【8月13日マッチデープログラム】 KUFC MATCHDAY PROGRAM 2023 vol.12
鹿児島ユナイテッドFCのマッチデープログラム電子版。
今回は8月13日に行われる2023明治安田生命J3リーグ第22節、鹿児島ユナイテッドFC vs AC長野パルセイロのマッチデープログラムです。
日程表・順位表・テキスト速報
前回までの振り返り
2023年7月29日(土)2023明治安田生命J3リーグ第20節
vs カターレ富山 会場:白波スタジアム(鹿児島県立鴨池陸上競技場)
前節、首位愛媛FCとのホーム戦を1-2の逆転負けして迎えた2週続けてのホーム、カターレ富山戦。
4分、中盤でボールを奪われるとスルーパスからのゴールで先制を許す。
鹿児島は反撃に出る。
10分、右サイドバックに入る渡邉英祐が入れたボールに、藤本憲明がゴール前で狙うがわずかに決まらず。
18分、左サイドで野嶽寛也、薩川淳貴、端戸仁とつないで再び受けた薩川が一気に長駆ドリブルで持ち上がる。
ファーサイドに送ったクロスを藤本が頭で合わせて同点に追いつく。
鹿児島のペースで前半を折り返す。
55分、中盤で藤本と端戸が連携してボールを奪い、端戸が前線へ持ち上がる。
藤本が右前を走り、左サイドの福田もパスを呼び込む。
そのままドリブルを続ける端戸が左足を振り抜いたシュートがゴール隅に決まって逆転。
直後にゴール前でヘディングを打たれるが松山健太がしっかりと弾く。
87分、右サイドから武星弥、野嶽とつないで富山がカットしたボールを渡邉が奪い返し、クロスを入れる。
高々と空中で待つ鈴木翔大の今シーズン初ゴールとなるヘディングが決まって3-1で勝利した。
2023年8月5日(土)2023明治安田生命J3リーグ第21節
vs テゲバジャーロ宮崎 会場:ユニリーバスタジアム新富(宮崎県児湯郡新富町)
1,000名を超えるサポーターが鹿児島からアウェイに訪れたテゲバジャーロ宮崎との九州ダービー。
しかし2分、左サイドからニアに入ったクロスを合わされ先制される。
そこからも押される展開が続くが、広瀬健太や松山健太たちの守備で追加点は許さない。
57分、左サイドからのクロスを逆サイドで収めた五領淳樹がフェイントを入れて左足のシュートをニアサイドに決めて同点に追いつく。
直後に前十字靭帯の負傷から約10ヶ月ぶりに米澤令衣がピッチに戻ってくる。
米澤はいきなり左サイドから切り込んでシュートを打って、スタンドが沸く。
70分、遠目から宮崎の打ったシュートが鹿児島陣内にこぼれて、拾われたところを決められて再び勝ち越される。
鹿児島は鈴木翔大、武星弥たちが次々と決定的な場面を作るが、同点ゴールが決まらない。
90分、最終ラインでのパス回しをカットされるとそのままボールをつなげられ1-3。
それでも鹿児島は92分、右サイドから渡邉英祐が入れたボールをニアサイドで鈴木が合わせる。
さらにチャンスを作るが追いつけず、2-3で痛恨の敗戦となった。
大嶽直人 監督コメント(8月10日トレーニング後の共同記者会見より抜粋)
長野戦は最初から相手を圧倒する部分と、相手の良さを潰しながら優位に進められるようにしたいです。
早い時間帯の失点が続いていますが、自分たちが優位に進めている割にはボールを失うことが多いこと、セカンドボールを奪取できない部分で失点するので、そこは立ち上がりから強度を持ってプレーできれば問題ありません。
それができる自信をつけることが必要です。
また相手がいて、色々な状況があるなかでも自分たちがやっていることをどれだけ継続できるかが大事で、そこにちょっとした変化も付け加えられればなお良いです。
スタメンで出ている選手に加えて途中出場の選手、新たに出場機会を得た選手がチームのために働いてくれて、鹿児島のサッカーを発揮して欲しいですし、出た選手がいいパフォーマンスを出せるように調子を上げていきたいです。
そういったことを長野戦に限らずできるように、悔いのないようにすべてを出し切っていきたいです。
野嶽寛也 選手コメント(8月10日トレーニング後の共同記者会見より抜粋)
自分がボランチで出場したこの2試合、結果で言えば1勝1敗なので、良いとは思いません。
富山戦は良さを出せましたが、宮崎戦ではもっと自分がいいプレーをしてチームに貢献できれば、勝利を手繰り寄せられたという責任を感じています。
今シーズンは2つのポジションをやりながらの難しさはありますが、自分に足りないものを考えるとサイドバックができたことは大きいです。
その経験が活きたのが富山戦でした。
自分の成長という意味では試合に出て、去年よりも上回れている感覚はあります。
どちらのポジションでも質の高いプレーができるようにしたいです。
これからチームとして試合をしながら修正して、ひとつひとつ自分たちが勝ち点3を持っていく強かさを1人1人が考えてピッチ上で実践できれば、打ち合った試合でも勝ち点3が取れると思います。
そこも全員で共有できればと思います。
相手に合わせるというよりは、分析をした上で、相手の動きも踏まえて頭を整理した上で、自分たちのやるべきサッカーをして、ホームで勝ち点3を取れるようにしたいです。
米澤令衣 選手コメント(8月10日トレーニング後の共同記者会見より抜粋)
去年怪我した時は昇格争いをしている中での離脱だったので、悔しい気持ちがありました。
宮崎戦ではアップの前からチャントを歌っていただいたり、バス待ちでもいい雰囲気を作ってもらっていました。
ホームのような雰囲気でしたし、試合には勝ちたかったです。
もちろんチームに貢献したい思いはありますが、まずピッチに戻ってこれたことで、がんばってきて良かったと思っています。
誰が出ても同じようなサッカーができていますし、おもしろい攻撃もできている中でちょっとした入りのミスなどが、最近は簡単に失点につながっています。
それでも、ミスをしても失点をしなければ大丈夫くらいの感覚でやれたらと思います。
これからも簡単に勝てる試合はひとつもありませんし、相手も本気で勝ちに来ています。
まず自分も試合に出るためにしっかり準備して、出られれば得点もですが、チームとしても勝ちきりたいです。
コラム「鹿児島をもっとひとつに。番外編(Total vol.24)」
オフィシャルカメラマンの思い出と写真で振り返る10年
7月29日のカターレ富山戦。
藤本憲明、端戸仁、鈴木翔大、3選手のゴールを届ける写真は多くのサポーターに「これがプロか」と感嘆させるものでした。
写真を撮影したのは川越亮さん。
2014シーズンに鹿児島ユナイテッドFCが発足して以来、クラブのオフィシャルカメラマンとして、クラブの歴史を写真という形で残して下さっています。
今回はコラム番外編として、川越さんが撮影されてきたなかで印象に残っている写真をご紹介していきます。
2014シーズンポスター
いきなり写真そのものではありませんが、川越さんにとってユナイテッドで最初の仕事。
「すごく細かいポーズまで指定があって、選手もそっちのプロではないので大変だろうなって思いましたけど、タノさんはあの頃から上手かったです笑」
雄々しく咆哮する初代キャプテン田上裕は、その頃から応援リーダーとしての資質があったということでしょうか。
プロカメラマンとして活動する川越さんにとって、これまでも手がけた写真が雑誌に掲載されたり、ポスターとして掲出されることもありましたが、ユナイテッドのポスターは街のあちこちで見ることができたことで、反響の大きさを感じ、また嬉しさが深まったものでした。
「SNSでJ2のサポーターが“うちのよりカッコいいじゃん”と書いているのを見て嬉しかったですね」
2014JFL1stステージ第2節 vs 横河武蔵野FC
2014年3月23日 鹿児島県立鴨池陸上競技場
山田裕也選手が決めた鹿児島ユナイテッドFCのホーム初ゴール。
「我ながらよく撮れたなー」と川越さん。
メインスタンドに3,000名を超える観客が集まる光景は、高校サッカーを別にすると、それまで1,000名を超えることが稀だった鹿児島のサッカー界にとって歴史的な瞬間でした。
この試合は山田選手のゴールを皮切りに山本啓人選手、谷口功選手、中筋誠選手が相次いでゴールを決めて4-0と勝利。
通常カメラマンはメインスタンド周辺で撮影するのですが、この試合での川越さんは「この大観衆を入れた写真を撮りたい」とバックスタンド側に陣取っての撮影でした。
その狙い通り、鹿児島サッカーの新しい時代の到来を華々しく告げる一枚になりました。
2015JFL2ndステージ第1節 vs アスルクラロ沼津
2015年6月21日 霧島市国分運動公園陸上競技場
J3入りの条件である「4位以内」の4位にいるユナイテッドと、5位アスルクラロ沼津との直接対決。
取って取られての激戦は終了間際に五領淳樹選手が故郷で、リーグ戦初ゴールを右足の豪快なミドルシュートを決めて、3-2で勝利!
悲願のJリーグ入りに向けて大きく前進した試合でした。
「ユナイテッドマガジン(当時クラブ公式で発刊していた媒体)の表紙に使ってもらった写真だからよく憶えています。あれは今でも時々見返すんですよ」
藤本憲明選手
Jリーグを舞台にした2016シーズン。
2015シーズンで活動休止したSP京都FCから加入した選手の1人が藤本憲明選手でした。
どれだけやれる選手なんだろうって思っていたんですけど、こんなにもたくさんの人たちを笑顔にできる。
本当に素晴らしい選手だって思いました。
彼が大分、神戸に行ってからは“僕は日本で一番藤本のゴールを撮ったカメラマンだ”って言ってます笑。
その頃に駆け引きのことをインタビューで言っていましたが、今シーズン鹿児島に復帰した藤本選手はずっと細かく動きながら相手と駆け引きしているのが分かります。
僕も昔はボールの周辺に寄りがちでしたが、そういうところにも目が行くようになりましたね。
仙巌園での撮影
2017シーズンから、年始めのチーム始動を前にした写真撮影を仙巌園で行うようになりました。
桜島を背景にした集合写真は、より鹿児島らしさが感じられるものに。
また仙巌園内の階段や錫門などの名所で撮影するのも恒例になり、昨シーズンからはカレンダーとしても販売されています。
「結構移動は大変なんですけど苦笑。今まで一度も雨がなくて本当に助かっています」
2017シーズンのバス待ちの風景
「昔の写真を探していたら出てきました。あの頃はまだこれくらいのサポーターで、今の景色と比べると感慨深いです」
まだ人数は少なくとも試合に臨む選手たちを、勇気づけようというサポーターの熱さに満ちた一枚です。
松下年宏 選手
鹿児島実業高校を卒業後はガンバ大阪やアルビレックス新潟、FC東京、ベガルタ仙台、横浜FCで活躍。
華々しいキャリアとともに、2017-18シーズンを生まれ育った鹿児島でプレーした松下年宏選手(現V・ファーレン長崎U-12監督)も川越さんにとっては印象的な選手。
「どの試合か覚えていないんですけど、後ろの方から一本のロングパスで藤本選手に合わせたことがあって衝撃を受けました。これまでも鹿児島の選手たちはがんばってプレーしていたけど、J1でやっていた選手は違うと感じさせられました」
2019明治安田生命J2リーグ第10節 vs FC琉球
2019年4月21日 白波スタジアム(鹿児島県立鴨池陸上競技場)
J2に昇格して最初なかなか勝てなくて、外国籍の大きな選手に吹っ飛ばされることもあって、やっぱり厳しいのかなって思っていたんです。
この試合も終盤まで0-0で、それでもいいかと思っていたら(92分に)五領選手のゴールが決まって。
はじめて撮りながら泣いていました。
この写真はSNSでもすごく反響がありました。
40歳になってカメラマンの仕事も安定してきて、悪く言えば刺激がなくなってきた、そんな時に“自分はまだまだ心が動くんだ”って思わせてくれた節目でもあります。
2019明治安田生命J3リーグ第19節 vs 栃木SC
2019年6月22日 白波スタジアム(鹿児島県立鴨池陸上競技場)
ユナイテッドマガジンの表3(背表紙の裏)で使ってもらえてすごく嬉しかった写真です。
クラブの歴史を語る上で欠かせない2人ですよね。
赤尾さんのゴールをまっさきに祝福に来たタノさんと2人が喜んでいて、これが正面じゃなくて背中っていうのもいいですよね。
ヴォルカ鹿児島とFC KAGOSHIMAの時代から撮っていましたが、その頃からこの2人は持っている雰囲気が違いました。
2019明治安田生命J2リーグ第23節 vs FC岐阜
2019年10月30日 白波スタジアム(鹿児島県立鴨池陸上競技場)
この試合も0-0で、この日もゴールはないかなと思ったんですけど最後の最後に決まって。
実は途中でなにか予感がして撮影位置を変えていたんです。
この試合の後にルカオ選手がSNSで”働きながらサッカーを続けていたけど、神様は見てくれている。ありがとう”みたいなことを書いているのを見て涙を流していたんですけど、それも含めて印象的なゴールです。
本当に選手それぞれに思いがあってプレーしているんですよね。
2019明治安田生命J2リーグ第42節 vs アビスパ福岡
2019年11月24日 レベルファイブスタジアム
福岡で別の仕事があった関係で、唯一参加したアウェイ戦です。
鹿児島のサポーターが本当にいい雰囲気を作っていて、感動して武者震いがして正直“いける”って思っていました。
鹿児島はこのサポーターの声があってこそです。
試合後のこのサポーターの様子はなんとも言えなくてすごく印象的です。
相手の福岡の応援もすごかったですし、やっぱりサッカーってサポーターの声で、チームとサポーターが一体となって闘うものなんだと感じた試合でもあります。
2020明治安田生命J3リーグ第2節 vs カマタマーレ讃岐
2020年7月5日 白波スタジアム(鹿児島県立鴨池陸上競技場)
今思うとなんなんでしょう。
スタンドに誰もいないのは、異様な光景でした。
でもタノさんがいつも言っている“当たり前なんてないんだ、試合ができることに感謝しないといけない”と思わされた試合でもあります。
それから試合後に馬場賢治選手が電光掲示板に映ったサポーターに手を振っていて、長く第一線でプレーしてきた選手はファンを大切にするんだなって思いました。
馬場さんとは去年の讃岐戦でいらした時に少しお話したんですけど、“僕の最後の写真を残してくれてありがとうございます”って仰って下さって、写真を撮る意義を認識させてくれました。
2020明治安田生命J3リーグ vs ガンバ大阪U-23
2020年12月13日 白波スタジアム(鹿児島県立鴨池陸上競技場)
前半は肌寒かったんですけど、後半暑くなってそこからチームのスイッチが入った気がしました。
この試合の前に契約満了が発表された川森有真選手(現レイラック滋賀)がベンチ入りしたことにびっくりして、1-4で負けている時に投入されて。
彼はなんとなく印象にあって、苦労人だったじゃないですか。
試合は徐々に手拍子が大きくなって彼の登場で一気に会場が沸いて。
正直このシーズン、なかなかボールと人が前に向かっていかないなと撮りながら思っていました。
それが川森選手はずっとこっちを向いてゴールに向かって行くんです。
同点ゴールを決めてからも走ってボールを奪って、またゴール裏の自分の方向に目線が来て、向かってきて“俺にはあと何分しかない。まだまだ取る”って想いが伝わってきて、撮りながら泣いていました(2回目)。
水本勝成選手と酒本憲幸選手のゴールも印象深いです。
2021明治安田生命J3リーグ第27節 vs AC長野パルセイロ
2021年11月28日 白波スタジアム(鹿児島県立鴨池陸上競技場)
酒本憲幸選手はとても好きな選手でした。
本当に上手くて、合い出すと次々とゴールが決まっておもしろくて、楽しませてもらいました。
やさしくてみんなに愛があって、若い選手たちにも緊張させないように話しかけていて。
でもこのシーズンを見ているとだんだん思うようにプレーできないもどかしさがあるように感じられました。
それで9月に引退を発表して、この最後のホーム戦。
試合後に膝をつく酒本選手の様子を見てなんとも言えない気持ちになりました。
長くこの仕事をしているとだんだんと、必死こいてやってきて、怪我とかがあっても走り続けてきた選手たちを送り出すことが増えてきて、辛いという気持ちもあり、責任も感じますね。
有田光希 選手
2022シーズン「ありたん」というとんでもない選手がきたぞ、と。
本当に楽しい選手です。
ベクトルが外に向いていてファン、サポーターのためというのが感じられます。
どんどんゴールを決めて、パフォーマンスをして、お客さんを楽しませてくれて。
世の中的にもコロナが緩和されてきて、サポーターの音も大きくなって盛り上がってきました。
プロスポーツってやっぱりいいなって思ったのが2022シーズンでした。
でも実はあまり有田選手の決定的なプレー写真は多くないことを指摘されると苦笑い。
有田選手はずっと相手ディフェンスと駆け引きをしながら、ゴール前で生じた一瞬の隙を狙って、クロスやパスにピンポイントで合わせるのが得意なため、撮影機会が極端に限られるのです。
武星弥 選手
こんな18歳が出てきたんだという衝撃を受けました。
これだけレベルが上った舞台で大人たちに混じっていながら堂々とプレーしているのが本当にすごい。
時代を感じますね。
(武選手が初ゴールを決めたテゲバジャーロ宮崎戦で)復帰した藤本選手もやっぱり役者が違うと思いました。
4タッチくらいしかしていないのに同点劇をお膳立てして。
それから悔しがっているGKの植田駿佑選手(現テゲバジャーロ宮崎)も印象的ですね。
2014シーズンのポスターで起用された選手が、今でも違うクラブでも選手を続けているのは感慨深いものがあります。
2018明治安田生命J3リーグ第33節 vs アスルクラロ沼津
2018年11月25日 白波スタジアム(鹿児島県立鴨池陸上競技場)
鹿児島のJ2昇格を決定づけた中原秀人選手のゴール。
右サイドを野嶽惇也選手(現大分トリニータ)が突破してクロスが入り、中原選手が合わせて、ゴールが決まって、選手たちが抱き合う。
その一連の流れを川越さんは余すところなく撮らえきっています。
この試合のエピソードや、カメラマン川越亮はどのようにして今を確立するに至ったのか、そしてユナイテッドに対する想いなどを次回、当コラムにてお届けする予定です。