DAZNに入会+ユナイテッドFCの試合を視聴してクラブを応援しよう!

試合情報

  1. ホーム
  2. お知らせ
  3. 【8月28日マッチデープログラム】 KUFC MATCHDAY PROGRAM 2022 vol.11
2022.08.27 試合情報

【8月28日マッチデープログラム】 KUFC MATCHDAY PROGRAM 2022 vol.11

鹿児島ユナイテッドFCのマッチデープログラム電子版。
今回は8月28日に行われる2022明治安田生命J3リーグ第22節、鹿児島ユナイテッドFC vs FC今治 のマッチデープログラムです。

日程表・順位表・テキスト速報

前回までの振り返り~~

8月14日(日)2022明治安田生命J3リーグ第20節
vs 松本山雅FC(白波スタジアム)

2週間ぶりの公式戦、約1ヶ月ぶりのホームゲームとなる8月14日の松本山雅FC戦。
選手たちがアップのためにピッチに足を踏み入れた時、そこには「声」があった。
コロナ禍により2020シーズンに入ってからサポーターは感染症対策のため、拍手、手拍子、鳴りものを通して応援してきた。
そうやってクラブ内外が一致協力して「安心安全のスタジアム」を実証し続けることで、この試合が「声出し応援運営検証試合」となり、エリアを限定して声を出しての応援を実施することが許された。
サポーターは約1000日ぶりに、ユナイテッドへの想いを声で表現し、その想いは選手にも届いていた。

「自分が入団した時にコロナ禍で声出し応援を経験していなかったので、アップの時にすごいなって思いましたし、ピッチに立って活躍したいと思っていました(木出雄斗)」
「僕自身プロ1年目がコロナ禍のスタートで、声出し応援が初めてで、アップの時からすごく涙が出そうなくらい感動しましたし、これがサッカーの素晴らしさなのだなと感じました(薩川淳貴)」
「やっぱりいつもハリセンですごく手拍子でやってくれているのですが、声出し応援は別格でアップの時から鳥肌が立ちました。(広瀬健太)」
アウェイ松本のサポーターも大声援を送る。

巨大な熱量に包まれて始まったゲームは熱量に押されるように早々と動きを見せる。
7分、五領淳樹が蹴ったコーナーキックが一度こぼれたところを左サイドから薩川がもう一度ゴール前に高いボールを入れる。
そこで競り勝ったのは、期限付き移籍で加入したばかりのセンターバック小野寺健也。
「まだ今週鹿児島に来たばかりなのですが、こういう大一番を迎えた中で、自分としてもこの試合のために来ましたし、ここから鹿児島が勝つために来たので、自分としては気持ちを入れて入りました(小野寺健也)」
小野寺が頭で落としたボールを、まさにそこに走り込んでいたキャプテン広瀬健太がボレーで合わせて先制する。
「薩川選手がクロスを上げて、小野寺選手のところに行った瞬間に競り勝つと思ったので、飛び込んだらボールが来たので押し込むだけでした。彼もすごくリーダーシップを取ってくれて対人に強いので、心強いです(広瀬健太)」

22分、中盤でボールをつなぎ、薩川、ロメロ フランク、牛之濵拓とつなぎゴール前の有田へ送られたパスを有田が軽くうしろへ流す。
そこへ待っていた右サイドバック星広太が、トラップからの反転シュートを放つがGKにセーブされる。
35分、左タッチライン付近で薩川がボールを持つと、一気に牛之濵、ロメロ、有田が加速し松本守備陣の背後を狙う。
薩川が入れたボールを有田は松本DFと競りながらくるりとターン。
ボールは足元に、相手の守備を外す。
そのまま足元のボールを右足のトーキックで、GKでタイミングを外して追加点を奪う。

「自分たちがゲームを支配することと、相手のウィークになるスペースを突くことで、そこはビルドアップできました。セカンドボールに対してもしっかりと行くところと、行けなければ一度下がってブロックを作りながらボールを取るというところで、しっかりと状況を見ながらできました。今日は相手の深いところまでえぐる場面が多くて、入りそうなシーンが数多くあったことが良かったと思います(大嶽直人監督)」

しかし、一方的な鹿児島の試合にはならない。
前半終了間際、2019シーズンに鹿児島で活躍した松本FWルカオが強靭なフィジカルでボールをキープして、ゴール前に送られたボールからのシュートは、鹿児島守備陣とGK白坂楓馬の反応でも防ぎきれず1点を返されてハーフタイムになる。
49分、左サイドから鹿児島ゴール前に上げられたボールをルカオがヘディングで合わせて2-2の同点に追いつかれる。
ルカオは海外でよく見られる「古巣相手のゴールは喜ばない」ことで敬意を示し、粛々とボールを拾う。
ともにJ3優勝J2昇格を狙う上位対決は行方が読めない。

66分、左サイドで組み立てロメロ、木村、薩川、木村とつなぎ、木村がゴール前に入れたボールをニアに走り込んだ有田がヘディングで合わせるがGKが弾き出す。
70分、右サイドバックの星広太から渡邉英祐、右サイドハーフの五領淳樹に代わり、サイドバックを本職とする木出雄斗が送り込まれる。
「出ていた選手が悪いわけではありませんでしたが、ベンチにもパフォーマンスがいい選手たちがいます。タイミングはもう少し早くても良かったと思いますが、2-2になっても選手たちは慌てていませんでしたし、しっかりとゲームコントロールしながら焦らず自分たちのスイッチを入れられました(大嶽直人監督)」

74分、右サイドからボールを受けたロメロがすばやく打ったシュートは、わずかにゴール左へ外れる。
スタンドの一角から巨大な声援、スタジアム中からの応援が鴨池の夜空に響く。
選手もスタッフもサポーターも、誰もが最後まで勝ちを目指して戦っている。

87分、中原秀人から前線の山本駿亮へするどい縦パスが入る。
山本が右へ送ったボールを木出雄斗が受けようとするタイミングで、渡邉英祐がボールを受けて決定的な仕事ができるよう中を追い越してペナルティエリア内に走り込む。

相手の守備が渡邉に意識を持っていかれた瞬間、木出はそのままドリブルでボールを運ぶと、左足でグラウンダーのシュートを打つ。
ボールはGKの手を超え、ゴールネットに吸い込まれる。
スタジアムが爆発するような歓声に包まれる。

「英祐が中に抜けてくれたので使おうかなと思ったのですが、マークされたのでカットインして、カットインした時にコースが空いたので、左足は得意ではないのですが、思い切り振ったら入りました。入った瞬間は頭が真っ白になって、とにかくベンチの方に走っていました。本当に自分もなかなか試合に出られない時に、チームメイトから声かけられて助けてもらえたのでチームに恩返しできて良かったです。あのゴールもチームメイトやファンの皆さんが後押ししてくれたことで、入ったゴールだと思います(木出雄斗)」

90分、なおも鹿児島は松本陣内でプレッシャーをかけ続け、ペナルティエリア内でのハンドからPKを獲得する。
これを山本駿亮が冷静に決めて勝利を決定づける4点目を奪う。

そして試合終了。
上位直接対決を制した。
「勝てたのは素直に嬉しいですし、初めての声出し応援で勝てたのが、やっぱりサポーターのおかげだと思います。あの苦しい時間で最後パワーを出せたので、ファンサポーターの力がすべてでした(広瀬健太)」
「サポーターの声援は最高でした。心が熱くなるというか、選手たちもボルテージが一番いい緊張感、プレッシャーでできました。幸せに思いますし、選手たちが誇りを持ってやってくれたと思います。この勢いをなんとか止めずに行きたいです。自分たちのパフォーマンスとチーム力を維持して、できるだけこの勝ち点3を無駄にしないために、もう1回しっかりと引き締めて、できなかったことは受け止めて、そこは見直してやっていって、ひとつひとつ次の試合に向けて準備したいです(大嶽直人監督)」
次は1週間後、ここまでのホームゲームで唯一の敗戦を喫したSC相模原を相手にアウェイでのリベンジマッチが待っている。

8月28日(日)2022明治安田生命J3リーグ第22節
vs SC相模原(相模原ギオンスタジアム)

首都圏である相模原市で行われたアウェイSC相模原戦。
今回も多くの鹿児島サポーターが応援に駆けつけていた。
「サポーターがたくさん来てくれていて、ありがたかったです。そして最近連勝があまりなかったので連勝しなければいけないという思い、そして前回はホームで負けた相手だったので2回は負けられないという気持ちでした(有田光希)」
「みんなホームで負けた相模原戦で悔しい思いが残っていたので、サポーターもいっしょに戦ってくれましたし、絶対に勝たなければならない試合でした(牛之濵拓)」

序盤、相模原は積極的に鹿児島ゴールに向かうが、徐々に鹿児島がボールを握ってチャンスを作る。
4分、左サイドで小野寺健也、薩川淳貴、中原秀人、薩川、牛之濵、中原、ロメロ フランクとつなぎ、木村祐志が打ったミドルシュートはバーを直撃する。
16分、自陣から前進しようとする相模原からロメロがボールを奪い取り、右サイドの五領淳樹へ。
五領が右足でゴール前へ入れたクロスを、ニアサイドで足を伸ばした有田光希が合わせるが、GKが身体で止める。

21分、またも五領から今度は右サイドへ流れた木村がフリーで受けてゴール前へ。
こぼれたボールをつないで中原がミドルシュートを打つがGKに防がれる。
鹿児島は左サイドバックの薩川と、古巣戦となった右サイドバック星広太がどんどん前線の選手に絡んで、ボールを支配し、攻め続ける。

「2年間お世話になったクラブなので懐かしさもありましたが、試合が始まってしまえば鹿児島のためにというそれだけを考えてプレーしました。このスタジアムではやりなれているし、芝生がいいのでやりやすかったです(星広太)」
35分、左サイドの遠いところから薩川が大きくゴール前へ入れたクロスボールを、相手守備を外した有田が頭で合わせるが枠の上を超えて頭を抱える。
後半も守備を固める相模原に対して、鹿児島がチャンスを作り続ける。
「守備を固められてもブレずにやり続けなければいけません。後は監督からも言われていますが、より深いところを攻める、えぐる、もうひと工夫を意識して、質も量も増やせば確率は上がるので回数を増やすことが大事です(星広太)」

49分、薩川のクロスが正確に有田に合うがヘディングは外れて、グラウンドに倒れ込む。
52分、五領が左足で入れたコーナーキックを、巧みな動きで合わせたロメロのヘディングも枠を外れる。
61分、左サイドで牛之濵がボールをキープして中央のロメロへつなぐ。
ロメロが相模原ゴールへ向かってドリブルを開始した段階で相模原の守備は3人。
鹿児島は有田が1人で守備網の穴を作ろうと、かけひきをしながら左側へ走る。
「フランクくんが持った時に1回相手の右のセンターバックがプレッシャーをかけにいったので、その出たスペースを狙おうと思って斜めに走りました(有田光希)」
ロメロが交差するように右へ持ち上がると、相模原DFがロメロと、さらに右サイドを駆け上がってきた五領を止めようと動く。

ロメロは唐突に、左側でフリーになっていた有田へスルーパスを送る。
「自分がフリーというのはわかっていたので、もう一度ポジションを取り直したところ、フランクくんがそこを見てくれてひねった形でパスを出してくれました(有田光希)」
ボールを受けた有田が打ったシュートは、それでもすばやく身体を投げ出していた相模原DFに当たってコースが変わり、ゴールが決まる。
「シュートは相手に当たりましたが、執念で気持ちで決まったゴールだと思います。正直そこまでめちゃめちゃ外していたので、今日は俺の日じゃない、入らない日かなって思っていたんで良かったです(有田光希)」
有田は陸上トラックに挟まれたゴール裏で応援するサポーターのもとへと駆け寄る。

そして中原秀人とともにその週のTwitterでバズった「#鹿児島しか勝たん」のポーズでゴール裏と、そしてDAZNで観戦しているファンにさらなる楽しみを届ける。
67分、五領が右サイドから入れたクロスを、ファーサイドで受けた牛之濵のシュートはGKとポストに遮られる。
72分、右サイドの星から中原秀人を経由して、反対のサイドバック薩川が打った強烈なミドルシュートがゴールに刺さるが、弾道の近くにいた牛之濵がオフサイドを取られてノーゴール。
それでも鹿児島は慌てることなくボールを動かしながらゲームを支配して、相模原にチャンスを作らせない。

90分、長崎県出身ながら鹿屋市で10年を過ごし鹿屋体育大学から特別強化指定選手、そして来季加入が内定している山口卓己がピッチに送り込まれる。
「自分の中ではもう少しやれると思いましたがプロの強度や質は今までとは比べ物にならず、自分たちが緊張していたこともあり、ボールに関われなかったので課題としていい経験になりました(山口卓己)」
97分、相模原GKも上がってきてのセットプレーを跳ね返し、牛之濵が最後まで衰えない脚力でボールを持ち上がる。
懸命に戻るGKより先を走り、ボールを受けた星が無人のゴールに向けて蹴ったボールはわずかにゴールを外れたところで試合終了のホイッスル。
2試合続けての勝ち点3を獲得して、サポーターと「祝杯はさつま島美人で」の乾杯で歓喜をともにした。

「調子いい時は勢いがあってまとまっているものです。しかし、ひとつ負けた時も下がっていくこともあるのですが、今年は経験ある選手がいて、次に切り替えて崩れずに戦えています。その経験が連敗せずに勝点を拾っていけている要因で、チームの雰囲気の良さになっています。負けて落ち込みすぎることもなく、勝って浮かれ過ぎることもなく、次の試合に迎えています(牛之濵拓)」

今週第22節はFC今治をホームに迎える。
残り13試合、暫定2位という状況。
「残り試合が少なくなってきて、どうしても順位とか先のことを考える時期になります。ここまで一戦一戦目の前の試合を積み重ねてやってきたので、そこは変わらずにやっていって、最終的にみんなで喜べる結果がついてくるようにしたいと思います(有田光希)」

選手たちはまず次の試合を勝つことだけを考えている。
その積み重ねでしかJ3優勝J2昇格は成し遂げられないことを知っている。
「一個一個勝っていくことでしかいけないのは、J2に上がった経験で分かっています。あの時も苦しい試合をギリギリで勝ったり引き分けることで、昇格に近づいていきました(牛之濵拓)」

FC今治戦というONE GAMEを、選手もスタッフもサポーターもONE TEAMになって戦う。
ついに鹿児島が取り戻したサポーターの声援と、これまでの日々を支えてきた変わらない情熱とともに。

コラムOneTeam,OneGame vol.06
エンブレムを描いたデザイナーが大切にする「人と人とのつながり」

「何を忘れてもいけない。その想いでエンブレムとユニフォームをデザインしました。クラブカラーは桜島や錦江湾の濃い色をイメージしたネイビー。そしてまっさらな白。そのカラーを踏まえて“薩摩”ではなく“鹿児島”だという想いを込めました。もちろん薩摩の丸に十の字は認知されているので、それを軸にしつつ、まったくの十文字にはしたくなかったので真ん中ではなく少し上の方にずらして、下の方には薩摩半島と大隅半島、錦江湾、桜島を入れる。そして縦の線はヴォルカ鹿児島の赤とFC KAGOSHIMAの水色。ユニフォームには離島を入れることにもこだわって、忘れてはいけない歴史を入れて、鹿児島を表現できるものをサッカーで作りました」

鹿児島ユナイテッドFCのエンブレムをデザインした東郷建峰さんは、鹿児島市生まれの首都圏在住デザイナーです。
岡山の大学を卒業後、上京して似顔絵やデザインの仕事をしながら少しずつ生計を立てていっていましたが、故郷との縁が濃くなったのは2011年のこと。
ユナイテッドの前身の片方、FC KAGOSHIMAの関係者と友人を介して知り合い、話をする中で、まだ発足2年目で正式なエンブレムがなかったので、東郷さんが作ることになったのがきっかけでした。
故郷のことだから損得抜きで引き受け、作り始めていたころ、もうひとつ偶然の出会いがありました。
同郷の奥様が鹿児島での里帰り出産を控え、ついに陣痛が来た時、その前に分娩室に入って出産を終えた女性と仲良くなり、色々と話をしていたところ、、、
その女性のご主人は九州リーグのFC KAGOSHIMAというサッカークラブで監督兼キャプテンを務めていたそうなのです。
それが今はユナイテッドで応援リーダーとして活動する田上裕でした。
2つの要素が偶然に重なり、具体的な「人と人とのつながり」が育まれたことで、東郷さんは故郷のサッカークラブに深く思い入れを抱くようになっていきました。
当時の鹿児島のサッカーは九州を舞台にしていたので、関東で試合を観られる機会は少なく、九州まで観戦に行くほど生活の余裕はなく。
それでも東郷さんは田上裕をはじめ選手やスタッフたちと、似顔絵を描いたりして交流をしていました。

東郷さんが現地で観戦した2013シーズン最終戦。水色のシャツを着ているのが田上裕

2014シーズン、FC KAGOSHIMAはヴォルカ鹿児島と統合し、鹿児島ユナイテッドFCへ。
東郷さんは自然な流れでエンブレムとユニフォームのデザインを手がけることになりました。
東郷さんが鹿児島らしさにこだわり抜き、想いを詰め込んだエンブレムとユニフォームは「鹿児島をもっとひとつに。」のクラブスローガンがデザインとして表現されていました。

東郷さんがデザインしたシャツでプレーした2014シーズン

全国が舞台になり、鹿児島への帰郷も含めて、少しずつ試合会場に足を運ぶ機会もできて、クラブ関係者はもちろんサポーターとのつながりも生まれていることを、東郷さんはうれしそうに語ります。
選手も、スタッフも、サポーターも、スポンサーも、みんながそれぞれに楽しいことだけじゃなく辛いことだってあるとしても「鹿児島にJリーグを」「鹿児島をサッカーで盛り上げよう」と情熱を燃やしながらがんばっている。
だからみんなの鹿児島愛を力に、ユニフォームなどのデザインとして形にすることに、東郷さんは温かく、それ以上に熱い感情と熱量の塊を惜しみなく注いできました。

2015シーズンの2ndシャツを着る東郷さん

実は同じころから東郷さんは以前の付き合いから、SC相模原の広報物を手がけるようにもなっていました。
手はじめにファンクラブ会員募集のチラシ、それからチケット、ポスター、バナー、etc、etc。
相模原の表に出るあらゆるところに携わっていくようになります。
当時鹿児島はJリーグ入りを目指してJFLで戦っていて、相模原ははじまったばかりのJ3リーグに所属していたので、兼ね合いとかはあまり考えていませんでした。
どちらも大事で、かけがえのないもの、としか言いようがありません。

2016シーズンのユニフォーム。33の周辺には奄美大島などの離島

鹿児島についにJリーグのクラブが誕生した2016シーズン、過去2年間の白からネイビーへと1stユニフォームの色が変わることも踏まえて、東郷さんがモチーフに選んだのは大島紬でした。
左胸の鹿児島県本土にはじまり、裾の方にかけて南に点在する離島が描かれていく。
背中には桜島。
東郷さんにとって“鹿児島”を表現するという意味ではこれしかない、というものでした。

そしてこのシーズンから鹿児島と相模原は同じリーグで戦うこととなりましたが、J2昇格は現実味を持って目指すものではなく、だから勝敗は大事なものではありましたが、切実に何が何でもというものではありませんでした。
まずはクラブがきちんと存在して、みんなから愛されていることが、東郷さんにとっては大事なことだったのです。

2018年11月25日、鹿児島はJ2昇格を達成した

2018シーズン、鹿児島のサプライヤーが変わり、東郷さんはユニフォームの制作からは離れることとなりました。
東郷さんはつながりがあるクラブ内外の人たちを応援しながら、1人の鹿児島県出身者として鹿児島ユナイテッドFCを見つめることとなります。
2018年11月25日、鹿児島ユナイテッドFCがJ2昇格を成し遂げた時も田上裕たち選手が、クラブスタッフたちが、サポーターたちが、悲願を達成した姿を見ることができました。
「寄り添いたい気持ちはありましたが、陰ながらでもみんなが喜んでいる姿を見て満足していました」

相模原がJ2昇格を達成した2020シーズンの直接対決

2019シーズンをJ2で戦った鹿児島は1年でJ3に降格して、2020シーズンは再び相模原と同じカテゴリーになりました。
ただそれまでと違うのは、相模原もJ2ライセンスを取得していたこと。
はじめて本気で「J2昇格」を目指すクラブ同士の対決となった時に、東郷さんの中にあったのは相模原を応援する気持ちでした。
とはいえ90分の試合が終わった瞬間、東郷さんは願うのはこれまでと変わることなく、相模原が次の試合に勝つこと、鹿児島が次の試合に勝つこと。
結局このシーズン、相模原はJ3の2位となり、悲願のJ2昇格を達成しました。
昇格を決めたアウェイ今治戦の現地にいた東郷さんにとっても、その一瞬一瞬が特別な時間でした。
デザイナーという立場で、同じ思いでずっと苦楽をともにしてきたスタッフやサポーターや選手たちが喜ぶ姿は感慨深いものがあり、同時に自分たちの歓喜以外のことにも想いを巡らせていました。
「色々な思いがありました。最終節で昇格を逃した長野も、目の前で昇格する歓喜を見せつけられた今治も思うところがあったと思います。ただサッカーってサポーターだなって思います。サポーターがいて、スタッフがいて、選手がいて、ひとつになって何かが生まれる。人数の多い少ないに関係なくクラブが愛されるって贅沢なことだなって思います」
2021シーズン、鹿児島はJ3で戦い、相模原ははじめてのJ2を戦い、最終節で降格が決まり、2022シーズンは再び同じカテゴリーになります。

実はコロナ禍以降、東郷さんはほとんどスタジアムに足を運ぶことがありませんでした。
2022シーズン、久しぶりのスタジアムでの観戦は8月20日の相模原ギオンスタジアム。
2022明治安田生命J3リーグ第21節、SC相模原vs鹿児島ユナイテッドFCの一戦でした。
約1ヶ月前に鴨池で対戦した時は相模原が勝利したものの、今回勝利したのは鹿児島でした。
「(鹿児島は)希望があり、目標に突き進んでいて、クラブ全体がすごくひとつになっているのを選手たちのプレーが表しているように思いました。もどかしい想いでいる控えの選手もいるでしょうし、鹿児島に残っている選手もいます。その想いも背負って出ている選手たちがプレーして、勝つ。ポジション争いがある中にも一体感を感じました」

これまでに何度かふれてきましたが、東郷さんにとって欠かせないのは「人と人とのつながり」です。
だから昨シーズンまで相模原に所属し、ともに昇格の喜びと降格の悔しさを味わい、今シーズンから鹿児島でプレーしている星広太選手が躍動する姿は、純粋にうれしいものでした。
「彼がいるとチームが落ち着くし、冷静にボールを扱っていて、存在感がありました。彼もいっしょに戦った戦友だと思っています。それは(元相模原で現松本山雅FC所属の)ビクトルも同じです。選手って試合に出られないこともあるし、契約満了で退団することもあって、引退する選手もいます。だからどこのチームでプレーしているとかは関係なくて、彼らが選んで進んだ道が正解だし、今も応援できるのがうれしいんです」

クラブの想いを形として表現するユニフォームは、前のシーズン途中から制作に取りかかります。
東郷さんは「あの選手この選手が着てプレーする姿」を想像しながらデザインするのですが、実際次のシーズンになると「あの選手」は退団している。
そういうことも体験しているからこそ、2022シーズン、鹿児島でKIZUNA TSUMUGIを着る星選手が活躍するように、関わった人たちの元気な姿を応援できることの幸せを感じているのです。

今シーズンの両クラブの対戦は終わり、東郷さんはまた制作物をデザインしながら相模原の勝利を願い、田上裕たちががんばっている鹿児島の明るい未来を願っています。
SC相模原というクラブを取り巻く人たちへの日々深まる想いは、決して故郷と鹿児島ユナイテッドFCへの想いを減じるようなものではないのです。
「鹿児島はこれからも愛されるクラブになっていると思います。もっともっと大きくなっていくと思いますので、だからこそみんなのこと、1人1人を感じられるようなクラブであってくれるように、外から見守っていきたいです。サポーターの1人として。その時代にしかいない自分が、その時代にしか味わえないことを感じながら」
東郷建峰さんはこれからもデザイナーとして、1人のサポーターとして、大切な人たちの想いを「何ひとつ忘れてはいけない」姿勢で寄り添い続けていきます。
「エンブレムをデザインできたこと、そのデザインを誇りに思って戦っているチーム、サポーターの皆さんには感謝しかないです。それは昔から今も変わってないです」

鹿児島サポーターには馴染み深いこの田上裕も東郷さんが描いた似顔絵

クラブ公式YouTube

鹿児島ユナイテッドFCを支えて下さるパートナー、スポンサー企業の一覧はこちら!!

スポンサー企業を通して見るSDGs

この記事をシェアしよう!