたので、あまり下を向かずにやっていければと思います。

同じポジションで出ている渡邉英祐選手について

もちろん競争はありますが、焦ってもそんなに良いことはないので、まずは自分のやれるプレーをやって、どれだけチームに貢献できるかが大事だと思います。
他にいいサイドバックもいますが、良いところを盗んで、お互いに切磋琢磨できればと思います。
英祐は英祐で対人の強さなどに良さがあって、そこは見習わないといけないところです。
一方で自分のストロングもあり、そこはまた英祐と違うところなので、そういうところでチームに貢献できればと思ってプレーしています。

自身が思う長所について

自分は攻撃に特徴があるタイプで、ポジション関係なくゴールに絡めるところが自分のストロングだと思っています。
あとは運動量だったり、そういうところかと思います。

試合感覚について

ほぼ2ヶ月ぶりのスタメン出場でも、そんなに試合勘がなくなっているとかは思いませんでした。
ただ試合に入るとちょっとしたズレとかはありました。
そこはもっとコンディションを上げなければならないと思いました。

Y.S.C.C.横浜戦について

相手云々より自分たちのサッカーをすることが大事です。
相手が何位とかはあまり気にしていないです。

前回までの振り返り~勝っても負けても大切なのは次の試合に勝つこと~

6月4日土曜日、ホームゲーム前夜に木村祐志がTwitterとInstagramに投稿した。

「5試合終わって振り返ったのが前回で、10試合と区切りもいいので、振り返ってみたらホームで負けていないですし、それはサポーターの方々のおかげです。その後のことは自分に言い聞かせました。良い時を続けるのは難しく、途切れるのは一瞬ですから(木村祐志)」
移籍1年目にしてリーグ戦全試合でスタメン出場を続ける最年長ボランチからの発信は、多くのユナイテッドサポーターの心に響いていた。

6月1日に天皇杯2回戦をアウェイ長崎で戦った後の6月5日、今シーズン初めて、ホーム鴨池が雨、大雨に見舞われる中で迎えたアスルクラロ沼津戦。
しかし選手たちはむしろピッチコンディションの良さを感じていた。
「ここのピッチはそんなに水たまりができるわけでなく、自分たちにとってはパススピードが落ちないというプラスな気持ちでプレーしていましたし、ネガティブにはなりませんでした(五領淳樹)」
「あれだけ降ってもほとんど水たまりができていなかったので、グラウンドキーパーに感謝です。雨は、ボールが走るので個人的にはやりやすいです(木村祐志)」

鹿児島は自分たちのやるべきサッカーを序盤から展開する。
8分、中盤でボールを奪った有田光希が左へ走る米澤令衣へスルーパス。そのまま米澤が左足で打ったシュートは枠を外れるが、鹿児島ペースを印象づける。
13分、右中のスペースに入った五領から右外の渡邉、さらに一旦ボランチの木村に戻すと、木村はダイレクトで前の五領へ、ペナルティエリア内に侵入した五領は右足でゴール前にボールを送る。
ニアサイドで有田が合わせるが、わずかにポストの外側を通り抜けて頭を抱える。
14分、右サイドの展開からペナルティエリア内でシュートを打たれるが、コースを読んでいた白坂が右手で弾いてコーナーキックに逃れる。

17分、岡本將成が、薩川淳貴が空けたエリアを利用して下がってきた米澤へ、米澤がダイレクトで前方へ浮かせたボールを有田が収める。
後方からロメロがボールをさわるような雰囲気を匂わせながらもボールをまたぎ、左外へ走り抜ける。
沼津守備陣がロメロのケアに動いて空いたコースへ、有田はペナルティエリアの外から右足を振り抜き、沼津ゴールを破って先制!

「ロングボールに抜けたあとに、フランクがいい感じに斜めに走ってくれたので、あとは空いているコースに蹴り込むだけでした(有田光希)」
祝福に駆け寄るチームメイトを手で制した有田は「ボディービルダーちゃいまんねん、両手磁石やねん」のギャグを放り込む。
今ではすっかり中原秀人の持ちネタとして定着した、筋肉芸人のネタに「それ秀人のだろ!」のツッコミが周囲から入る。

大嶽監督はテクニカルエリアで微笑みながら拍手を贈り、スタッフと喜びを分かち合う。
「本当はあそこまで行って喜びたいんだけど、それやっちゃうと警告が出ちゃうから笑」

沼津も負けじと攻め寄せる。
44分、高い位置で岡本のパスを奪った沼津の選手たちが一挙に前線へ駆ける。
一本目のシュートは広瀬健太がブロック、こぼれ球を再び拾われまたもシュートを打たれる。
それを膝に当てて防いだのは、全力で戻ってきた木村だった。
「やばいと思いましたけど、とりあえずその前に時間をかけてくれたのでコースだけ防いでという感じでした。その前のコーナーでもカウンターに行こうとして、でも後ろ向きのプレーが続いていたので、あそこは(結果としてパスを奪われた岡本)將成だけでなくチームとして考えないといけない場面でした(木村祐志)」

前半33分にロメロが、ハーフタイムに有田が下がり、変わってトップ下に圓道将良とトップに山本駿亮が入り、後半を迎える。
後半、鹿児島は右サイドの五領を中心にチャンスを作る。
「自分たちの左サイド側でボールが止まることは認識していたので、できるだけそっちに行くのではなく右側から攻めようと話をしていていました(広瀬健太)」

61分、中原のスルーパスを受けた五領からペナルティエリア内に走り込んだ山本へパスが通るがゴールには至らない。
82分、圓道が突破して五領へとパスを送り、五領はじっくりと相手との間合いをうかがいながらミドルシュートを打つ。
後半のスコアは1-0から動かず、鹿児島は選手を変えないまま戦い続ける。

「今週は連戦でしたので、できるだけ(水曜日の天皇杯2回戦に出場せず、今日スタメン出場した選手たちを)長い時間プレーさせたかったです。ただ守備の時間が長かったのですが、集中力を保てていること、そこを耐えていることと、リズムが良かったです。また1-0という状況のなかで、守備において選手たちはそこをしっかりやる準備をしていることが見えたので、変えるタイミングがありませんでした(大嶽直人監督)」
大雨の中でもしっかりと集中し、戦い抜き、1点のリードを保って勝ち点3を加えた。

試合を楽にする追加点を奪えなかった課題を感じつつも、選手たちは、大雨の中でも応援してくれるサポーターに勝利の喜びを届けられた充足感を得ていた。
「あれだけ雨が降った中で、屋根のないところで応援してくださる方がたくさんいたので、その姿を見ているだけでがんばれました(木村祐志)」
「目の前の一試合をやる、連勝はその結果です。目の前の一試合一試合を大切に戦いたいです。まだホームで今年負けていないことはアドバンテージだし、みなさんにとって嬉しい結果になっているので、アウェイでもいい結果を持ち帰って、またホームで皆さんと喜び合いたいです(有田光希)」
結果としての4連勝。
「メンタルのタフさを身につけて、我々にとってひと段階上に行く準備だと思います。そのためにも次のゲームで結果を出していきたいです(大嶽直人監督)」
大雨の中でも変わらず勝利の「祝杯はさつま島美人で!」の乾杯とともに、目線は次のFC岐阜戦へと向かっていた。

6月12日、8,000名近い観客が足を運び、華やいだ雰囲気で行われたアウェイ、FC岐阜戦。
前日は雷雨、そしてこの日も猛暑だったが、そのまま暑さはスタジアムの熱さと転化していた。
開始直後から正確なロングボールと、セカンドボール奪取から岐阜が好機を作る。
6分、10分とロングシュートを打たれる。
さらに23分、27分と代表経験のある宇賀神、柏木も相次いで鹿児島ゴールを襲うシュートを打つ。

「自分たちが高いラインのところを突けなかったところと、風の影響もあったのか、そこが弱気というか受け身になった部分です。裏返して相手の奥に自分たちが前向きに前進できなかったことの差だと思います。もっとプレスをかけに行きたかったのですが、広い3バックに対して行き切るには前と後ろが間延びしてしまい、間を突かれました(大嶽直人監督)」
ボール保持では鹿児島が上回っているが、岐阜が狙い通りの展開が続く。
苦しい中でも鹿児島もロメロのボールキープなど、持ち味を生かしてチャンスを作る。
46分、有田のスルーパスを、岐阜3バックの左外側で受けた米澤が得意の形からシュートを打つが、GKに防がれる。

後半は頭からロメロ、スタメン復帰した星広太、有田と相次いでチャンスを作る。
しかし61分、岐阜のロングスローからペナルティエリア内での競り合いになる。鹿児島がヘディングでクリアをするが拾われ、再びゴール前に送られたボールがこぼれたところを、ダイレクトで決められて均衡が破れる。

鹿児島は攻勢を強める。
65分、広瀬がゴール前へ送ったロングボールを有田が収めて、ゴール前へ送ったボールに、右サイドから入り込んでいた星が合わせるが、惜しくも決まらない。
70分、岡本から左サイドの薩川へ、薩川が一気に縦へ縦へと持ち上がり、ロメロへパス。
ロメロは競り合いながらも懸命にボールを残し、米澤がペナルティエリア左側へボールを送る。
そのまま走り込んできた薩川がゴール前に強いボールを入れ、岐阜選手に当たってそのままゴールに刺さり同点。

「常にゴールに向かうランニングというのは、そこが強みだと思うので意識してやっています。あのシーンは(米澤)令衣くんからいいワンタッチでいいフリックがきたので、中で何人か選手が飛び込んでくるのは見えたので、シュート性のクロスをあげて誰かに当たって入ればいいかなと思った結果が相手DFに当たっていいコースに行ってよかったです(薩川淳貴)」
どちらが追加点を奪ってもおかしくない、熱気がスタジアムを包む。
80分、中盤でパスをさらった山本が中央から持ち上がり、左側を走る圓道へスルーパス。
相手と競いながらするすると抜け出た圓道は、GKとの1対1になるがシュートは足に遮られる。

83分、岐阜はパス交換から右サイドへ展開し、ファーサイドへのクロスボールをダイレクトに打って鹿児島を突き放す。
84分、鹿児島は広瀬のパスを右外の五領がダイレクトで前へ送り、五領の内側を星が抜け出てゴール前に入れたボールを、フランクが打つと見せかけて山本が収める。
山本は右足で打つが決まらない。

1-2のままタイムアップを迎えた。
岐阜が歓喜する中、悔しさを抱きつつ、鹿児島の選手たちは次に向かっていた。
「すぐに試合は来るので、次の試合に向けて切り替えようと、また今日あったことをしっかり反省して、次の試合に勝てるようにみんなで話をしました(ロメロ フランク)」
「負けて悔しいです。先程チームでも話しましたが、すでに次に向かって準備が始まっているので、切り替えてY.S.C.C.横浜戦に向けてやっていくというのをチーム全体で共有しました(薩川淳貴)」

指揮官、大嶽監督も前だけを見ている。
「やっていることは間違っていませんし、責任は自分たちにあります。選手たちのプレーは次につながると感じました(大嶽直人監督)」
岐阜まで応援に来てくれたサポーターも悔しさとともに、選手たちをねぎらい、鼓舞している。

週半ば、5月のJ3優秀監督賞に大嶽監督が選ばれ、KONAMI月間MVPを有田が受賞するうれしいニュースが届いた。
ここまで積み上げてきたものを信じつつ、さらに1日1日上積みしながらしながら、課題を修正しながら戦い続ける。
今週はY.S.C.C.横浜戦。
選手、スタッフ、サポーター、みんながONE TEAMになって戦い、このONE GAMEを獲る。

コラムOneTeam,OneGame vol.02:喜び入るまちのユナイテッドサポーターの推し事

喜入に生まれ、喜入に住む「てる坊ちゃん」。
顔が広いお父さんの存在もあり、あちこちに知り合いがいる町で自営業をしています。
鹿児島市役所喜入支所に赴任してきた喜入出身者は中学校の先輩、あそこには親戚、あそこには幼馴染、役場近くのお婆ちゃん家の近所に住む幼子はいつも人見知りしまくり、そんな環境です。
ちなみに呼び名の由来は、、、鴨池の大敵「雨」対策でてるてる坊主を作って配ってをしていたから?っぽいです。
彼女は10年前から知り合いを通じて、ヴォルカ鹿児島とFC KAGOSHIMAが競っていた地域リーグ時代からチームの存在は認識していましたが、本格的に縁ができたのはユナイテッドが発足してからのことでした。
友人に誘われてスタジアムに足を運び、友人に言われるがまま背番号26をつけた谷口功を重点的に応援し、、、気がつけばすっかりサッカーの魅力にハマりました。

試合を観に行くだけでなく、当時は選手たちがコーチ役として運営していた「大人のサッカースクール」にも参加してみることになります。
そこで待っていたのが「少女漫画のような」と本人が苦笑いする出会いでした。
他の選手コーチがやさしくボールの蹴り方から教えてくれるなか「右行って」「後ろ!」とビシバシ厳しく指示を出す選手が約1名。
「この人無理だwww」ではあったけれど、イベント全体としては楽しく終わったのでした。
それからしばらくたって迎えた次のホームゲーム、普通に会場で見かけたその選手は彼女に気づくとやさしく微笑みかけてくれたのです。
友達が推していた谷口功ではなく、もうちょっと背番号の大きいその選手が「推し」になった瞬間でした。

サッカーの応援を通じてたくさんの仲間ができて、仲間たちもそれぞれに推しの選手がいて、競い合うでもなく、ともに「推し事」に励む。
背番号と名前の入ったユニフォームを購入したり、個人グッズをそろえたり、ゲートフラッグや横断幕をスタンドに掲げる。
バスで会場入りする時からチャントと鳴り物で推しと仲間たちを鼓舞して、試合になったらゴール裏や大旗エリアで応援して、推しの活躍に歓喜する、試合が終わったらバスに乗る前に声をかけていっしょに写真を撮ってもらったりもする。
スマホをあずかってシャッターを押すのが別の選手という不可思議な状況に陥ることもあった笑。

それはコロナ禍の今では考えられない光景です。
ただ、他の選手と比べても「推し」は田上裕、谷口功、五領淳樹といったご陽気な面々に比べて、というわけではないけれど、どこかで一線を引いているのが感じられました。
それでも推しがファンを大切にする人間であることは誰もが分かっていたし(そうでなければゴールした後にエキサイティングシートに座るお客さん全員とハイタッチしたりしない)、元気にサッカーをしていて、鹿児島のためにがんばってくれている。
大人な彼女は、推しのプロサッカー選手としてのあり方をそのまま受け入れて、推し続けるのです。

ちなみに推しとは別の形で衝撃的だったのは、お婆ちゃん家の近所のいつも人見知りしていた幼子が大人になり、ユナイテッドに欠かせぬFWとして活躍していたこと。
そのFWの名前は山田裕也。
もっとも大人になったと言っても外見は派手で、中身はあいも変わらぬ人見知りな性格のままではありましたが、喜入が生んだユナイテッドの選手もまた大切な存在ではありました。

しかし選手は永遠にプレーするわけではなく、シーズンが終わると退団する選手、引退する選手が出てきます。
推しが移籍したり引退することで、次の所属チームの試合まで足を運ぶ人、ユナイテッド内で別の推し選手を見出していく人、少しずつユナイテッド以外のサッカー以外の人生の楽しみを見出していく人、それぞれ。
何が正しいとかではなく、その人その人の人生です。
応援仲間のそんな姿を見てきた彼女の推しも、契約満了そして現役引退となりました。

線を引いたなかにも人間的な温かみがにじみ出ている推しには男女を問わずたくさんのファンがいて、シーズン終了後のファン感謝祭では自分たちなりにサッカー選手としての足跡をたたえ、現役生活をねぎらうことができて、そして彼女なりに推し生活にひとつの区切りが打たれたのでした。
これから自分もユナイテッドから離れていくのかな。
そんなことを思っていました。
が、しかし。
年が明けると応援仲間たちからはいつも通りに連絡が来ます。
新しく加入する選手のためのチャントを考えよう。
ゲーフラや横断幕を作るための素材を準備しないといけない、場所も抑えないといけない。
新シーズンに向けての準備、タスクは何も変わらずやってきて、何も変わらず忙しい日々が続いていきました。
そして2020シーズン、もうひとつ新しい関わりが生まれました。

鹿児島ユナイテッドFCの新しい専用練習場が喜入にできるらしい。
そんな噂が聞こえるようになり、その噂はどんどん現実味を増し、クラブからの住民説明会という形で正式にアナウンスされることとなりました。
嬉しさはありつつも「こんなところで大丈夫かな? 申し訳ないな」が彼女の偽らざる想いでした。
市街地から平川まで朝は渋滞しがちで、平川からは一車線でアクセス良好とは言い難い。
町がサッカーで盛り上がるイメージもない。
実は彼女は喜入とユナイテッド絡みでちょっと残念な思い出がありました。

それは山田裕也がユナイテッドの得点源として君臨していた頃のことで、てる坊ちゃんは喜入支所に何度も垂れ幕を支所に掲げるとかできないか要望していました。
「そこの家で生まれ育った子が、今、ユナイテッドの選手として活躍しているんですよ」
その熱意が通ることはありませんでした。
ひょっとしたら瀬々串、中名、喜入、前之浜、生見、一倉の6地域からなる揖宿郡喜入町というひとつの町から、鹿児島市へと市町村合併していたことで「喜入」が薄れてしまっていた部分はあったのかもしれません。

しかしユナイテッドの練習グラウンド用地の草ぼうぼうな有様が整えられ、少しずつグラウンドらしい姿になっていき、喜入の各所にはユナイテッドののぼりがあちこちで見られるようになり、喜入にユナイテッドが来る感が少しずつ出てきました。
30年以上の時を経てすっかり風貌が変わった中学校の先輩たちは、喜入瀬々串町、喜入中名町、喜入町、喜入前之浜町、喜入生見町、喜入一倉町とそれぞれに「喜入」がつく6つの地域を、ユナイテッドを通じて活性化しようと情熱を燃やしています。
そして2021年10月から、鹿児島ユナイテッドFCは喜入で日々のトレーニングをするようになりました。

2021シーズンの最終戦では喜入公民館でパブリックビューイングが行われ、田上応援リーダー、水本勝成&谷口功副リーダーも訪れ、少しでもスタジアムの臨場感を喜入の人たちに味わってもらおうと、てる坊ちゃんは応援仲間を集めて鳴り物で雰囲気を演出してくれました。

年が明けると喜入中名町で焼酎用サツマイモ栽培がはじまり、監督や選手たちが海岸の清掃活動を行ったり、てる坊ちゃんの出身である喜入生見町にゆかりのある牛之濵拓が生見PR大使となり、田上応援リーダーは喜入のあちこちで子どもたちと接していて、とそういう機会も作られています。

喜入名産スイートコーンの差し入れに対してクラブや選手たちがSNSで発信して、6月5日のホームゲーム会場で販売された際には大雨の中にもかかわらず多くの方が購入し、ユナイテッドの存在感を感じました。

そういったこともありつつ、喜入が「ユナイテッドの町」になるまでにはまだまだ長い時間がかかることでしょう。
コロナ禍ゆえになかなか喜入の人たちが気軽に練習場「ユニータ」に足を運んで練習を見たり、選手たちと接する機会はなかなか作ることができていません。
サポーターに対してもそれは同様です。
色々と思うことはあるでしょうが、大人としてそれぞれの状況を斟酌しながら見守ってくれている彼女は、数少ない要望として「喜入でももっと若い人を取り込んで欲しい」と、中学生高校生年代を一例にオーダーしてくれました。

地元とユナイテッドのことも気にかけつつ、てる坊ちゃんは今もスタジアムに通います。
引退した推しは今もクラブに残り、相変わらず一線を引いた対応のままですが、その姿を見ることができます。
代わりになる推し選手はおらず、今はチーム全体つまり「箱推し」です。
今シーズンは若い選手の台頭に期待して背番号18。
バックスタンド南端のエリアは、サッカーを観戦するには適さないエリアと言いつつ、そこから離れてメインスタンドとかに移動することは考えていません。

彼女は6月18日のY.S.C.C.横浜戦でも鴨池に足を運んでくれることでしょう。
一つだけ場違いな願いがあるとすれば、彼女が心を込めて作ってくれるてるてる坊主たちががんばり、梅雨時の鴨池の屋根のないスタンドで応援してくれている人たちが、少しでも雨に打たれることなく試合を楽しんでくれることです。
そして喜入にユナイテッドが来て良かった、と彼女はもちろん喜入の方々も心の底から思えるような未来を、これからユナイテッドは育むために尽くしていかなければなりません。
もうひとつ彼女が長い長い時間がかかることは承知の上で願ったのはユニータで練習する育成組織アカデミーの中からも有望な選手「喜入で育った選手」が輩出されること。
長い長い話です。
喜び入るまちとユナイテッドの物語はまだ始まったばかりです。

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