【5月4日マッチデープログラム】 KUFC MATCHDAY PROGRAM 2023 vol.05
鹿児島ユナイテッドFCのマッチデープログラム電子版。
今回は5月4日に行われる2023明治安田生命J3リーグ第9節、鹿児島ユナイテッドFC vs ギラヴァンツ北九州のマッチデープログラムです。
日程表・順位表・テキスト速報
前回までの振り返り
2023年4月16日(日)2023明治安田生命J3リーグ第7節
vs テゲバジャーロ宮崎 会場:白波スタジアム(鹿児島県立鴨池陸上競技場)
前週の第6節、終盤に先制しながらラストプレーで追いつかれる結末を経て迎えた第7節。
隣県からテゲバジャーロ宮崎を迎えての南九州ダービーは、6,000名を超えるサポーターの熱気に包まれたスタジアムでキックオフ。
1分、相手のロングボールを回収し、最終ラインで回そうとした広瀬のパスをカットされ、そのまま強烈なミドルシュートで宮崎に先制を許す。
一瞬にして失点した鹿児島だが、ボールを動かし、宮崎陣内へ迫り続ける。
12分、左サイドからボールをつなぎながら、ペナルティエリア外で受けた端戸仁が左足で打ったシュートはバーを叩き、中原秀人がリバウンドを狙うがクリアされる。
13分、コーナーキックをつないで端戸がヘディングをするがGK植田がかき出す。
27分、木村祐志がゴール前に入れたボールを有田光希が合わせて五領淳樹が押し込むがこれはオフサイドの判定でノーゴール。
「立ち上がり、難しい時間帯で失点しましたが、ボールをつなごうとしたらああいう失点はあります。チームとしてそこから取り返す意識は持っていました。ただチャンスがたくさんあった中で前半1点は取って追いつきたかったですし、前半追いつけていれば負ける展開はなかったと思います(端戸仁)」
それでも後半も鹿児島が主導権を握る。
53分、サイドからクロスを入れて跳ね返されたボールを拾ってシュートして跳ね返されたボールを木村が収めて、波状攻撃で圧力をかけ続け、ユナイテッド加入以来初めてリーグ戦に先発した左サイドの福田望久斗へボールを送る。
福田はゴール前へ速いボールを入れる。
宮崎守備陣、そして有田が競り合う直前、後方から端戸が飛び出てくる。
「(福田)望久斗が蹴る瞬間、パッと前に出て先にさわれば入るだろうなって(端戸仁)」
狙い通りに頭でコースを変えて、同点に追いつく。
勢いに乗る鹿児島は57分、中盤でボールをキープした端戸から追い越した中原へパスが通り、そして中原から左側のスペースを走る福田をさらに加速させるスルーパス。
ペナルティエリア前までボールを運んだ福田は、右足でファーサイドへシュートを打つがわずかに枠を外れる。
「今日は初スタメンということで、今まで出られない悔しさがありましたが、自分の持ち味であるドリブルでしかけるように言われていて、それはできたと思います(福田望久斗)」
逆転も時間の問題と思われた63分、コーナーキックをニアサイドで合わされ、再び1−2とされる。
さらに69分、中盤でボールを奪われるとそのまま左サイドからボールを運ばれ、そのままクロスと思われたタイミングでのシュートが決まり、リードを2点に広げられる。
それでも鹿児島への移籍後初出場となるGK松山健太は素早くボールを拾ってセンターサークルへ送る。
2点を追いかける鹿児島は、鹿児島復帰後初出場の藤本憲明や武星弥たち途中出場の選手たちも猛攻を続ける。
75分、右サイドの組み立てから途中出場の山口卓己が浮かせたスルーパスを出し、星広太が抜け出る。
さらに星からゴール前の藤本へ。
後ろから薩川が走り込む。
「(藤本が)あまりいい体勢で打てそうじゃなかったので、呼んだらパスが来ました(薩川)」
藤本はくるりと体勢を変えながら、薩川が蹴りやすい場所へボールを落とす。
薩川の利き足とは逆の右足で打ったシュートが決まって1点差に迫る。
1点を追いかける鹿児島。
終了間際の92分、宮崎のゴールキックを途中出場のセンターバック戸根一誓が頭で前方へ送る。
宮崎守備陣を背負った藤本がボールをキープする。
右ウィングの武が裏のスペースへ駆ける。
藤本がゴールに背を向けたまま、右サイドのスペースへボールを送る。
「背後に抜ければ絶対にボールが来ると思って走り出していたので、そのパスが来た時はゴールしか見えていなかったです(武星弥)」
ダッシュする武はヘディングでボールを蹴りやすい場所へ落とし、そのまま思い切って右足を振り抜く。
シュートはGK植田の守備を破る。
一気にスタンドが沸き立つ。
「(戸根からの)セカンドボールが来た時にいい具合にバウンドしたので、バウンドしている間に“星弥走れ”と思っていて、いいタイミングで走っていたので背負いながら良いパスを出せました。後は星弥を褒めたいです(藤本憲明)」
クラブ史上最年少となる18歳183日のゴールを決めた武星弥はそのままボールを拾い、逆転への意志を示す。
激闘は3−3で引き分け。
ホームで勝ち点1に終わった悔しさと、2点差を追いついた興奮がスタジアムに同居する。
「同点になって勢いも来ていたので、もう1本終了間際に取れればよかったのですが、そこで取り切れないのはFWの自分たちの責任でもあります。そういうところはもっと質を高めていきたいです(武星弥)」
「チーム全体としてやはり成長していない部分もたくさんあります。個人個人は成長していてもチーム全体として開幕戦のような立ち上がりの失点とか、毎試合毎試合積み重ねていけていない部分もあります。1週間試合が空きますが、優勝しなければならないチームなので、チームみんなで取り組んでいって、次は必ず勝利できるようにしていきたいです(藤本憲明)」
2023年4月29日(土)2023明治安田生命J3リーグ第8節
vs いわてグルージャ盛岡 会場:いわぎんスタジアム(岩手県盛岡市)
宮崎戦から2週間後、アウェイ岩手県で迎えたいわてグルージャ盛岡戦。
キックオフ直後の鹿児島ボールを岩手が奪いにかかるが、ここは広瀬健太と星広太がクリアする。
7分、右サイドの狭いスペースで星、中原秀人、端戸仁がボールをつなぎ、最後は中央へ入ってきた左サイドバック薩川淳貴が左足を振り抜く。
9分、前節に続いて福田望久斗の突破で得たフリーキックを木村祐志が蹴る。
岩手守備陣の頭上を超えてから落ちるボールに対して、後方から勢いよく飛び込んできた広瀬健太が、頭で合わせて鹿児島が先制する。
「あそこを狙おうと話をしていて、1本目は合いませんでしたが、2本目はしっかり合わせられました(広瀬健太)」
先制してからも前線の選手たちがプレスをかけることで、主導権を渡さない。
「入りのところでしっかりと自分たちの良い守備から入ったことと、攻撃がサイドでの優位性を持つことと、そして相手のポケットに入ることができていました。そのことで、そのままチャンスにつながったと思いますし、こういうことを連続してすることが、鹿児島らしいサッカーです(大嶽直人監督)」
22分、ゴールキックをつなごうとした岩手に対して藤本憲明がプレッシャーをかけたことで、鹿児島のコーナーキックになる。
そのコーナーキックを木村が蹴る。
岩手の選手、鹿児島の選手が密集した密集したところをすり抜ける。
ボールはサイドネットの一番下側に包み込まれる。
鹿児島の追加点。
「最初うちが練習していたことが相手に警戒されてできませんでした。そこで強い風向きだったのでゴールめがけて狙っちゃおうと蹴ったら、ゴール前が密集しているなかでたまたま入って良かったです(木村祐志)」
36分、岩手ボールを岡本將成が鋭い出足で奪い、左サイドでボールを受けた福田が一気に前線へボールを運び、最後は右サイドバックの星が左足でシュートを打つ。
39分、岩手の速攻からペナルティエリア内まで侵入を許すが、岡本が正確なタックルでボールを奪い取る。
「やっぱり先制点を取れたことで余裕も生まれますし、自分たちのリズムでプレーできます。今まで先制点を取られることが多かったので、その試合の入り方は、今回は良かったと思います(広瀬健太)」
後半、風下になった鹿児島は岩手の攻撃を受ける時間が長くなる。
54分、岩手にミドルシュートを打たれたのを皮切りに、岩手のチャンスが続く。
それでも鹿児島はペナルティエリア周辺では広瀬や岡本が身体を張ってシュートを弾く。
「前節、自分のミスで失点したし、この試合は絶対ゼロに抑えようという気持ちでした(広瀬健太)」
途中出場の圓道将良、武星弥、山口卓己、有田光希、渡邉英祐たちが岩手の攻撃を遮り、ボールを奪うとしっかり前へ前へとつなぎながら3点目を狙いに行く。
78分、中盤で有田が粘り強く相手と競り合い、奪ったボールを中原が前へ送り、さらに圓道がするするとドリブル突破で岩手ゴールに迫る。
87分、右サイドから入ったクロスをファーサイドでヘディングで合わされるが、シュートコースに入ったGK松山がしっかりとキャッチする。
そして2-0で勝利。
鹿児島が今シーズン初めてアウェイでの勝利と無失点での勝利を得た。
「前半と後半で違ったゲームになりましたが、前半に関しては自分たちの攻撃的な部分はたくさん出ました。そのなかでもっと取れたと思うので、修正しないといけません。それでも後半押し込まれた中で失点ゼロで抑えられたことは、収穫だと思います(木村祐志)」
東北の地で鹿児島愛を力に声援を送り続けたサポーターと勝利の喜びを共にした。
そして中4日で迎える5月4日、ホーム鴨池にギラヴァンツ北九州を迎える。
「監督にも持ち味を出せと言われていてドリブルを意識しています。焦らないことも大切ですけど、出場機会を得られている今だから、フィニッシュまで行ける力をつけて得点をあげられるようにしたいです。(福田望久斗)」
この2試合左サイドでスタメン出場し、ドリブルで好機を演出している福田望久斗は得点に対しても意識をしている。
「前節だけでなくこの先も続けていかなければいけません。まだ改善点はあるのでチーム全体でやっていかなければなりません。GWの北九州戦ということで熱い戦いになると思いますが、勝利を届けることが僕たちの仕事です(広瀬健太)」
キャプテン広瀬は前節勝てたこと、できたことを評価しながらも、修正しなければならない点を冷静に見極め、北九州戦に挑む。
「アウェイ戦で出せたことを自信に、細かいミスを減らし、できるだけ相手陣内で頑張ってプレーできるようにしたいです。北九州戦でも短い時間でも連戦の中でもイニシアティブを取って、自分たちからしかけるサッカーをやっていけるようにします(大嶽直人監督)」
チーム間の勝ち点が接近し、どこがどこに勝ってもおかしくない今シーズンのJ3リーグ。
北九州とのバトルオブ九州でも、鹿児島はワンプレーワンプレーに集中し続け、勝ち点3を目指して熱く熱く闘い続ける。
コラム鹿児島をもっとひとつに。vol.05(total vol.17):岩手から家族みんなで鹿児島へ、ユナイテッドへ愛を込めて
4月29日のいわてグルージャ盛岡戦。
アウェイにも関わらず熱烈な声援を送る鹿児島ゴール裏サポーターのなかで、有田光希選手のゲーフラを掲げる少年の姿をDAZNでご覧になった方もいらっしゃるでしょう。
少年は鹿児島生まれで、4月から岩手県盛岡市在住。
昨シーズンから鹿児島でプレーする有田選手のファンで、ユニフォームも背番号9。
今シーズンまだゴールがない推しを後押しするためにゲーフラを作り、ゴール裏の一番熱いエリアから人生最大級の声量を出し続けました。
今回はそんな少年のお母さん、まりさんのお話です。
まりさん一家とユナイテッドの出会い
まりさんは神奈川県の生まれ。
東北で大学生をしていた頃に同級生だった今のご主人と出会い、卒業して、それぞれ別のところに就職して、数年して結婚。
故郷に就職していたご主人の住む鹿児島県に移り住みました。
県内転勤先のひとつ鹿屋市で3人の子どもを育てることになります。
都会育ちではあるけれど、大学も東北の静かな環境だったし、子育てを考えると鹿屋はいいところだとまりさんは振り返ります。
サッカーにずっと触れていて大好きだったのでユナイテッドのことは認識していたけれど、わざわざ鴨池まで観に行くことはありませんでした。
それが2018年11月25日、ご主人と息子さんがJ2昇格を決めようとしていたユナイテッドの試合を観に鴨池まで足を運び、まりさんは送迎だけでしたが、すっかり一家はその魅力にハマってしまいました。
舞台がJ2となり、大いに盛り上がった2019シーズン、まりさんも鴨池のスタジアムに到着し、チケットもぎってコンコースに入り、そしてスタンドへと出た瞬間!
スタジアムの雰囲気に、まりさんはすっかり虜になってしまったのでした。
こうしてまりさん一家による鹿屋から鴨池への片道2時間の「通勤生活」がはじまります。
キックオフ5時間前に家族で自宅を出て、鴨池まで走り、スタジアムグルメやイベントでお祭りのようなひと時を過ごして、試合を応援。
とはいえ当時次男と三男はまだ未就学児。
試合そっちのけで火山灰を集めたりして遊んでいたそうです笑
選手それぞれに魅力がありましたが、その中でもまりさんはとあるGKのプレー、声、たたずまいの魅力にハマります。
それが大西勝俉選手(現ヴァンラーレ八戸)との出会いでした。
はじめて推しというものと出会ったまりさんは、さらにたまたま鹿児島市で食事をしていた時に大西選手と遭遇し、少しお話もして、すでにまりさんのことを知っていてくれていたことに嬉しい驚きもあり、その人柄も含めてハマっていったのでした。
2019シーズンが終わり、ユナイテッドゾーンで行われたファン感謝祭でもANAが出していたブースを担当していた大西選手のところに行ってじゃんけんをして景品をもらって、、、でも緊張しすぎて、ろくに話をすることもできず笑
むしろ「ツンとしていたかも」と苦笑いしながら振り返ります。
コロナ禍でも続く鴨池通いと推しを推す日々
しかし2020シーズン、世の中はコロナ禍になり、リーグ戦はなかなかはじまることなく、選手とファンがサインや写真撮影、会話、握手など直接交流することもできなくなりました。
それでもまりさんにとって幸いなことに、6月末から鹿児島ユナイテッドFCの試合は行われるようになり、鴨池でホームゲームを観ることのできる日々は帰ってきました。
背番号13のシャツを着た「大西会」をはじめとした応援仲間も増えていきました。
2020シーズンと2021シーズン、クラブとしてはなかなか昇格争いに絡むことのできない難しい状況が続きましたが、多くの試合で推しは鹿児島のゴールマウスを守り続け、その活躍する姿を目にすることができました。
ちなみに印象深い試合について聞かれたまりさんは「(前回コラムに登場した)りかさんみたいですけど、あまり浮かばないです」と苦笑いしました。
楽しい感情だけが残っていくのか、あまりに多すぎて逆に出てこないのか、サポーター心理は深淵です。
2022シーズン、チームが勝ち続ける一方で推しを試合で観ることはなくなりました。
練習を観に行くこともできないし、試合会場で話しかけたりすることもできない日々。
長男は有田光希選手、次男はロメロ フランク選手、三男は広瀬健太選手と木村祐志選手という推し選手を見つけます。
それでもまりさんにとって大切なことは、ユナイテッドというクラブが大好きなのが大前提にあり、推しが出る出ないに関わらず応援し続けること。
だから変わることなく家族で鹿屋から片道2時間かけて鴨池へ足を運び続け、北九州や宮崎のアウェイにも馳せ参じ、ユナイテッドを応援する日々に充実していました。
2022年の夏頃には、鹿屋市で開催されたサッカーフェスティバルに田上裕応援リーダーがゲストとして参加しました。
いつもホームゲームに通っている人だと気づいた応援リーダーは大いに驚き、感謝して、三男たちのチームメイトも含めて交流し、エールを贈りました。
田上リーダーも、まりさん家族にとって今ではサポーターとしてユナイテッドを応援することを応援してくれる重要な人間です。
推しは一度も試合に出ることなくシーズンが終わった11月末、コロナ禍でずっと途絶えていた選手とファンとの交流会が行われました。
子どもたちが推す有田選手やロメロ選手たちのサインももらい、当然のように大西選手の列に並んでサインをもらい、写真を撮って、言葉を交わしましたが「ひょっとしたら今シーズンまでかも」という寂しい予感もあり、、、
しかし別れは予想外な方向からやってきました。
ご主人の仕事で、翌年4月から岩手県に引っ越すことになったのです。
そして年末には、推しが八戸に移籍することが発表され、推しが大好きなクラブから離れることへの大きな哀しみがあり、けれど隣県で会いに行きやすいことは慰めになりました。
岩手県への引っ越しを控えていても、まりさん一家の鹿児島愛が揺らぐことがありません。
長男は有田選手の9番、次男はロメロ選手の10番、三男は木村選手の30番、箱推しの結果毎年番号が変わるお父さんは端戸仁選手の25番。
そしてまりさんは背番号12、はじめてのフィールドプレーヤーユニ。
シーズン開幕の3月、しかしまりさん一家にとっては当面のお別れとなる3月に行われたホームゲーム3試合は当然強い思いをもって駆けつけ、いずれも感情が激揺れする一日を鴨池で過ごしました。
顔見知りの人たちとあいさつをかわし、バックスタンド13番ゲートで「大西会」の面々と記念撮影をして、そして応援リーダーにも挨拶をして。
転校で友達が離ればなれになることを嫌がっていた息子たちに応援リーダーからは「あっちでたくさんの新しい友達を作ればいいじゃないか」と励まされ、一家そろって前を向いて東北の新天地へと引っ越しました。
岩手でユナイテッドを迎えた一日
そして新生活も落ち着いてきた4月29日、鹿児島ユナイテッドFCはいわてグルージャ盛岡とのアウェイゲームを戦うために、まりさん一家の住む岩手県のいわぎんスタジアムへとやってきました。
比較的のどかな雰囲気のいわぎんスタジアムで、特に子どもたちが喜んだのが移動動物園でのふれあい。
さらに新潟からは岡本將成選手を推す一家とTwitterを通して事前に交流し、いっしょにゴール裏で熱烈なサポーターとして応援することになり、試合前には各地のアウェイでも応援するサポーターの皆さんが持参する横断幕を張り出すのをお手伝い。
この日に向けて、昨シーズンからユナイテッドでただひとり全試合出場を続けながらも、今シーズンまだゴールがない有田選手を力づけようと長男は「ゲットゴール」とメッセージを込めたゲーフラを作り上げました。
前述の通りトラメガやドラムをたずさえたサポーターたちの近くで、岡本選手の弾幕を掲げる隣の一家とともに、その少年たちまりさん一家の姿はDAZNでバッチリ映っていました。
スタジアムに着いたバスから選手たちが降りてくる段階でロメロ選手がいないことに気づいた次男は、一気に落ち込んでしまいました。
が、そこでお父さんがハッパをかけます。
「一番つらいのはロメロさん本人なんだよ。だから10番のユニフォームを着て応援するところをDAZNで観たらロメロさんを元気づけられるよって」
ロメロ選手本人の代わりに10番の誇りを背負った次男は、最前列で一生懸命に声援を送り続けました。
試合開始。
ゴール裏からは戦況は分かりづらいですが、序盤から鹿児島は岩手陣内に攻め込み続けます。
広瀬選手のヘディングで先制したところは遠くからですが、分かりました。
さらにコーナーキックから(木村祐志選手の)ゴールが決まって追加点。
こちらは誰が決めたのかは分かりませんでしたが、鹿児島がゴールしたことは分かりました。
そして、、、当然ですがずっとまりさんたちのいるゴール裏からは、かつて推しがつけていた「13」の背中しか見えなかったGKが、、、
「ゴールが入った時に松山選手がこっちを振り返ってガッツポーズしてくれたんです。その姿を見て、自分たちもいっしょに戦っているんだなって」
2-0とリードして迎えた後半は一転して、岩手が鹿児島を押し込む展開。
風などの影響もあり、またもあちら側で試合が進みます。
「押されていたんですけどコールリーダーが先導して“跳ね返そう、跳ね返そう”って呼びかけてくれて。それで私たちもより大きな声で応援できました」
鹿児島の選手たちは声援に応えるように岩手の攻撃を防ぎ続け、無失点で勝利しました。
今シーズン初のアウェイ戦勝利、無失点勝利をともに掴み取ったという実感と充足感がありました。
「自分たちの応援が選手たちの力になっているんだなって」
試合後は選手たちといっしょに勝利の喜びを分かち合う乾杯!からC&Kの「へべれけ宣言」、そしてインタビューを終えたキャプテンがやってきて「ここから巻き返しましょう!」と力強く呼びかけてくれます。
鹿児島から遠く離れた岩手で、鹿児島のアイデンティティを感じられる一日が終わりました。
これからも明るく前向きな優しい鹿児島愛で
岩手戦の前週は八戸で行われたイベントに行って、大西選手のユニフォームを客席から掲げ、大西選手がびっくり喜ぶところを見ることができました。
鹿屋から鴨池へのルートには一般道やフェリーがあり、対する八戸へ道のりは高速道路だけなので同じ2時間でもきついと感じるところもありますが、十分に「通勤圏内」と言えるのでしょう。
息子さんたちは新しい学校での生活がはじまり、新しくプレーするサッカーチームも決まっていきました。
まりさんは息子さんたちに「とにかく楽しむこと」を望んでいます。
「こっちがやりなさいと言っているからサッカーしているわけじゃないですし、練習がきつくて行きたくなければ行かなくてもいいと思いますよ。楽しまなければ上手にもならないですし、こっちだって嫌々やっているサッカーの送迎なんてしたくないじゃないですか」
そんなまりさんの明るい優しさは、ユナイテッドの選手にも相通じます。
「昇格」という話になると「もちろん昇格して欲しい気持ちはありますけど」と前置きして、続けました。
「昇格して欲しいのは選手たち自身のために思うことです。選手たちには楽しんでサッカーをして欲しい。サッカーをしていて、辛いことだってあると思うんです。でも負けても“いい試合だった”と言える、気持ちが入った試合を見せてくれれば私たちは十分なんです。結果の世界なんですけど。でも、だから選手たちのがんばりが昇格という結果で報われて欲しいです」
ご主人の仕事がひと段落したら、また鹿児島に帰ることになりそうです。
それまでの期間、まりさんは隣県でプレーする推しをたまには生で見に行って、岩手からDAZNを通して鹿児島ユナイテッドFCの勝利を後押して、もちろんギラヴァンツ北九州とのバトルオブ九州もDAZNで全力応援して、八戸と福島のアウェイ戦には当然のようにかけつけるつもりです。
「本当は(4月8日の)Y.S.C.C.横浜戦も新幹線で行こうかと思っていたんですけど、さすがに引っ越したばかりだったので」
あまりの鹿児島愛に忘れていましたが、まりさんは神奈川県のご出身でした笑
箱推しなあまり毎年ユニフォームの背番号を変えているご主人をはじめ、ご家族の皆さんに強い絆があり、鹿児島とユナイテッドへの愛がいっぱい。
今は岩手での生活を明るく前向きに楽しんで、たくさんの思い出を作られることを願うばかりです。
お話が終わってしばらくして、まりさんからメッセージが届きました。
先ほどはお忙しい中、ありがとうございました
楽しくてあっという間でした!
あの、、、昨シーズン一番印象に残ってる試合の件なんですけど訂正できますか?
開幕戦です。
大西選手がスタメンだと思って意気揚々とスタジアム入りしたら、まさかのサブにもいなくて。
何かあったのかと心配し、落ち込んでたら三男になぐさめられまして。
あまりの衝撃的なことだったのに、先程は出てきませんでした。。。
でもどこかでおーちゃんは見てくれてると信じて13番ユニ着てホームもアウェイも行ってました。
それだけちょっと伝え忘れてました
どこかに使えたら入れていただければ
岩手戦では兄2人を差し置いて最高な想いをしたんだろうなーと思われる三男も含めて素敵なエピソードでしたので、あえて最後にご紹介させていただきました。