DAZNに入会+ユナイテッドFCの試合を視聴してクラブを応援しよう!

お知らせ

  1. ホーム
  2. お知らせ
  3. 【9月11日マッチデープログラム】 KUFC MATCHDAY PROGRAM 2022 vol.12
2022.09.10 お知らせ

【9月11日マッチデープログラム】 KUFC MATCHDAY PROGRAM 2022 vol.12

鹿児島ユナイテッドFCのマッチデープログラム電子版。
今回は9月11日に行われる2022明治安田生命J3リーグ第24節、鹿児島ユナイテッドFC vs カマタマーレ讃岐 のマッチデープログラムです。

日程表・順位表・テキスト速報

前回までの振り返り~~

8月28日(日)2022明治安田生命J3リーグ第22節
vs FC今治(白波スタジアム)

アウェイでSC相模原に1-0で勝利して迎えた第22節。
対戦相手のFC今治はベンチメンバーがそろわない状況にあるが、試合開始から今治の積極的なプレーで、鹿児島はなかなかペースがつかめない。
「セカンドボールの支配は相手に一歩先に取られて、逆に自分たちが奪ったボールを下げてしまったことが、相手にプレスを受けることになりました(大嶽直人監督)」
「最近は立ち上がりをいい形で入れていましたが、今日は走れていなく、それは攻撃だけでなく守備もでした(有田光希)」

20分にもピンチを招いた直後の21分、ロングボールから今治FWインディオが打ったシュートが決まって先制を許す。
24分、右サイドからのクロスをヘディングで合わせられるが、ここは白坂が防ぐ。
29分、左サイドのアーリークロスをまたもインディオにヘディングで合わせられ、0-2。
今シーズン初めて、2点のリードを許す展開。

31分、鹿屋体育大学4年生で、特別指定選手として加わっているボランチ山口卓己から、ロメロフランクにパスが出る。
パスを受けたロメロは、しっかりと相手守備の動きを見極めてペナルティエリア内にスルーパスを送る。
今治守備陣の背後を取った有田光希が抜け出す。
有田は冷静に右のアウトで流し込んで1点を返す。

しかし35分、中盤の低いところでボールを奪われると、そのままボールを持ったインディオがゴール隅に決まるゴールでハットトリックを許し、またも2点差となる。
それでも鹿児島は41分、木村祐志のFKから、ファーサイドで待つ小野寺健也が合わせたヘディングが決まって2-3と追い上げて前半を終える。

後半、鹿児島は9得点を記録しているFW米澤令衣を送り込む。
しかし53分、ロングボール一本から裏を取られ、またも追加点を許す。
「前半は自分たちのミスからボールを奪われてそのまま失点をして、良くない入り方でしたが、なんとか1点差まで追い上げて後半に入りました。後半しっかり入りたかったのですが、またカウンターから失点したので、自分たちで難しい試合にしたと思います(米澤令衣)」
スコアは2-4。
2点を追いかける鹿児島は、夏に加入したFW端戸仁をピッチに送り込む。

72分、鹿児島は五領淳樹のコーナーキックをファーサイドで広瀬健太が頭でゴール前へ送ったボールに、米澤が頭で合わせて三度1点差に迫る。
さらに攻め続けるが、しかし、なかなかもうひと押しが決まらない。
98分、左サイドに開いた米澤がゴール前へ入れたボールを、山本駿亮が倒れながら頭で合わせるが、わずかにポストの外を通り過ぎ、ホイッスルが鳴った。
シーズン最多4失点、6度目の一点差で敗戦した。

「やることをやっていないので負けたという感じです。失点の部分はディフェンス陣とか言われますが、前線からの守備ができていないし、走れていませんでした。そこを改めないとまた同じ結果になるので、チームとしてやり直さなければなりません(木村祐志)」
試合後、選手たちはエントリー外選手も含めて、負傷で長期離脱することとなった衛藤幹弥へのエールを込めたTシャツを着て場内を一周した。

「チームのためにも(衛藤)幹弥のためにもなんとかという思いでやりましたが、そこに力がなかった自分に申し訳なく思います。ただ選手たちは最後まで諦めず同点に追いつこう、逆転しようというパワーを出してくれました。我々はチャレンジャーであり、失うものはありませんから、もう一回泥臭くもう一回必死になって皆さんの前でいいプレーをしたいと思います(大嶽直人監督)」

9月3日(土)2022明治安田生命J3リーグ第23節
vs アスルクラロ沼津(愛鷹広域公園多目的競技場)

ホームでシーズン最多4失点で敗れた翌週は、アウェイでアスルクラロ沼津戦に挑む。
今シーズンの中盤を牽引してきたロメロフランク、木村祐志、中原秀人の3人に代わり、圓道将良、野嶽寛也、渡邉英祐の3人をスタメンに起用する。
試合は序盤からホームの沼津が積極的にシュートを打つ。
対する鹿児島は思うようにゲームを作ることができない。
そのなかでも10分に野嶽がミドルシュートを打ち、28分には左サイドから単騎ボールを運んだ米澤令衣がシュートを打つがGKが防ぐ。

沼津には相次いでコーナーキックの場面を作られる。
それでもキャプテン広瀬健太と、2ヶ月近くぶりにスタメンでセンターバックに入った井原伸太郎は落ち着いて跳ね返す。
「セットプレーは1月に始動したときから同じやり方でやっていて、相手に合わせるというより自分たちのやり方で、自分たち主導で守備ができています。それが大きいのと、1人1人が自覚を持ってやれています。もちろんセットプレーが続くと苦しいことはありますが、しっかり守れる力があるのであまり怖さはありません(井原伸太郎)」

難しい試合展開の中でも、失点0で前半が終わる。
「ピッチに気を遣いすぎて丁寧にしすぎた部分があって、ワンタッチでくさびで入れるパスなど、少しボールが走らなかった分だけランニングができなかったことが大きいです。それ以外は集中してカウンターのところも抑えていましたし、相手のストロングを消して上手く対応できていたと思います。(大嶽直人監督)」
55分、中盤で五領淳樹が奪ったボールを受けた米澤が、一気にシュートまで持ち込むがこれも決まらない。

膠着する74分、五領に代わって木出雄斗が、砂森和也に代わって薩川淳貴がピッチに送り込まれる。
「外で見ていましたが、なかなか前進できなくてシュート数も少なく、鹿児島のアグレッシブなサッカーができませんでした。途中から出たらチームに勢いをもたらせるイメージでいました(薩川淳貴)」
77分、薩川淳貴が蹴ったコーナーキックを、ファーサイドの広瀬がポストにぶつかりながらもゴール前へ折り返す。
そこに、ゴールのすぐ目の前に木出がいた。
「セットプレーでは自分がキーパー前のポジションを任されていたので、とりあえずキーパーをブロックしようとした時に、ファーに流れるなという感覚がありました。それで誰か折り返してくれたら自分が詰めようと思っていて、ポジションを取っていたら目の前に転がってきたので、今回は打つだけでした(木出雄斗)」

木出が右足でコースを変えたボールがネットに刺さり先制点が決まる。
鹿児島は中盤の底に入った渡邉、野嶽やセンターバックの2人を含めてチーム全体として沼津の自由な攻撃をさせない。
1点のリードを保ち、勝ち点3を得た。

「自分としては今までで一番不甲斐ない試合をしました。守備でリズムを作るタイプなのですが、チームが危険な時に自分がボールを奪うところを求められてます。そこで相手を潰しきれずファウルが多くなったのが反省点です。ボールをつなぐ部分でも、いつも出ている2人の分までできたかと言われれば、全然足りませんでした。それでも全体を通してみるとうまく攻撃がいかなかった部分もありましたが、守る時は全員でしっかり守ることが勝ちにつながったと思います(渡邉英祐)」
苦しい試合を勝ちきり、勝ち点3を鹿児島に持ち帰った。
そして今週末はホームにカマタマーレ讃岐を迎える。

大嶽監督はまず試合の入り方を強調した。
「攻撃で相手の守備をかいくぐること、外すこともですが、エネルギーを出すことです。ここ数試合、先に向こうにエネルギーを出されて、受け身になっているところがあります。まず自分たちがベースであるエネルギーを出し切る。その上で次の判断をするのがベストです(大嶽直人監督)」

薩川にとっては大学を出て2年間プレーした古巣との対戦になる。
「相手は古巣で、もちろん気合いは入りますが、とにかく鹿児島のために、鹿児島が昇格するためにがんばりたいです。自分たちが主導権を握れるように気持ち面を含めて準備したいです(薩川淳貴)」

井原は試合ごとにメンバーが代わる中でも、勝ちきる総合力に対して自信をのぞかせている。
「内容は日ごろ出ている選手が入る方が、いいサッカーすると映っていると思います。そのなかでも前節勝ち点3をあの試合展開で取れたことは、チームとして大きいです。結果を出せるという部分では、誰が出ても良い結果が残せるというのはあると思います(井原伸太郎)」

シーズンも残り11試合になってきたが、あくまでもチームは「ONE TEAM,ONE GAME」の精神で、全員の力で讃岐戦に勝つことだけを考えている。
「J3は最後まで分からないのを理解しています。今のところ連敗はなく、アウェイでも1-0というゲームができているので、ホームで勝ちきることで、次の相手にも見えないところでプレッシャーを与え続けられていると思います。次の成長と次の目標に向かっていく大きな一戦です。そこに向かってチャレンジしていきます(大嶽直人監督)」

コラムONE TEAM,ONE GAME vol.07
「見どころを探るレポート主の謙虚なる鹿児島愛ユナイテッド愛」

中央やや左の背番号11を着ているのが永里さん(写真:永里さん提供)

今シーズンのはじめ、ユナイテッドのオフィシャルカフェ「ユナはん」店主田仲さんのSNSに「明日の対戦相手の分析が届きました」とレポートが掲載されるようになりました。
対戦相手の概要や戦い方、注目選手、警戒すべきポイント、それを踏まえて鹿児島の勝機はどこにあるのか、といったことがA4用紙1枚にまとめられたレポート。
誰が書き手であるのか田仲さんからは明かされず、怪文書のように拡散されていましたが、内容は簡潔明瞭で説得力があり、いよいよ「誰が書いたんだろう?」という謎が広がります。

ゆないくーおねえさんの正体と並ぶ2022シーズン序盤の二大謎。
5月14日、アウェイ今治戦の前日、“怪文書”の主は名乗り出ました。
鹿児島ユナイテッドFCのスポンサー企業でもある「ながさと総合法律事務所」の永里桂太郎さんでした。
永里さんにレポートの話を振ると「あれは分析ではなくて見どころの紹介ですよ」とやさしく微笑みながら、レポートを書くようになるまでの経緯を話してくれました。

鹿児島市出身の永里さんは小学2年生の時にJリーグが発足したことがきっかけで、横浜フリューゲルスが鴨池で試合をする時には応援に行き、自身もサッカーをするようになります。
が、思うようにうまくプレーできず小学3年生で辞めてしまい、中学校や高校でも再挑戦しますが1年ほどで退部。
そっとサッカー競技歴を閉じて「黒歴史」と苦笑いします。
高校を卒業後は関東へ進学し、法科大学院を経てそのまま首都で弁護士の道を進んでいきます。
関東にはJ1チャンピオンをはじめ数多くのJクラブが割拠していて、大人になった永里さんは「ハマりたい欲はあったのかもしれません」と何回か観戦に訪れましたが、ドはまりには至らず。
弁護士としては事務所に所属しながら着実にキャリアを重ねていたので、独立前にもうひとつ別の事務所で経験を重ねようか、子どもは田舎で育てたいね、いつかは鹿児島で生活しよう。
そんな永里さんのような心境と、同じく弁護士である奥様との会話は、全国各地から首都に出てきた人たちにとって大なり小なり相通じるものなのかもしれません。
そして唐突ですが、2018年6月3日を迎えます。

2018年6月3日、鹿児島ユナイテッドFCサポーターの応援風景

2018明治安田生命J3リーグ第11節、FC東京U-23対鹿児島ユナイテッドFC。
鹿児島ユナイテッドFCのこともそんなに知っているわけではなく「近所で行われる草サッカーを観に行くくらいの感覚」で会場である味の素フィールド西が丘に永里さんは足を運びました。
そこでは。
ゴール裏のサポーターからは「鹿児島!鹿児島!」と連呼されるふるさとの名前。
バックスタンドでは、久しく聞くことのなかった鹿児島弁が世界標準語のように飛び交っています。
巨大な首都に潜んでいた鹿児島が姿を表し、まるでどこであろうと世界の中心は鹿児島と言わんばかりの「中”鹿”思想」を具現化したかのような光景に永里さんは感動していました。
さらにコンパクトなサッカー専用スタジアムでは、手を伸ばせば届くような近くで五領淳樹が足をつりながらも何度も何度も右サイドを駆けて行きます。
前半2失点をしながらも、後半早々に萱沼優聖(現ヴァンラーレ八戸)のボレーで1点を返し、田中奏一(現奈良クラブ)がゴール天井を射抜くようなシュートで同点に追いつき、終了間際にまたも萱沼の身体ごと飛び込むようなゴールで逆転勝利!!
すぐに永里さんはDAZNを契約しました。
故郷のクラブを応援できる喜びがありました。

【公式】ハイライト:FC東京U-23vs鹿児島ユナイテッドFC 明治安田生命J3リーグ 第12節 2018/6/3
※Jリーグ公式YouTubeチャンネルより

このシーズン、鹿児島はJ2昇格を達成しました。
昇格が確定した翌週に行われた最終節のSC相模原戦のあと、気づけば永里さんは鹿児島出身者の飲み会に参加していました。
サポーターだけでなく、ユナイテッドの関係者もいて、焼酎があればそこは垣根など取り払われた空間で、脈絡なく自己紹介タイムがはじまります。
県内トップの進学校→六大学→法科大学院→弁護士な永里さんの自己紹介に「ネタ? 本当?」と笑いまじりに歓迎されるひと時。
そんな経験を経て、徐々に永里さんの気持ちは固まっていきました。
鹿児島に、帰ろう。

「もともと資格職ですし、いずれは鹿児島に帰ろうって思っていました。当時子どもは2歳で、東京より子育てしやすいよねと妻と話していて、妻も鹿児島に住むことに同意してくれていました。5年6年先かなと思っていたのが、一気に早まった感じです。もちろんユナイテッドだけが理由ではないですけど、ひとつのきっかけになりました」
2019年5月、永里さん夫婦は鹿児島で「ながさと総合法律事務所」を開きました。
つながりのある不動産会社を通じて事務所と自宅の両方を探したところ、担当は辻勇人という目鼻立ちのはっきりした同年代の営業マン。
2009シーズンにヴォルカ鹿児島で九州リーグ得点王になり、ライバルへの移籍で当時話題になったFC KAGOSHIMAでも活躍して、鹿児島ユナイテッドFCでもプレーした元選手です。
自身の事務所もクラブサポーターになることを決め、故郷に帰ってきた永里さんのあらゆる局面でユナイテッドは顔を出してきます。

スポンサーイベントにも参加されています(2021年5月16日)

ようやく冒頭の話に近づいてきました。
当時まだ時間にゆとりがあった永里さんは、かごしま健康の森公園や鹿児島県立サッカー・ラグビー場へ、ユナイテッドの練習を見学に行っていました。
そこには「ユナはん」の田仲さんもいて、いっしょに「あーでもないこーでもない」と自由におしゃべりしながら選手たちの動きを眺めます。
前の試合で出た課題を踏まえて週のトレーニングに入り、次の試合の対戦相手を見据えたトレーニングへと移っていく。
もともと「予習復習が好き」な永里さんは、練習内容を見ながらチームが何を課題と捉えているのか、次の試合で何を鍵と捉えているのか、監督たちの意図をあれこれを想像して、その上で本番の試合で”答え合わせ”をするのが観戦の楽しみとなっていました。
ユナイテッドカフェにも「週7~8」で訪れるようになり、そこでも濃厚なファンとボードを前にサッカー談義をしたり、指導者をしている大学生や某配達員とかの市井にいる詳しい人から分析を聞いたりしながら、サッカーの深い楽しみにのめり込んでいきました。

2019シーズンのトレーニング風景

今シーズン開幕戦、いわきFC戦を控えていつものように田仲さんたちと「あーでもないこーでもない」と話をしていた永里さんは、ひとつのサプライズをしかけます。
それが対戦相手の予想スタメン、ピッチ内外で置かれている状況、戦い方、それを踏まえてユナイテッドが勝つための鍵になりそうなポイント、見どころをA4にまとめたレポートの提出でした。
レポートの中で特徴的なのは攻守の特徴に加えて、ボールを失った直後の挙動である「ネガティブトランジッション=ネガトラ」と、ボールを奪った直後の挙動である「ポジティブトランジッション=ポジトラ」についても言及しているところ。
サッカーというスポーツは攻撃と守備の間で、野球のように所定の位置につくまでプレーが止まるのではなく、継ぎ目なく攻撃と守備の切り替えがなされていきます。
攻撃はボールを保持している時だけで語れることではなく、守備は相手がボールを持っている時のことだけで語れるものでもありません。
そういうサッカーの基本原則を踏まえて、分かりやすい表現で相手チームの意図を伝えてくれるのが永里さんのレポートなのです。
「試合を楽しみたいんです。相手にはどういう選手がいて、どういう風にプレーするのか、相手を知って見るほうが楽しいと思います」
実は競馬も大好きで、数百人で馬一頭に出資する一口馬主もやっているという永里さん。
過去のレースのデータを集めて、次のレースの予想をする。
ご本人が何度も繰り返すように「予習復習」という行為に、サッカーと競馬に相通じる楽しみを見出してらっしゃいます。

ユナイテッドカフェではサッカーを中心に縦横に会話が広がっています

永里さんは対戦相手の試合を直近3試合ほど振り返ります。
そのなかでも大切にしているのは前半10分~30分の時間帯。
開始直後は試合の雰囲気になじむ時間が必要だし、試合が進むにつれて変わりゆくスコアや戦況に変化していくことを踏まえると、そのチームが落ち着いて素の部分を一番出しやすい時間帯が前半10分~30分だということを「本で読んだので」実践しています。
ユナイテッドの振り返りも最初はやっていたけれど、ここまでやる時間は確保できないと判断して、今は対戦相手の見どころ紹介に絞っています。
それにしてもなぜ最初から「私が書きました」と名乗り出ることをしなかったのでしょうか?
「最初怖かったんですよ、こんな素人分析を出すのが。怖いから世間には出さずに田仲さんにお渡ししてカフェに貼っているだけだったんです」
そうしたら田仲さんが写真に撮ってSNSにアップし続けたことで徐々に話題になりました。
「それから“KagoshimaniaX”の中園さんから実名でTwitterをすることの意義をとうとうと説かれて、なるほどなと思って公開しました。それで感じましたが、鹿児島のTwitter界隈ってやさしいですよね。“いいね”をたくさんしてくれるし、拡散もしてくれますし」
試合前日頃になると永里さんのTwitterに、対戦相手の特徴を通じた見どころの紹介がアップされています。
それでも相変わらず、どちらかと言うとサッカー談義については聞き役に回り、教えてもらう側に立つことが多いようですが、むしろ物腰柔らかな見た目の奥に隠された貪欲な向学心の強さのように映ります。

8月28日にホームで行われたFC今治戦。
相手に多くの欠場者が出ることは確実な試合でしたが、永里さんはいつものように今治の試合を見て、前節のスタメンを掲載したレポートを公開しました。
「ここからどう変わるのかを見てもらうためにも分析しました。そうしたらぜんぜん違う戦術をとってきました。でも2点取られても、後半逆転できるだろうと思っていましたのですが、あれ?あれ?という感じでした」
続く9月3日のアウェイのアスルクラロ沼津戦は、いい意味で永里さんにとって予想外の展開でした。
それは警戒していた相手選手が思ったほど活躍しなかったからですが、ユナイテッドのスタッフたちがしっかり分析して対策ができていたからだと見ています。

しかし、そもそも見どころ紹介レポートを書いている理由が「見る楽しみ」だと言うように、試合の時の永里さんは別にペンとメモ帳を手にするようなことはなく、あくまで主眼は楽しむことにあります。
特に今は、主に、一人の父親として。

(写真:永里さん提供)

8月14日から声出し応援ができるようになった鹿児島のホームゲームで、永里さん親子はバックスタンド北端、声出し応援エリアで応援しています。
「うちの子が大旗隊の近くで旗を振っているんですよ。自分で旗を作って。(サポーター団体)FEUSの人たちもやさしいんです。大旗の後ろで振っているとうまいねってグータッチしに来てくれていますし。着実に息子を染めていっています(笑)」
かつて親子で鴨池に横浜フリューゲルスを観に行っていた小学生が大人になり、今度は自分が子どもを連れて鴨池に通う。
そして今、鹿児島の指揮を執るのは、横浜フリューゲルスの選手として鴨池陸上競技場でも活躍した元日本代表の大嶽直人監督だというところにも縁を感じずにはいられません。

そんな永里さんは未来のユナイテッドにどうあって欲しいのでしょうか?
「県外の大企業から何十億円のお金が出る、それは鹿児島らしくはないって思います。もちろんそこそこ強くあっては欲しいんですけど。漫画”ジャイアントキリング”のイースト・トーキョー・ユナイテッド=ETUみたいに、クラブとサポーターの距離の近さはあって欲しいです。近さとか優しさとか。そう考えると田上さんの効果は大きいなって思います。クラブの象徴がああいう感じだから、ギスギスなりようがない気がしますね。あとはサッカーやっている子が憧れる存在であって欲しいです。でも、、、大企業がポンと何十億円も出してくれて勝ちまくってくれたら、、、それはそれで嬉しいのかな(苦笑)」
ファン心理は単純で複雑で単純で複雑です笑。

もうひとつ子どもの教育を主眼に東京よりも鹿児島を選んだ永里さんに、鹿児島という街そのものに期待することもおたずねしました。
「小さい東京みたいなのは嫌です。チームもいっしょですけど、ついつい“東京”をめざしたくなるんですけど。住んで誇れる街であって欲しいです。そして週末はユナイテッドがある街ですね」

ユナイテッドのことになると話は尽きない永里さんですが、唯一どうしようもできないことが「2018年6月3日より前のユナイテッドを経験していない」ことです。
田仲さんをはじめ様々な人から昔のエピソードを聞くたびに、そう思います。
でも、だからこそ永里さんは「今」を全力で応援して、ユナイテッドがある日々を楽しむことにしています。
それが未来にもつながっていきます。
2018年6月3日にはじまる永里さんとユナイテッドとの物語は、これから年月を経るごとにエピソードが積み重なっていくことでしょう。
大人になっていっしょにスタンドで酒を酌み交わす息子さんの姿があるかもしれませんし、ひょっとしたらお孫さんと三世代で応援しているかもしれません。

(写真:永里さん提供)

選手たちがピッチ上で勝利を目指して戦うことが鹿児島ユナイテッドFCの根幹であるとしても、ユナイテッドを愛する一人一人がその試合や日頃の生活で感じる一瞬一瞬の喜怒哀楽は、誰のものでもない、その人が主役を生きる唯一無二の物語。
謙虚でやさしい永里さんが、10年後20年後30年後に振り返るユナイテッドの物語が今から楽しみです。
そしてその時まで毎節見どころ紹介レポートを書くとなると、、、「Total vol.1000」を超える超長寿コンテンツに育っているかもしれませんね!

クラブ公式YouTube

鹿児島ユナイテッドFCを支えて下さるパートナー、スポンサー企業の一覧はこちら!!

スポンサー企業を通して見るSDGs

この記事をシェアしよう!