DAZNに入会+ユナイテッドFCの試合を視聴してクラブを応援しよう!

お知らせ

  1. ホーム
  2. お知らせ
  3. 【4月3日マッチデープログラム】 KUFC MATCHDAY PROGRAM 2024 vol.04
2024.04.02 お知らせ

【4月3日マッチデープログラム】 KUFC MATCHDAY PROGRAM 2024 vol.04

鹿児島ユナイテッドFCのマッチデープログラム電子版。
今回は4月3日に行われる2024明治安田J2リーグ第8節、鹿児島ユナイテッドFC vs ヴァンフォーレ甲府のマッチデープログラムです。

明治安田×Jリーグ パートナー10周年記念マッチ 2024明治安田J2リーグ第8節

日程表・順位表・テキスト速報

前回までの振り返り

2024年3月24日(日)2024明治安田J2リーグ第6節
vs 横浜FC 会場:白波スタジアム(鹿児島県立鴨池陸上競技場)

水曜日のアウェイ大分戦に0-3で敗戦し、大雨のなかで迎えた第6節、横浜FC戦。
開始直後の3分、右サイドから入ったクロスをゴール前で合わされて先制される。
反撃に出る鹿児島は5分、右サイドからパスを回して左サイドへ開き、外山凌が入れたクロスに藤村慶太が頭で合わせるがGKがキャッチ。
11分、ゴール前でンドカ チャールスが競ったボールを田中渉が強烈なシュートを打つ。
しかし24分、鹿児島守備陣の背後へ出た横浜FCに対してGK泉森涼太が飛び出すが決定機の阻止としてレッドカードで退場を宣告される。
32分、今度は左サイドの裏へボールが送られ、ペナルティエリア内で外山が相手を倒して2枚目のイエローカードで退場。PKを決められ、0-2とリードされる。
42分、コーナーキックから打点の高いヘディングで合わされて0-3。
45分、またも鹿児島ゴール前のクロスからヘディングで合わされるが、途中出場したGK大野哲煥が身体で防ぐ。
2人少ない鹿児島はそれでも56分、ボールを回しながら五領淳樹のスルーパスを受けた山口卓己がシュートまで持ち込む。
何度も危機的状況を迎えるが、鹿児島の選手たちは集中を切らすことなくコースを切り、シュートを跳ね返し、サポーターは大声援を送り続ける。
74分、ペナルティエリア内でのファウルで2度目のPKを決められ0-4。
そのままスコアは動かず0-4で雨中の一戦を終えた。

2024明治安田J2リーグ第6節監督・選手コメント – 鹿児島ユナイテッドFC オフィシャルサイト (kufc.co.jp)

2024年3月30日(土)2024明治安田J2リーグ第7節
vs 水戸ホーリーホック 会場:ケーズデンキスタジアム水戸(茨城県水戸市)

前節の大敗を経て迎えた第7節はアウェイで水戸ホーリーホックと対戦。
強い風が吹き、ボール扱いに苦慮する立ち上がり。
14分に田中渉から藤本憲明へのロングパスが渡り、リターンを受けた田中はそのままシュート。
16分、右サイドの五領淳樹が軽く落としたボールを藤村慶太はダイレクトで前線へ。
藤本が抜け出て、そのままシュートを打つが、GKが処理する。
29分、鹿児島陣内でボールを奪うと田中は遠いところから相手GKの頭上を狙ったシュート。
それをキャッチした水戸はさらなる速攻から鹿児島の背後を取り、シュートまで持ち込むがGK大野哲煥が防ぐ。
33分、高い位置でボールを奪うと米澤令衣、田中とつないで最後は野嶽寛也がシュート。
38分、ペナルティエリア周辺でのパス回しからシュートを打たれるが大野がキャッチ。
50分、中盤の競り合いでこぼれたボールを藤本が高々と前線へ蹴り出し、五領が収め、五領からのパスを受け取った田中が左足で狙う。
77分、コーナーキックのこぼれ球を山口卓己がシュートするが水戸の守備陣に遮られる。
終盤、両サイドからのクロスで水戸の攻撃を受けるが、最後まで集中して跳ね返す。
最後までスコアは動かず0-0で試合を終えた。

2024明治安田J2リーグ第7節監督・選手コメント – 鹿児島ユナイテッドFC オフィシャルサイト (kufc.co.jp)

藤村慶太 選手コメント(3月30日水戸ホーリーホック戦後会見から抜粋)

ここ何試合も立ち上がりの失点でゲームを壊していたので、立ち上がりの10分、ゴールキックはラインを上げて蹴るといったことを決めて入りました。
それで前から拾ってチャンスも作れていましたし、それが鹿児島らしいかと言われればそうではありませんが、こういう試合も長いシーズンでは必要です。
今日の試合は負けることだけは許されないと思っていたので、まずアウェイで勝点を拾うこと、無失点で抑えることはチームとして表現できました。
それは前向きにとらえられますし、次に向けていい試合になりました。

ラインコントロールについて

相手があることで一概に言えませんが、10分の入りという大きなところから相手の陣地にボールを送ってそこから拾うこと、相手に取られても前向きに守備をすることが今までと違うところでした。
また前が行く時に声かけができていて、今までは前だけ行って後ろが行かなくて空いてしまったり、上げすぎて背後を狙われたりしていましたが、そこの統一ができました。

セットプレーについて

自分がキッカーをやっていますが、こういう0-0の試合ではセットプレーで1本取れると大きいので、キッカーとして質を高めていきたいです。

次節以降に向けて

まず今日の試合に関しては0失点で抑えられたことはチームとして自信になりました。
これを基準として、守備から攻撃のところで、鹿児島の良さである攻撃を表現できるようにしたいです。
今日はピッチの状態が良くなくボールをつなぐのに少し苦労しましたが、そのなかでも1人1人がピッチでの立ち位置を良くしたり、ボールを受ける準備を少しずつ早くしていけば相手を剥がせたと思います。
そこは次の試合に向けて高められると思います。
甲府も1人1人のクオリティーは高いですが、スキはあるのでそこを突いていければ攻撃という意味で得点は取れると思います

広瀬健太 選手コメント(3/31トレーニング後の共同会見より抜粋)

水戸戦は堅い試合で、僕はセットプレーが鍵になると思っていました。
そこの部分でやられなかったところは改善されたところだと思います。
自分が入った時の役目としてはサイドバックに高さが必要だというところで投入され、ボールが来る機会はありませんでしたが、ゼロで抑えられたので良かったと思います。

サイドバックとしてのプレーについて

どこをやってもそのポジションでできるように準備することを言われています。
サイドバックに入っても同じようにしなければなりません。
これまでクロスが入ってファーサイドでやられることがあったので、それをやらせないようにということで投入されました。

無失点について

今シーズンはじめてのクリーンシートで自信になります。
次の試合はすぐに来ますがそこで失点しては意味がないので、もう1回引き締めなければなりません。
自分たちを見つめ直してやっていきたいです。

ピッチ外から試合を見て感じていたこと

J2はレベルが高いですし、個々の能力も高いです。
そこで負けないことが大事なことです。
また失点する時間が早く相手に余裕を持たれることが多々あったので、先制点が大事になってきます。

甲府戦に向けて

甲府は元J1でタレントが多いのでチームとしてしっかりすること、先制点をやらないことが鍵になると思います。
失点をゼロにしつつ、攻撃的なチームとして相手に圧をかけていければと思います。

小島凛士郎 選手コメント(3/31トレーニング後の共同会見より抜粋)

(U-19日本代表のヨルダン遠征から)鹿児島に帰ってきて安心したというかホッとしました。
ヨルダンの食事が悪いというわけではありませんが、食べなれたものは違います。
空港でお蕎麦を食べて泣きそうなくらい美味しくて、鹿児島に帰ってきて親の手料理を食べて、焼き肉、寿司と食べたいものは食べましたが、幸せなことだと思いました。

代表でのプレーについて

一度U-16で代表候補のキャンプには行きましたが、プロになって自分自身のサッカーにプライドを持っての状態で初めて正式な代表として国際試合をすることができました。
やってみて一番感じたのは「楽しい」ということでした。
終わって帰って、みんなから感想を聞かれても「楽しかった」が出てきます。
現実のものとして(U-20)アジア杯があって、(U-20)W杯があります。
もともと入っている選手は代表に入ったからどうこうではなく、本当に日本としてアジア杯で勝てるか、W杯で活躍できるかを真剣に考えてプレーしています。
志が高く、ちょっと聞いたら夢のような話に聞こえますが、自分もそうやってアジア杯、W杯を本気で目指すレベルまで来ていることが分かりました。
またひとつ基準を上げて、目標をさらに高く持ってやっていかなければならないと感じました。

鹿児島に帰ってのトレーニングについて

鹿児島は芝がきれいで、ヨルダンはぼこぼこですごくサッカーがやりやすかったです。
代表の強度も高いですが、うちの練習の強度もあらためてすごく高く、研ぎ澄まされていると感じました。
楽しかったですし、このチームだったら成長できると帰ってきて改めて感じました。

甲府戦に向けて

まだ試合には絡めていない状態ですが、僕はいつでも行ける準備はできていますし、確かな手応えを持って代表から帰ってきました。
チャンスがあれば全力でプレーして、勝利に貢献したいと思います。

コラム「鹿児島をもっとひとつに。vol.23(Total vol.35)」
川森有真 選手(wyvern所属)

鹿児島ユナイテッドFCが誇る選手たちが鹿児島の温泉や銭湯の魅力を、鹿児島県内外に発信する「鹿児島ゆアルテッドFC」。
先月26日、田中渉選手が登場すると大きな話題になりました。

そんな温泉銭湯のなかから、2016-19シーズンにかけてポスター撮影のロケ地となった太陽ヘルスセンターが3月をもって惜しまれつつ営業を終了しました。
「(元トレーナーの古川)将也とか(元選手の谷口)功さんとかから、“閉じるってよ”と連絡が来ましたよ」
かつて太陽ヘルスセンターで働きながら、鹿児島ユナイテッドFCでプレーしていたのが川森有真選手。
2024シーズンから愛知県のある東海社会人1部リーグの「wyvern(ワイヴァン)」で働きながらプレーしています。
奇しくも昨シーズンまで鹿児島でU-12のコーチを務めた宮崎貴史さんがトップチームのコーチを務め、2015-16シーズン鹿児島の監督としてJリーグ入りを導いた浅野哲也さんがアカデミーダイレクターを務めるという意味で縁のあるクラブです。
取材の日も川森選手は午前のトレーニング、午後の仕事を終えてからの夜、鹿児島でプレーした日々のことを振り返ってくれました。

練習生からJFLの鹿児島へ

練習参加した時の川森選手。空き番号の28を着用している

三重県に生まれ地元で頭角をあらわし、U-18世代の名門サンフレッチェ広島ユースでは3年生の時に高円宮杯全日本ユース選手権で優勝。
多くのプロサッカー選手を輩出する関東の強豪、東洋大学に進学しました。
3年生の時には1部リーグでレギュラーとして出場し続け「これならプロに行けるかも」という自信を抱くほどでしたが、4年生の時は「サッカー人生で初」という怪我での長期離脱。
Jリーグからの声がかかることはなく、それでも「一般企業への就職は考えていなかった」川森選手は、知人からの紹介でいくつかのクラブに練習参加して、そのうちのひとつが誕生して2年目のシーズンを迎えようとしていた鹿児島ユナイテッドFCでした。
すでに年が明けて、どこのクラブもチーム編成が固まっていくなか、練習参加を踏まえた鹿児島から正式なオファーが届きました。
働きながらでなければ生活できない金額の給料、知り合いもいないところに急ぎ引っ越しをしなければならない状況でしたが、川森選手は決断しました。
Jリーグ入りを目指すクラブとして午前に練習するため、午後はスポンサー企業でもある太陽ヘルスセンターで働きながらのサッカー生活が始まります。

2016シーズン、ゆアルテッドの撮影隊を「従業員」として迎える川森選手

出番を得るためにもがいた2年

当時の鹿児島ユナイテッドFCは創設2年目でしたが、前のシーズンをJFL3位で終えていて、J3入りを本格的に目指す2015シーズンでした。
「個々の選手はみんなやっぱり上手かったです。でも正直入る前、大学ではそういうプロのチームとも対戦したこともあったし、がんばれば試合には出れると思っていたんですけど」
チームに合流して1週間くらい、まだ選手登録も完了しない頃、ぎっくり腰になってしまいます。
「ジムでトレーニングして、着替える時に服を脱いで手を上げただけで…」
まさかなスタートでした。
シーズン序盤は出遅れますが、それでもなんとか食らいついていこうとアピールを続けた川森選手は夏前から徐々に出場機会を得ていきます。
第8節のアスルクラロ沼津戦で途中出場すると、第9節のヴェルスパ大分戦で初のスタメン出場。
再びベンチから72分にピッチへ送り出された第10節の横河武蔵野FC戦。
0-0のままで迎えた後半アディショナルタイム。
右サイドから井上渉さんが入れたクロスを川森選手がトラップしたボールはマークに付いていた相手ディフェンスの頭上を超えて…
勢いよく相手ディフェンスの裏に抜け出ると、そのままボレーで叩いたシュートがゴールに突き刺さります。

「俺まじでビビったですもん」
当時の写真を見ても決めた喜びというよりはびっくりの表情をしています笑
第12節の流経大ドラゴンズ龍ケ崎戦ではヘディングで2ゴール目。
それでもこの時期「(Jリーグ入会条件の)4位以上は当然」が重圧になり、さらに前年の躍進ぶりから対戦相手にも警戒され研究されるなかで、ユナイテッドは苦しい試合が続きます。
スタメンの1トップで起用されるのは山田裕也、セルビアから夏に加入したネナド・ジヴコヴィッチが中心で、川森選手は途中出場かベンチにも入れないか。
最終的にユナイテッドはJFL4位でJリーグ入りを達成しました。

「あんまりシーズン後半試合に絡んでいなくて、正直貢献したっていう意識がないんです。みんなのお陰でJ3に上がることができて、一応Jリーガーにならせてもらったという感覚です」
だからこそ「やってやるぞ」の気持ちに燃えて迎えた2016シーズン。
1-4-2-3-1を基本のフォーメーションとするなか、1トップのレギュラーポジションをつかんだのは、新加入の藤本憲明選手。
1トップ下には鹿屋体育大学から加入した1年目の中原優生さんが入り、2人でゴールを量産します。

2016シーズンに15ゴールを記録した藤本憲明選手(9)と8ゴールを記録した中原優生さん(17)

そんな2016シーズンなかばの第14節の藤枝MYFC戦。
0−0で迎えた終盤72分、川森選手がピッチに投入されます。
そして83分、相手のクリアボールをぎりぎりで追いついたキャプテン田上裕が頭で折り返して、ゴール前に詰めていた冨成慎司のシュートがポストに当たって跳ね返って…そこにいました。

「この時も結局僕以外のタノ(田上)さん、トミ(冨成)さんたちみんなが走ってこぼれてきたゴールやったんで。落ち着いているとか全然ないですよ笑。この写真の表情見て下さい。試合の後みんなに”お前のゴールちゃうからな”って釘を刺されたのはよく覚えています笑」
えーと、これは先輩たちから最大限に愛情を浴びまくる川森選手、ということです笑
とはいえチームははじめてのJ3リーグを16チーム中5位で終えましたが、川森選手はJリーグ初ゴールこそ記録したものの、このシーズンも納得できる活躍はできず不完全燃焼に終わります。

ついにポジションをつかんだ3シーズン目

三浦泰年監督を迎えた2017シーズン。
監督が変われば選手を起用する基準もある程度変わるものですが、前線には藤本&中原優生という絶対的な柱があり、福岡大学から加入したばかりの鹿児島市出身のFW野嶽惇也選手(現大分トリニータ)も出場機会をうかがい、川森選手はベンチにも入れずスタンドから観戦する日々。
「今シーズンはJ2に昇格する」という期待を受けていたチームは、しかし4連敗を喫するなど昇格争いから引き離される難しいシーズンになります。

転機が訪れたのはシーズン前半最後の第17節、SC相模原戦。
川森選手が唐突にスタメンに名を連ねて、藤本選手との2トップを組むことになったのです。
「チームがうまくいっていない時に”何が足りんかな”と考えていて、自分の良さも考えると裏へ抜けるっていうことにこだわって、他の人との違いを出さなあかんと思いながらやっていて。ノリ(藤本)さんも裏抜けが得意なんですけど、自分のは無駄走りじゃないですけど、そのまわりでちょろちょろ動くやつがおったほうが良かったはずなんです。それで相模原戦の前に健康の森公園で練習試合があったんですけど、そこのプレーを見て、オーシ(大島康明)さんが推してくれたらしいです」
初出場初スタメンの相模原戦、前半終了間際に左サイドから永畑祐樹が上げたクロスを右サイドバックの水本勝成さんがゴール前へ折り返したところを川森選手がボレーで合わせて先制!
実は「当日のミーティングでスタートから行くって言われて、バスの中で吐きそうになって…いや嘘で吐きそうまではないですけど笑」という川森選手ですが、3-1でアウェイでの初勝利に貢献するとスタメンに定着します。

【公式】ハイライト:SC相模原vs鹿児島ユナイテッドFC 明治安田生命J3リーグ 第17節 2017/7/16

チームは最終的に4位で昇格を逃したものの、川森選手は3ゴールという数字以上に欠かせない存在としての地位を築き上げ「自分がやれるって自信がついた」と言えるシーズンとなりました。

”レギュラー”で挑んだ4シーズン目

藤本選手が2年連続J3得点王を置き土産にJ2大分トリニータに移籍して、誰がFWの中心になるのか競争の読めない2018シーズン。
ピッチ外では鹿児島の温泉銭湯をPRする活動「鹿児島ゆアルテッドFC」のメンバーに選ばれて、色々な意味で中心選手への飛躍が期待されるシーズン。

開幕戦から川森選手は2トップの一角で出場し続けます。
積極的な裏抜けで2列目が決定的な場面を作る手助けをしながら、ゴールという結果が欲しかった第8節のグルージャ盛岡戦。
裏への飛び出しとゴール前での嗅覚で2ゴール(当初はオウンゴールとされた1点目が川森選手のゴールと訂正された)。

【公式】ハイライト:グルージャ盛岡vs鹿児島ユナイテッドFC 明治安田生命J3リーグ 第8節 2018/4/28

第9節のAC長野パルセイロ戦ではPKを奪取。
みずからボールをセットします。
「もう自分で蹴るって決めていました。でもずっとガクガクです笑。公式戦でPKなんて多分はじめてだったので。めっちゃ緊張して、ただひたすら思い切り蹴ろうと。風が結構あったし足ガクガクやったんで、変なところに蹴るよりもそっちのほうがええなって

強烈なシュートがゴールど真ん中に刺さって2試合連続ゴール。
拳を握って吠える表情はそれまでの「愛されいじられキャラ」にとどまらない力強さにあふれています。

【公式】ハイライト:鹿児島ユナイテッドFCvsAC長野パルセイロ 明治安田生命J3リーグ 第9節 2018/5/3

第10節のカターレ富山戦でもコーナーキックのこぼれ球を押し込んで3試合連続ゴール。
「この試合結構外していてベンチで(三浦)ヤスさん怒っていたんですけど、これを決めた瞬間に“ショートケーキに最後のいちごを添える作業だ”って喜んでたらしいですけど。後から聴いて笑いました」
仕上げのゴールを決めてこそのFW、ということでしょう。

【公式】ハイライト:カターレ富山vs鹿児島ユナイテッドFC 明治安田生命J3リーグ 第10節 2018/5/6

4月から12戦負けなしで首位争いを繰り広げ、自身も2トップのレギュラーとして試合に出続けます。
ところが6月頃から徐々にチームのリズムが狂い、川森選手もゴールから遠ざかります。
そして夏の中断期間を控えた第19節のザスパクサツ群馬戦では0-2で敗れ、川森選手も目の辺りの負傷により途中交代を余儀なくされます。
約1ヶ月の中断期間に徳島ヴォルティスから薗田卓馬選手(現ジェイリースFC)、横浜FCから中山雄希選手(現ヴェロスクロノス都農)が期限付き移籍で加入し、それまで出場機会の少なかったブラジル人FWキリノが徐々にコンディションを上げてきて、川森選手はほとんど試合に絡むことのないまま11月25日のJ2昇格をスタンドで迎えました。
「今はJ3のレベルも上がってきて認知もされてきていますが、やはりJ2でやりたいっていう思いはあったので、J2昇格はやっぱり嬉しかったです」
大学を卒業して、アルバイトをしながら4年目でつかんだJ2昇格。

しかし川森選手を待っていたのは、J3で上位争いを繰り広げたライバル、アスルクラロ沼津への期限付き移籍でした。
「正直受け入れられなくて。(三浦監督から金鍾成監督へ)監督が変わるので使ってもらえるかもしれないですし、たとえ最初は試合に出られなくてもいいから、とりあえずJ2で自分がやれるかどうか挑戦したいって思いはずっとあったし、絶対残りたかったんですけど」
最終的には沼津からの熱意が素直に嬉しかったこともあり、なんとか気持ちを切り替えて、2019シーズンを沼津でプレーすることにしました。

雌伏の時

鹿児島がはじめてのJ2リーグでもがき苦しみ闘い、最終的にJ3へ降格した2019シーズン。
川森選手はJ3で14試合に出場しますが、リーグ戦でのゴールを決めることはできないままシーズンを終えます。
さらにシーズン終盤に右膝外側半月板損傷で、全治4ヶ月の負傷。

2020シーズンは鹿児島に復帰し、新たに背番号30を背負いましたが、心身ともに難しく、3月のリーグ開幕は、リハビリ生活で迎えるはずでした。
しかし2020年、世界はコロナ禍に襲われ、開幕は何度も延期されます。
「大変なことでしたけど、正直開幕が遅れるってことだけに関して言えば、怪我していた身としてはありがたかったです」
遅れに遅れたシーズンが開幕する6月末には全体練習にも参加することができていました。
もちろん試合に出られるコンディションまで持ってくるのは簡単なことではありませんが、川森選手は前を向いていました。
「腐るとかはないですね。(コンディショニングコーチだった)三栖さんのメニューがあの頃の自分にとってはすごくありがたい筋トレのメニューで。だから試合に出ることを目標にするのではなく、まずイチから自分の身体を作ることを意識して、それが今の自分にとっては一番プラスなことをできているんじゃないかなって思ってやっていたんです」

約6ヶ月に全日程を詰め込んだ2020シーズンのJ3リーグはどんどん進んでいきます。
2019シーズンをJ2でプレーした立場として闘う鹿児島ユナイテッドFCですが、勝ったり負けたりでなかなか安定して勝ち点を重ねることができません。
そして川森選手はなかなか出場機会を得られません。
「やっぱり可動域がちょっと狭くなっていたので、最初はちょいちょい痛くなったのもしょうがないらしいですが。それもあって全然無理はできないプレーしかしていなかったし、結果試合には出られなかった」
シーズン終了まで2試合を残した12月11日、契約満了が発表されました。
大卒から6シーズンを過ごしたクラブから離れる。
そこで物語はひと区切りつく、のが普通でした。

そして伝説へ…

2020年12月13日の第33節、キックオフ約2時間前にガンバ大阪U-23戦のスタメンが発表されました。
ベンチのサブメンバーにはFW、背番号30、川森有真。
2日前に契約満了が発表されたFWが復帰後はじめてのメンバー入り。
その週のトレーニングで特に動きが良かったとかそういう手応えはなかったと振り返ります。
「後から聞いた話ですけど、ジョンソンさん(金鍾成監督)はずっと使おうと思うくらい、復帰してからの僕が休まずに取り組んできていたのが大きかったみたいですけど」

しかし、試合はガンバが先制し、薗田選手のPKで一度は追いつきますが、次々とガンバにゴールを許し、55分の時点で1-4とリードされてしまいます。
なかなか浮上できない、息苦しいシーズンを象徴するような展開。
ところが58分にルーキー中村健人選手(現アトレチコ鈴鹿)とともに投入された酒本憲幸さんが右サイドから入れた長いスルーパスに、牛之濵拓選手(現ギラヴァンツ北九州)が合わせて2-4。
声を出しての応援が許されないスタジアムが、それでも徐々に熱気に包まれていきます。

76分、川森選手がタッチライン際に立ちます。
スタジアムにいた人たちはもちろんDAZNで見ていた人たちもテンションが一気に沸点近くなったと思われるその時、川森選手は何を考えていたのでしょう?
「いやもうあんま考えてなかったです。特別になにか自分がどうしようとか、あんまり考えず。多分見ている人たちのほうが興奮したぐらいの感じだったかもしれんです。シャケ(酒本)さんが入って2-4になっていたので、それでいつも通りにやったら普通にいけるんちゃうかなって、深く考えもせず、なんか普通に試合に入りました」
なんか、普通に、試合に入りました。
見返してやろうとか、6年分の想いをぶつけようとか、他のクラブに向けてアピールしようとか、そういう感情はあまりなく。
いつものように決定的なスペースを見つけては走り続け、ペナルティエリア内ではボールが来ればゴールという場所を取り続ける、だけ。

直後の78分、ゴール前にこぼれたボールを砂森和也選手(現AC長野パルセイロ)が利き足とは逆の右足で押し込んで3-4の1点差!
スタンドでは、声援なき応援でもう抑えようもない熱気で燃え盛っています。
84分、田辺圭佑さんが左足で入れたクロスはゴール前を横切り、ファーサイドで高々と跳躍した岡本將成選手がヘディングで競り勝ちゴール前に折り返します。

待つのは、背番号30。

8年前に藤枝戦で決めた時とは別人のように冷静でした。
「あそこに突っ込めば体のどこかしらに当たる」
頭で押し込んだボールとともに全身でゴールに飛び込んで、4−4。

…いや同点とかそんなことだけじゃなくて、満了を告げられた選手が、シーズン初メンバー入りで、最後かもしれない試合で、途中から出てきて、ゴールを決めるなんて!

スタンドの感情メーターは振り切れ、オフィシャルカメラマンの川越さんをはじめ涙腺が決壊するサポーターも出てくるなか、川森選手はチームメイトとグータッチをかわしながら速やかにセンターサークルへと走っていきます。
89分、またもゴール前で混戦が生じて、今度は水本勝成さんが押し込んで5-4!
そして94分、コーナーキックの流れからもう一度ペナルティーエリア内へ入ったボールを、ゴールに背を向けた川森選手がトラップします。
やはり川森選手の頭の中では、かの「左手は添えるだけ」のように、するべきことが明確でした。
「シャケさんから“お前とは思えへんぐらいのバカ丁寧なパス来たな”って言われたんですけど、あれももうトラップした瞬間に”あ、シャケさんおるな、死ぬほど丁寧に落としたら決めるかな”と思って落としたら普通に決めてくれて」
6-4。
ゴールを決めた酒本さんに次々とチームメイトが駆け寄るなか、川森選手は歩きながら拳を握っています。
鹿児島ユナイテッドFCの伝説として語り継がれるであろう試合で、その主役ともいうべき選手は、熱い感情とは逆の、アスリートにとって理想的な「無我の境地」ともいうべき心理状態で、ピッチに立っていました。
それも「らしい」気がします。

【公式】ハイライト:鹿児島ユナイテッドFCvsガンバ大阪U-23 明治安田生命J3リーグ 第33節 2020/12/13

鹿児島以後もサッカーは続く

「試合の時は冷静で、試合後はめっちゃうれしかったです。みんなと話していて“これ満了撤回あるぞ”って冗談で言われて、それはなかったんですけど笑」
あいさつに向かったスタンドには、それぞれの推し選手グッズが掲げられます。
「30番、川森有真」のタオルマフラーと「ありがとう」のメッセージを掲げたサポーターの姿もありました。

鹿児島を離れてからも川森選手を応援するサポーターたちの心は離れることがなく、九州で行われるアウェイ戦やはるばる三重県や滋賀県のホーム戦まで応援に訪れるサポーターもいます。
「いやずっとそんなに…本当になんでそんな自分なんかを応援してくれてるんやろって思うんですけど…ありがとうございます」
ユナイテッドを退団してからはJFLの鈴鹿ポイントゲッターズに移籍しました。
鈴鹿では三浦泰年監督と再会しました。
その頃のことを「“働きながらサッカーをするってすごいよな”ってリスペクトされていましたよ」と振り返ります。
故障を抱えて思うように活躍できなかった2シーズンを経て、2023シーズンは同じJFLのレイラック滋賀FCへ移籍。

滋賀では試合に絡み続ける充実感があり、チームも最後までJリーグ入りを争いましたが、結果的に目標を達成することはできず、退団することになりました。
「今は鹿児島のときよりも順位の条件が厳しくなったのもあるんですけど、あの頃のホンダとかソニー仙台とか沼津とかもいるなかでJに行ったし、今考えると鹿児島は力があったんだなって思います」

滋賀を退団して、それでも今後もJFLや地域リーグでサッカーをすることが正しいのか、今後の人生をどうするのか、もうすぐ結婚して3年になる奥様のこと、色々なことを考えました。
その末に東海社会人サッカーリーグからJFLそしてJリーグを目指す愛知県のwyvernへの移籍を決めました。
午前中はサッカーにしっかりと取り組むことができて、午後から夕方までしっかりと仕事ができる環境が整っていることが大きな理由でした。
そしてチームは昨シーズン、リーグを制してJFL昇格をかけた全国地域チャンピオンズリーグに出場していて、頭角を現しつつあります。
3日で3試合を闘う1次ラウンド、5日で3試合を闘う決勝ラウンド、ある意味理不尽な大会だからこそ、今シーズンも出場すれば川森選手が輝くような気がしてなりません。

「まだ終わり方は考えていない」というようにまだまだサッカーへの情熱は衰えていませんが、結果的に鹿児島は最も長い時間を過ごした場所にはなっています。
「鹿児島を出てからずっと考えていたのはもう1回、鹿児島で、鹿児島と対戦するっていうのが目標でした。もちろん別に恨んでいるとかそういうのじゃなく。あのスタジアムで逆の立場の景色を見てみたかったし、単純に相手として対峙する鹿児島ってどんなクラブなんだろうって思いますし。それにプラスして“元気でやってますよ”っていうのを伝えたいですし」

ありがたいことに鹿児島への想いは今も大きなものがあります。
「早く上のカテゴリーに上がって欲しいっていうのが一番ですね。J1にいて当たり前のクラブになってもらいたい。鹿児島の熱量ってやっぱりすごいって思うし、J3の時点でその熱量を持っていました。間違いなく鹿児島という地には、それだけの資質があると思います」

そして今シーズンから、サンフレッチェ広島ユース時代の後輩も鹿児島でプレーしています。
「(大野)哲煥は、いいやつはいいやつです。変わり者でもありますよ。でもあいつに言うこと、いや、ないですね。いやもう“がんばれ”って言わなくても絶対にがんばるやつなんで。でも今の鹿児島をなんとか残留とかじゃなくて、プレーオフ進出まで導いて欲しいですね」
最後に、ご自身がどうしていきたいのかを聞きました。
「今は色々なことを模索しながらやっているところで。それこそ去年引退していたら指導者とかも考えていたんですけど、でも普通の仕事もおもしろいかなと思うんで」
そして大きな、誰もが愛してきた笑顔を浮かべました。
「とにかくお金稼ぎます!」
川森有真は、やっぱり変わることなく川森有真でした。
これからも鹿児島のサポーターに語り継がれるであろう選手は、やっぱり最高でした。

この記事をシェアしよう!