【10月1日マッチデープログラム】 KUFC MATCHDAY PROGRAM 2023 vol.16
鹿児島ユナイテッドFCのマッチデープログラム電子版。
今回は10月1日に行われる2023明治安田生命J3リーグ第29節、鹿児島ユナイテッドFC vs Y.S.C.C.横浜のマッチデープログラムです。


日程表・順位表・テキスト速報
前回までの振り返り
2023年9月16日(土)2023明治安田生命J3リーグ第27節
vs カマタマーレ讃岐 会場:白波スタジアム(鹿児島県立鴨池陸上競技場)
2連勝でホームに帰ってきた第27節はカマタマーレ讃岐と対戦。
17分、讃岐はロングスローからシュートを打つが、松山健太が防ぐ。
33分、讃岐のコーナーキックが直接決まり、讃岐が先制する。
46分、サイドでボールを奪った藤本憲明はそのまま前へドリブルへ持ち込み、ミドルシュートを狙う。
49分、フリーキックから戸根一誓が粘り強くシュートまで持ち込むが決まらない。
61分、右サイドでのパス交換から抜け出た星広太がゴール前にボールを送り、ニアサイドで藤本が合わせるが讃岐の守備網がブロックする。
64分、フリーキックからゴール前で合わされるが松山がキャッチする。
75分、ロメロ フランクを中心にしたパス回しから、最後は野嶽寛也がミドルシュートを放つがGKがセーブする。
79分、一度はクリアされたボールを再びゴール前に入れて、千布一輝が折り返したボールを混戦の中で鈴木翔大が頭でねじ込むが、オフサイドの判定でノーゴール。
89分、千布のコーナーキックを鈴木がヘディングでファーサイドに流し込んむ。
土壇場で同点に追いつく。
そのまま試合は1-1で終了した。


2023年9月23日(土)2023明治安田生命J3リーグ第28節
vs 愛媛FC 会場:ニンジニアスタジアム(愛媛県松山市)
アウェイで愛媛FCと対戦した第28節。
開始直後にニアサイドへのクロスが入るが、Jリーグ初出場のGK泉森涼太がパンチングでクリアする。
直後のコーナーキックではニアサイドから強烈なシュートを打たれるが、またも泉森が弾く。
6分、中盤でのボールの奪い合いから中原秀人がすばやく藤本憲明に渡し、藤本は左サイドを走る米澤令衣へ展開。
そのままドリブルで疾走する米澤は、右足に持ち替えてファーサイドへの正確なシュートを決める。
鹿児島が先制する。
愛媛は正確なボールのつなぎと運動量で圧力を高めるが、鹿児島も前線の藤本と山本駿亮を中心に果敢な守備で互角の展開が続く。
後半に入った58分、コーナーキックを藤本が頭で落とし、ゴール前に待つ米澤がコースを変えて追加点。
62分、愛媛は裏に抜け出しての強烈なシュートを打つが、泉森が守る。
セットプレーやサイドから攻める愛媛の攻撃を、泉森や戸根、岡本たちがひとつずつ跳ね返す。
最後はコーナーフラッグ付近でボールをキープして、アウェイで勝ち点3を得た。


大島康明 監督コメント(9月26日トレーニング後の共同記者会見より抜粋)

愛媛戦で起用された山本駿亮選手について
チーム内の競争があって、良いコンディションでトレーニングを積んだ選手をメンバーに選んでいます。
彼自身もコツコツ努力していますし、戦術理解の高い選手ですので、守備の部分と攻撃の部分の役割をやり続けることができると踏んで起用しました。
愛媛戦で起用された泉森涼太選手について
日々彼らと接する中でパフォーマンスをスタッフみんなで確認しながら、誰がを起用するかは話をしています。
試合になった時は非常に落ち着いていると思いました
ビルドアップについても彼の特徴的なプレーが随所に出ましたし、ゴールも安定して守ってくれたと思います。
試合に出るメンバーを選ぶことについて
18人の選手を選ぶ作業が自分にとって一番かかるストレスです。
それくらい選手たちがやってくれている嬉しい悩みですが、これは監督をやっていればつきまとう悩みだと思っています。
愛媛戦の戦い方全体について
理想であれば自分たちがずっと押し込んで、自分たちがボールを持ちながら攻め続けて、という部分が理想です。
ただ狙いとしては相手の長所を消しにいく部分があります。
また長所の裏にあるのは弱点なので、例えば相手の長所がボランチであれば弱点にもできると両面考えてのことです。
ただ相手がいるので、狙った通りにいくものではないのがおもしろいというスポーツです。
選手たちがこうするという準備を実行して、勝利できたことはすばらしいと思います。
ボールの保持率について
ゴールを目指せれば1本のパスで目指しますし、2本必要なら2本、3本必要なら3本使います。
正直、保持率はほとんど気にしていなくて、保持率が多ければいいというわけでもなく、逆に少なければいいというわけでもありません。
自分たちが構築しようとしている鍵となるスペースを使えているかです。
ボールをどれだけ保持するかというよりゴールを目指す、ゴールを守ることをできればと思います。
Y.S.C.C.横浜戦について
ボールを細かくつないで保持する時間を長くしたいという意図のチームで、自分たちと少し似ていると思います。
もちろん違った部分もありますし、しっかりと相手を分析して、また戦い方を構築していければと思います。
中原秀人 選手コメント(9月26日トレーニング後の共同記者会見より抜粋)

愛媛戦は立ち上がりからいい入りができて、試合を通して2-0という結果を含めてよかったです。
ピッチの中にいる時と外から見ている時とで、だいぶ景色が違います。
自分が出ていなかった時にチームが良かった部分を踏まえて、自分がどう入っていくかはイメージしていましたし、それに加えて自分が入った時にどういった個性を出すかは常に意識しながら見ていました。
愛媛戦の展開について
愛媛は前回対戦した時から相手のダブルボランチが技術があるタイプに変わっていたので、持たれる部分に関してはそんなに悲観はしていませんでした。
ただ自由にやらせすぎると危険だということは、分かっていました。
攻撃に移った時もなかなか自分たちが時間を使ってボールを回してゴール前に行くことはありませんでしたが、効率よく奪ったボールを前につけることはできていたので、良かったと思います。
これから必要なこと
切り替えの速さは変わったと思いますし、自分が試合に出ていない時から見ていて、選手のそこの意識は変わったと思います。
もちろん相手があっての試合ですので、自分たちがやりたいことと、やらなければならないことは、しっかりと整備してプレーする必要があります。
試合になれば紙一重の部分もありますが、普段練習でやっているものが出るのが試合だと思っています。
日頃の練習から積み重ねていくしかないと思っています。
米澤令衣 選手コメント(9月26日トレーニング後の共同記者会見より抜粋)

愛媛戦は、首位のチームだったのでそこに勝てたことで勢いに乗れると思いますが、次勝てなければ意味がありません。
次の試合が大事です。
愛媛戦全体を振り返って
前線からのプレスはすごく良かったですし、相手の良さも消せたので、いい試合ができたと思っています。
愛媛戦で狙ったこと
相手のボランチにボールを持たせると難しい展開になるので、2トップ気味で抑えることは準備してきました。
それを試合で出せたことで、一週間の練習が結果につながったと思います。
自分たちがやりたいことはありますが、試合になると1本のシュートが決まって、10本のシュートを打たれても守れれば1-0で勝てるのがサッカーです。
前の試合は自分たちがやりたいことができなかった部分があるかもしれませんが、2-0で勝ち切れたのは、今のチーム力が上がっていることだと思います。
今は結果が大事で、だから結果が出ているという意味でいい試合ができていると思います。
Y.S.C.C.横浜戦に向けて
ここ数試合、相手は調子がいいチームばかりでした。
別に自分たちが受け身になる必要もなく、勝つことだけを考えたいです。
コラム「鹿児島をもっとひとつに。vol.16(Total vol.28)」
狙い続けてきたゴール、決め続けてきたゴール、はるか彼方に見すえるゴール

2021年10月より使われている鹿児島ユナイテッドFCのトレーニング施設「ユニータ」。
トップチームが練習する天然芝グラウンドはよく手入れが行き届いていて、そのすぐ隣には、人工芝のグラウンドがあり、育成組織アカデミーに所属する選手たちが練習に励んでいます。
「あそこで練習していたのが随分前のように感じますね」
武星弥選手は穏やかな表情で人工芝に視線を向けました。
去年まで人工芝のほうで練習をしていた武選手は、多くの方が御存知の通り、U-15とU-18出身。
今回は、そのアカデミー時代のことから振り返ってもらいました。

小学生時代〜ただゴールを決めることが楽しかった
鹿児島市郊外に3人兄弟の次男に生まれた武選手は「兄の影響で自然と」ボールを蹴るようになりました。
小学生になると、兄も所属する強豪チーム「川上FC」に入団。
そして2年生だった時に、大きな出会いがありました。
「親戚がやっているお店によくFC KAGOSHIMAの選手たちが来ていて、多分田上さんとかなんですけど、サッカースクールやっているって聞いたので行ってみようかってなって」
当時、鹿児島からJリーグを目指して活動していたFC KAGOSHIMAで田上裕選手兼監督や谷口堅三選手(現ヴェロスクロノス都農)たちは、県内各地でサッカースクールを運営していました。

武選手は川上FCの練習がない日には谷口コーチ指導のもと、鴨池緑地公園や土のグラウンドだった鴨池補助競技場などで実施するサッカースクールに通うようになります。
「めっちゃ楽しかった憶えがありますね」
ユナイテッドのスクールにも受け継がれていることですが、小学生のうちは基礎をしっかり身につけることに加えて、とにかくサッカーを楽しんでもらって、サッカーを好きになってもらうことを重んじた方針でした。
2016シーズン、川上FCではFWとしてゴールを決める楽しさに夢中になりながら、小学生最後の大舞台である全日本U-12選手権の鹿児島県大会をベスト4で終えます。
そして中学生になってどこでプレーするかの岐路。
強豪からの誘いもあったなかで武選手が選んだのは、発足してわずか3年の鹿児島ユナイテッドFC U-15でした。

当時のU-15はまだ鹿児島県2部リーグ昇格を決めたばかりで、県内での立ち位置は新興勢力。
それでも実際に受けたセレクションや練習参加した時に楽しかったと思えたこと、そして「プロになる事を考えて」と「自分たちでU-15を強くしたい」気持ちもあってユナイテッドに加入しました。

そこにはユナイテッドのJリーグ入りを支えた柳崎祥兵選手の存在もありました。
「ヤナ(柳崎祥兵)さんは川上FCの先輩なんですけど、引退してU-15の指導者になるって聞いて、それから川上のチームメイトたちもユナイテッドに行くっていうし、自然とですね」
中学時代〜どこでやってもゴールを狙い続けた
U-15に入った武選手は早いうちから練習試合や公式戦での出場機会を得て、そこでもゴールという結果を出し続けてきました。
とはいえ、今の武選手からは想像しづらいかもしれませんが、その頃の武選手は成長期を迎えてどんどん背が伸びていく同年代の中でも小柄なほうでした。

「とにかく楽しかったですね。上の学年でやっていて、もうとにかく点を取りたくて奔放にやれていました。体格的には通用しなかったし、足も全然速くなかったし。ただずっとゴールを取ることには自信があったので」
指導者たちも「背はいずれ伸びるよ」と、12歳の武選手の体格ではなくゴールを決める感覚に目を向けていました。
そんな2年生の時に、ひとつの転機が訪れます。
「選抜に行った時に右サイドバックとボランチをやって、そこで評価が良かったらしくて、その評価がチームに伝わって、チームでも本城さんに言われてボランチをすることになったんですよ」

体格がなくてもゴールを決められるということは基礎技術がしっかりしていて、冷静で、周りが見えていて、先の予測もできているからこそ。
指導者としてはその資質を踏まえて違うポジションで、さらなるサッカー選手としての可能性を拡げようとするのは当然のことでもあります。
そして武選手も「ボランチでゲーム作るのも楽しかったです。(ポジションが変わる)悩みとか全然なかったですね」と前向き。
同時に「逆にFWよりもシュートを打ちやすいところもあったし」という補足に、とことん「ゴール」は武星弥を語る上で欠かせないことが分かります。


3年生になるとトップ下へ居場所を移すことになりますが「言われたポジションでやる、みたいな感じです」と意に介すことはありません。
キャプテンマークを巻き、中盤でゲームをコントロールして、前線へボールを運んで、サイドにも展開して、その上で貪欲にゴールを狙い続けます。
アカデミーではU-15、U-18、トップチーム(今ではU-12も含めて)と断絶した組織ではなく、下の年代でも資質を示せば上のチームでプレーするチャンスを得られるのが特徴です。
武選手も中学生のうちからU-18の練習や試合にも参加することで、高校生年代の雰囲気を体感していきます。

少しずつ身長も伸びていって、プレーの幅は拡がり、チームも鹿児島県1部リーグに定着し、県外の大会にも出場して、良い形でU-15での3年間を終えました。
そして次なる進路。
U-18への昇格は、U-15の時と比べると簡単な判断ではありませんでした。
「もちろん悩みはありました。やっぱり(全国高校サッカー)選手権に出たい気持ちはありました。でもプロを目指すことを考えたらユナイテッドでのプレーが一番近いと思ったので」
世の中が新型コロナで混迷する2020年春、武選手はU-18へ昇格しました。
しかし、そこでかなりの難しい状況が待っていて、それ以上の意味で2020シーズンは武選手にとって重大な転機になりました。
高校時代〜どんな時もゴールという結果で未来を拓いた

U-18では新中剛史監督のもと、1トップのレギュラー格で出場していた武選手ですが、チームとしては1勝もできない2020シーズンとなりました。
「正直、最初は(進路選択を)ミスったなって思いましたよ。でも、ここで心が折れたらプロの道は絶対になくなるって思って。とにかく自分が手を抜かない、自分が成長していく、チームが負けていても点を取るって気持ちはありました」
どんな状況でも少なくともゴールという結果は残していたこと、そして自分自身が成長する意識の強さ。
それを認められて武選手は、トップチームがアウェイ戦の際、鹿児島に残って調整する選手たちのトレーニングに参加する機会を得ていきます。
「初めて行った時はやっぱり緊張したし、自分をまったく出せなかったし、思っていたよりレベルが高くて、全然通用することが少なかったです。でも自分が成長していけばやれるという感覚もありました。フィジカルも、技術的な面もまったく追いつけないという風にはまったく思わなかったですね」

高校1年生にして、プロのスピードや技術を頻繁に体感する。
そこで「自分では無理だ」と感じるか「ここを伸ばしていけば通用する」と信じて、努力を続けていけるか。
武選手が後者だったのは言うまでもありません。
ピッチの上ではゴールを狙い続けて、ピッチを離れても身体を大きく厚くするための努力を続けます。
まわりが悲鳴をあげるようなトレーニングメニューに対しても、当然のこととして、率先して取り組み続けてきました。
そして少し繊細な話になりますが、ひとつ下の後輩の話題は避けられません。
小島凛士郎。
2020年9月、トップチームのJリーグ戦へ出場が可能となる2種登録された中学3年生。

「あいつが2種登録決まった時はもうこれまでにないくらい悔しかったですね。まわりはみんな“あいつすごいな”みたいな感じだったんですけど、それがオレは正直分からなかったんですよ。“なんですごいって思うの? 悔しくないの?”みたいな感じで」
U-15で2年間いっしょにプレーして、その能力と可能性はもちろん武選手もよく理解していて、その上での感情でした。
「悔しかったですけど、でも自分がやるべきことをやっていけば絶対また追い抜ける、絶対に自分もトップに絡んでいけるっていう気持ちがあったんですよね。だからそっちを気にするより、自分の中でまた火が点いた」
そして「だからいい出来事だったんですよね、オレからすればあれって」と結論づけました。

2021シーズンになり、ポジションは左サイドハーフに移り「中盤から前は全部やっているんですよね」と笑います。
もちろんそこでも第一優先はゴール。
左サイドからペナルティエリア内へ切り込んでいってのシュートで得点を量産します。
トップチームのトレーニングマッチや、公式試合にあたるJエリートリーグでも出場機会を得て、そしてかつてのコーチ、谷口堅三選手が所属するヴェロスクロノス都農とのトレーニングマッチで2ゴールを決めたのを皮切りに、安定してゴールを決めていきます。
「あそこで意外とやれるかもと思って自信になって、良い循環で、ゴール以外の部分でも思っているよりやれるようになって。中学生の頃も点を取りたいって思いは持っていましたけど、あの頃は多分一番強かったと思います。やっぱりトップチームで点を取ったら評価につながりますし。プロになるってことを考えたら、やっぱり数字を残すことなんです」

3年生ではU-18のキャプテンとしてリーダーシップの面でもプレーの面でもチームを牽引し続けて、そして2022年9月、トップチーム昇格と2種登録が発表されました。
野嶽寛也、神野亮太に続くU-18から3人目のトップチーム昇格。
「もちろん嬉しさはあったんですけど、それと同時に“やってやろう”という気持ちが強かったですかね。もう高校のうちにリーグデビューして点を取りたいって」
プロデビューで満足するような野心ではありませんでした。

11月20日、明治安田生命J3リーグ第34節。
アウェイで行われたカターレ富山戦に臨む18人のメンバーのなかに武星弥の名前がありました。
J2昇格のためには二桁ゴールが必要という、とんでもない一戦でのベンチ入り。
「トップチームの試合前の雰囲気とか本当にいい経験になりました」
は当然ですが、やはりそれだけではありません。
「チャンスが来たら絶対に点を取ってやるって感じで。だから試合が終わって、めちゃめちゃ悔しかったですね。ゲームに出られない悔しさもありましたし、来年自分がプレーするのがJ2になるのかJ3になるのかが決まる試合でもありましたし」
スクールにはじまり、U-15、U-18と続いた武星弥のアカデミー生活の最後は、とびきりの悔しさとともに終わり、そしてプロサッカー選手として2023シーズンを迎えます。

そして今、見すえるゴールははるか彼方に
年初は仙巌園で全員が集合して写真を撮影して、スタジアムで流す映像の撮影をして、西原商会ビル7階ではサポーターも含めての新体制発表記者会見に出席して。
「緊張しました。トレーニングも去年から参加していたんですけど、キャンプの時期とかなかなか自分を出せていない、もっとやれるはずなのに、“やれる”と思っているプレーを出せなかったり、なんか遠慮したり」

そのまま萎えるような武星弥ではありません。
「でもプロに入ったんだからそんなの言ってられないし、自分からどんどん入っていかないといけないし。とにかくキャンプとか練習試合とかで結果を出して信頼を得て、アピールしてリーグに絡んでいこうって気持ちです」
開幕に向けたトレーニングマッチではゴールを記録し続けますが、開幕戦はメンバーに入れず、スタンドから劇的な逆転勝利を見守る一日になりました。
「先は長いし自分のやることをやって結果を出していけば、絶対試合に絡んでいけるはず」
と
「悔しさはありましたけど、逆にそこでもまた火が点いてますもんね」
の両方。
第2節のFC今治戦でリーグ戦に初出場、第7節のテゲバジャーロ宮崎戦ではクラブ最年少記録というおまけもついた劇的な同点ゴール…とそこから先の武選手について多くを語る必要はないでしょう。

「正直思っていたよりも試合に出れていると思います。でも1年目ですけど二桁ゴール目指せないわけじゃないと思いますし、本当はもっと取らないといけない気持ちはやっぱりあります」
今シーズンも28節を終え、残り10節となりました。
「早いですね。本当に早かった。毎日毎日がめちゃくちゃ早いですよ。今も片道1時間かけてユニータまで通いながら、なんか違う景色に見えるんですよ、ユースが練習するところからすぐそこの距離なんですけど。でも半年やってみてプロって本当にやりがいのある仕事だなって思いますね。毎日サッカーに専念できて、めちゃくちゃ楽しくて、これ以上ないくらい幸せです」


それでは、プロサッカー選手武星弥は、これからさらにユナイテッドに貢献するために必要なことをどのようにとらえているのでしょうか?
「もう自分はゴールに尽きると思います。もちろんチームの約束事とかハードワークすることはあります。でもゴールを決めることが絶対チームを救うことにつながってくるので、そこにどれだけのエネルギーを注ぎ込んでいけるかです」
武選手の答えは一貫していて、迷いがありません。
その迷いのなさは、そのままピッチ上でのプレーに反映されていると言えるでしょう。
…と、ここで終われば綺麗なのですが、公式媒体にはある意味禁断の質問を投げかけてみました。
ーもし上のカテゴリーや海外のクラブからオファーがあったらどうする?ー
「このクラブで育ててもらった選手ですし、もちろんこの鹿児島でJ2J1と上がっていくことが理想です。でも同時にJ3のアカデミー出身でも、上のカテゴリーでも通用する、世界に出ていけるんだってことを示さなければいけない立場でもあります。いつかは日の丸を背負うような選手になるのが目標ですし、いずれは海外でやってみたいです。それでアカデミーの選手たちががんばろうって思ってくれたら一番嬉しいです」

そして鹿児島には藤本憲明選手がいます。
「体型も近いものがあるし、裏に抜けるスタイルも似ているし、ずっとノリさんの動画を見て勉強していました」
鹿児島でゴールを決め続けて、鹿児島を離れてからも上のカテゴリーで活躍して、鹿児島のサポーターに喜びと誇りを届け続けて、たくさんの経験を携えてまた鹿児島に帰ってきて、その経験を還元する。
プレーはもちろんキャリアという意味でも、藤本選手は道標になる存在です。

と言っても武選手に「J1でプレーしたい」「海外に行きたい」の淡い未来予想図で、今をおろそかにするようなところはありません。
あくまで次の試合に出ること、ゴールを決めることに集中しています。
一貫して「ゴール」へのこだわりを繰り返してきた武選手ですが、幼い頃はゴールを「目的」にしていた少年は、ゴールを自分とまわりにとって最も価値ある「手段」としても捉える青年になっていました。
また、これまでの武選手の受け答えからはひとつの思考回路が浮かびます。
それは「自分に変えられないことは極力気にしない」「自分に変えられることに力を尽くす」つまり「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる」という思考で、明るく前向きに日々を生きる。
10代にしてその境地に至っているとすると、衝撃ですが。

思えばアカデミー時代に武選手を見てきた指導者たちが称賛していたのはまず「人間性」でした。
22人全員とにかくレベルが高くて、快適にプレーできることなどほとんどなく、監督の戦術次第で評価が一変するのは普通のことで、試合にも絡めないままシーズンを終えることもあるし、大きな怪我をすることだってあるし、才能や可能性があっても成功するとは限らない世界。
選手として大小様々な試練と闘うプロの世界を経験してきた指導者たちは「星弥は人間がしっかりしている。だから大丈夫」と太鼓判を押してきました。
U-15に加入した中学1年生のころから、ずっとそう評価されてきました。

最後に、そんな先輩の武選手から、アカデミーでプレーする後輩たちに向けてアドバイス。
「自分が意識していたことは、練習で絶対に手を抜かない。チームの成績も大事ですけど、個人として自分にどれだけ厳しくできるかが一番大事です。とにかく努力を続けることですね」
聞いてみれば当たり前のことです。
けれどその当たり前をやり続け、やり切ることがいかに難しいかを私たちは日々痛感しています。
当たり前のことを、当たり前のことだから、当たり前にやり切る。
その繰り返しで、心折れてもおかしくない時期も前へ進み続け、おぼろげだった「プロサッカー選手になる」というゴールへ至った武選手。
次なるゴールは「鹿児島ユナイテッドFCとともに上のカテゴリーへ登っていくこと」。
そして…そして…サッカー選手として目指す世界の舞台でのゴールははるか先。
未だまだはるか彼方なゴールを現実のものとするため、武選手はこれからもまず「次の試合」でのゴールを狙い続けます。

2024年度U-15選考会

2024年度に向けた選考会を10月8日(月)申込締切、10月14日(土)実施で予定しております。
詳しくはリンク先をご参照下さい。
2024年度U-15選考会について – 鹿児島ユナイテッドFC オフィシャルサイト (kufc.co.jp)